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ものを売るために必要なのは、詳しい製品情報や大胆な値下げ作戦ではない。

–––ものが売れない時代だ。

仕事柄、経営者にお会いする中でそうした嘆きの声をよく耳にします。

調べてみると、そのような悩みを抱えているのは僕がお会いしている範囲の経営者だけではないことがわかります。

2019年の中小企業の景況見通し - 日本政策金融公庫』をみると、今多くの経営者は「営業・販売力の強化」に注力していることが読み取れます。これは、裏を返せば多くの経営者が自社の商品やサービスが売れないことに危機感を持っているということだと考えられます。

とはいえ、そのような中でも業績を伸ばしている企業もあれば注文が殺到する企業もあります。そのような企業にとって、この時代は「売れる時代」。

どうやら、現存する企業の中で「売れている企業」と「売れていない企業」の二極化が進んでいるようです。

後者が前者になることはできるのか。顧客の視点に立って少し考えてみたいと思います。


現代の購買意思決定 – ZMOT –

書籍『カスタマー・エクスペリエンス戦略』によると、顧客の購買意思決定に関するマーケティングモデルは時代を経て変化を続けているのだといいます。

まず、これまでマーケティングにおける考え方として広く知られていた中に2005年頃にP&G社のラフリー氏が提唱した『FMOT(First Moment of Truth)』があります。これは、消費者が店頭の商品を目にしてから数秒間の間に訪れる意思決定の瞬間を指しています。

インターネットが普及する以前はこの『FMOT』が重要視され、各社が店頭の陳列方法や訴求方法に工夫を凝らしていました。

その後インターネットの普及が進むと、2011年頃にGoogle社が『ZMOT(Zero Moment of Truth)』を提唱します。これは、消費者が店頭を訪れる前にネットで商品情報や口コミ・レコメンド情報を検索している間に訪れる意思決定の瞬間を指しており、Google社「消費者は、店頭を訪れる前にはすでに意思決定を下している」としました。

(画像:Zero Moment of Truth (ZMOT) |Think With Google

いいものを作って、店頭で待ち構えているだけでは売れない時代。

これまで『FMOT』視点の“待ち”の販促活動で苦戦を強いられてきた企業は、『ZMOT』視点の“攻め”の販促活動への切り替えを求められているタイミングに差し掛かっています。


企業の魅力度が顧客の購買意欲に関連

前章で触れましたが、『ZMOT』視点で考えると、店舗を持つ企業であれば顧客が店頭を訪れる前の段階、そうでない企業でいえば顧客が企業や製品を知る前の段階が勝負どころだと考えられます。この段階で顧客は企業が発信している情報や製品情報、口コミ情報を検索し、他社や他社製品と比較した上で購買意思を固めているのです。

ものを売りたい企業としては、この情報検索段階、比較・検討段階にいる人たちに対してアプローチし、興味・関心を引き寄せ、自社の見込み顧客へと育成していきたいところ。

ここで重要なのが、その人たちに対してどのように語りかけるか。

同業他社・類似製品があふれる中、単に製品の特徴や価格の手頃さを押し出すようなコミュニケーションでは、豊富なリソースと実績、信頼を確保しているマーケットリーダー企業が鎮座する既存市場における勝機は薄いでしょう。

必要なのは、まだ見ぬ顧客と企業・製品とをつなぐストーリー。

その企業の価値を構成するあらゆるもの(歴史、文化、製品、人…)を整理し、その企業だけが語れる魅力あるストーリーに束ね上げ、社内外の人を惹きつけるコンテンツとして語り伝えていくのです。

そうすることで、[※1]企業自体の魅力を購買意思決定要因の中に含んでいる顧客との間にその企業独自の想起ポイントや関係性を創り上げることができ、同業他社、同業大手との価格競争や顧客争奪戦から一歩抜け出すことができます。

さらに、企業が掲げるビジョンや在り方と強く結びつけることで、そのストーリーはずっと長く使えるものになるでしょう。

[※1]『企業の魅力要素と購買行動の考察 | 日本マーケティング学会』より…
“二点目は,企業の魅力要素を高めていくことは,購買行動(特にネット検索)に影響を与えることが示唆された点である。企業に魅力を感じれば,消費者はネット検索を行い,購買につながる可能性が高い。”


最後に

「売れていない企業」は「売れている企業」になることができるのか。

恐れ多くも、冒頭でこんな問いを立てさせていただきました。この問いは、日頃僕たちオンリーストーリーが向き合い続けている大きなテーマの1つでもあります。

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