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YuNiがKINGとなった日 - YuNi ONE MAN LIVE 「UNLOCK」ライブレポート

 どうもヤンです!

 今回は、TOY'S FACTORY所属のメジャーアーティストである、(自称)世界初バーチャルシンガーYuNiによるメジャーデビュー後初のリアルワンマンライブ「UNLOCK」に現地参戦してきたので、そのライブレポートを書かせていただきます!

セットリスト
DAYZ
YuNiSoN
And Another
夜と幽霊
キライ
平坦人生活劇
ココロノック
ユニークアビリティ
Dreamin' Dreamer
透明声彩
KING / Kanaria(Cover)
Dawn
Beautiful World
光風声月


開演まで

 2021年7月31日6時、開場。今回のライブの舞台は池袋・harevutaiである。harevutaiは2019年11月にオープンした、「最新のライブ劇場設備(音響・照明・映像)のほかにもCGライブ等が実施可能な透過スクリーンやYoutubeなどの配信サイト向けライブ配信設備を常設するなど、最新鋭の技術が詰まった未来型のライブ劇場」である。2年前にオープンしたばかりの、綺麗でかつVTuberにとって最高のライブ会場でライブが行われることに、私は開演前から胸が躍っていた。

 そして開演数分前、たまたま隣に着席したライブ前に仲良くなったゆにチルと談笑していたところ、YuNi本人によるアナウンスが聞こえてきた。YuNiと言えば、「YuNiのオールナイトニッポンi」でラジオパーソナリティを務めており、喋りにも自信があるVTuberである。注意事項に関してはYuNiのかわいらしい地声によって強調されていたため非常に分かりやすい。一方で「YuNiより目立とうとする人は、出禁です」と静かに脅す姿勢までかわいい。「出禁です」、今年度のゆにチル流行語大賞になりそう。

 とそんなこんなしていたら、6時半についに開演。

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 DAYZのアレンジインストが流れ始める。闇の中で怪しげな緑色の光が右へ左へと彷徨ったのち、中央で炸裂。そして光の中から現れたのは、YuNiだった。


DAYZ ~YuNiライブの魅力をいきなり見せつける

 セットリストの最初を飾る重要な一曲に選ばれた曲は、2021年6月16日に発売されたYuNiメジャーデビューアルバム「eternal journey」のリード曲「DAYZ」。GigaプロデュースのポップなEDM曲を、YuNiは音源以上のクオリティで、楽しそうに歌唱しつつ、MVで見せたようなダンスもこなしていた。常に最高のものを求めるYuNiらしい、最高の滑り出しであった。

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 ところで、ここで一つとても驚いたことがある。それは投影されている映像が桁違いのクオリティであったことだ。後ろには「DAYZ」のタイトルロゴが投影されており、まるでMVを映しているかのように映像が動くのに、YuNi自身もその場にいるかのように動いているのだ。時折、歌唱しているYuNiの前に文字やエフェクトが出てきたりもしている。巨大なスクリーンには繋ぎ目が一切存在せず、映像のカクツキも確認した限りではなかったように思う。ライブの際に機材トラブルが原因で進行が遅れることが多々あるVTuberライブにおいて、このような大迫力の映像が澱みなく投影されていることに、harevutaiの機材設備の素晴らしさを改めて感じた。


MCタイム ~MCまでかわいいのがYuNi

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 DAYZが終了し、1回目のMCタイム。ラジオパーソナリティだけあって、アドリブの喋りも得意のYuNi。今朝はアラームを「DAYZ」にして起きたことや、YuNiの「はい、お〜〜〜〜」の合図でペンライトを上げることを提案するなどした。ライブでテンションが上がっているYuNiちゃん最高にかわいい。


YuNiSoN・And Another・夜と幽霊 ~ポップを目指すYuNi

 2曲目に選ばれたのは、八王子Pが手がけた、アルバム「eternal journey」の中でも正統派ポップな印象を目指した一曲「YuNiSoN」である。未来的でサイケデリックな背景の前で、右へ左へ動き回りながら歌うYuNi。YuNiが動くたびに、右腕についている衣装がヒラヒラと動く。視覚的に飽きさせないデザインの衣装であると感じた。

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 続けて歌われたのは、ミドルテンポのエレクトリックナンバー、「And Another」。緑色のボールが飛び交う中で、先ほどとは打って変わり動き少なめでしっとりと歌う。YuNiというシンガーは本当に、曲に対して魅せる色というのが全く異なるように感じる。一つ一つの曲の微妙な配色の違いを活かし、一つのアルバムやライブを着色しているような、そんな感覚を覚えた。

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 このセッション最後に歌われたのは、R Sound Design手がけるシティポップナンバー「夜と幽霊」。シティポップだからなのか、はたまた今回のライブの舞台であり、初音ミク版のMVでも撮影地として選ばれた池袋を意識したのか、夜の都会をイメージした背景に切り替わる。そしてYuNiの歌声もその雰囲気に合わせて、エッジボイスを生かした大人な歌い方に変わっていく。会場の淡い光と一体になったYuNiの姿は、とても美しかった。

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MCパート ~それでもやっぱりかわいいのがYuNi

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 連続して3曲を歌い終え、今回のライブ初の給水タイムに。…と思いきや、くるっと振り返って、ひとこと。

「あのさ、給水タイムっていうとみんな拍手してくれるじゃん、これなかなかない経験だよね!YuNi結構嬉しくて昨日から。『給水タイム入りま〜す』って言ったら今日イチの拍手もらっていいですか?」

 どこまでもお茶目なYuNiちゃん。確かに水を飲むだけで拍手されるというのは、一般人ではなかなかできないような気もするが、そういうところでとぼけるのがYuNiらしいなと思った。

 そして、改めて今回のアルバムが妥協を許さずに作られたものであることを説明した。「最高だったでしょ?」と聞くYuNiの口ぶりからは確かな自信が感じられる。


キライ・平坦人生活劇・ココロノック ~多様な顔を持つYuNi

 5曲目に歌われたのは、YuNiが普段から抱えている負の感情を吐露するような重い感情を曝け出すエレクトリックナンバー「キライ」。先行公開時には大きな話題となった本曲であるが、台座に乗ったYuNiはこの曲に対し、冷徹さを感じるような歌声で歌い上げる。白や赤のライトに照らされ、黒光りするYuNiの姿は、かっこよさというより、神々しさと感じた。

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 しかし、そんな重苦しい雰囲気を吹き飛ばすかのように、かいりきベアが作ったサウンドYuNiの弾けた声が聞こえてくる。6曲目「平坦人生活劇」では、クラップの音に合わせて手を叩いたり、「ない・ない・ない!」の韻に合わせて手を振る、全力で楽しむYuNiの姿がいた。かいりきベア曲のMVの要素も感じられる背景も相まって、一つのコメディ作品を見ているようだった。

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 7曲目に選ばれたのは、YuNiが初めてアニメのエンディングを担当した曲でもあるミドルバラード、「ココロノック」。無邪気で切ない恋心を描く作品であるが、YuNiの歌声も繊細で包み込むような歌い方に変わる。この連続した3曲で、YuNiが歌ごとに表情を変えるシンガーであることがよく分かる。

 曲の雰囲気に合わせ、背景も青空から夕焼け、そして夜景へと移り変わる。そして、私たちゆにチルも、背景に合わせてペンライトの色を変更し、一体となって神秘的な光景を作った。水面に立って歌っているが、その影もちゃんと映っているという映像技術の高さも垣間見られた一曲であった。

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MCタイム ~YuNiちゃんに指を差された気がする…

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 3曲を歌い上げ、再びMCタイムに。さりげなく自信がアンバサダーを務めるポカリスエットをゆにチルに勧めたり、Day1でスベって心に傷を抱えたことを告白するYuNi。どこまでもお茶目でかわいい。

 そんなことを話しているうちに、YuNiちゃんがふとこちらの方向を指差す。

「あ、そこのあなた、そこのあなたです。今YuNiと目が合ってますよね?今、こんなYuNiの健気な姿を見て、涙腺緩んでますよね?泣いてもええんやで??」

 突然のYuNiちゃんの質問に、戸惑うオタク・ヤン。正直にいうと、私は先ほどのお茶目なエピソードを聞いて笑いたい気持ちを堪えるのでいっぱいであったが、そこを堪えて泣いているふりをしました。マジでYuNiちゃんと繋がっている気分に浸れて最高でしたね(突然の回顧録)。


ユニークアビリティ・Dreamin' Dreamer ~YuNiワールド

 そして、またスベったと思ったのか、足早に次の曲に向かうYuNi。YuNiが初めて作詞を担当した「ユニークアビリティ」は、自信が好きなゲームに例えながら、現代の風潮に対して素直な感情を言う曲。その考え方はYuNiらしく独特であり、かつ曲がなく楽しいものになっている。音源よりも砕けた、YuNiらしいハツラツな地声を生かした歌い方に会場が盛り上がる。楽しそうに歌う押しを見るのが一番好きだな、と感じた瞬間であった。

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 連続して、YuNiが今話題のNiziUを目指して作ったという、キュート・ポップ・ラップな歌・「Dreamin' Dreamer」に切り替わる。ピンク色のステレオがたくさん積まれた部屋を縦横無尽に動き回りながら歌うYuNiに合わせて、クラップやペンライトで応えるゆにチル。アルバムの中でも元気な印象を持つ2曲をゆにチルと一緒に楽しむことで、harevutaiにはYuNiワールドが広がっていたように思う。

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MCタイム ~大切な1曲に懸ける想い

「メジャーアルバムが出せたのも、今、こうやって歌えているのも、全てこの曲のおかげだと思っています」

「きっと、みんなもすごく大好きな曲だと思います。聞いてください」


透明声彩 ~YuNiの原点であり頂点

 そう言って歌われたのは、YuNiのデビュー曲であり、YuNiの原点にして頂点である大切な曲、「透明声彩」。YUC'eとの出会いの曲であり、YuNiの今後について孤独な不安を抱いている、そんな曲である。

 今回のライブでは、「YuNiらしい歌い方が出来ているな」と感じた。この曲を出した当時の頃のような未完成な自分ではなく、前だけを見る真っ直ぐな歌声。そんな印象を抱いたのだ。たくさんの出会いによって、「透明声彩」という曲の色彩がまた一段と強くなっていたようだった。

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MCタイム ~どよめくゆにチル

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 さて、ラストスパートに向けて、2回給水タイムを取るYuNi。拍手を受けて満足そうである。かわいい。

 「Tシャツ裏表逆だよ!」とゆにチルをまたいじった後に、「今回は、スタッフさんのアンケートで1位だった曲を歌わせていただきます!」と宣言。正直、First Recordingで歌う曲の参考として採ったと思っていたアンケートの意外な使い方に驚いた。

 そして、YuNiがこう静かに呟く。

「…KING

 会場が、どよめいた。


KING・Dawn・Beautiful World ~YuNiがKINGになった日

 この曲を、誰が歌うと予想していただろうか。昨年の8月2日にリリースされ大流行、歌い手やVTuberの誰もが歌ったKanaria・「KING」のカバーである。単なる歌ってみたの一つとして「KING」を歌うのではなく、アンケートの結果として「民衆の総意」という形で、またライブという特別な場所で歌うことで形に残さず、「流行の磁石」に引き寄せられることに興味を持たないという形で歌うことに、私はとてもYuNiらしさを感じた。

 そして、その歌い方も堂々たるものであった。低音を効かせたAメロ・Bメロと、強欲さを伺わせるようなサビの歌い方。私は今まで数多くの「KING」カバーを聴いてきたが、間違いなく一番の出来であったように思う。ここ池袋harevutaiの地で、YuNiはバーチャルシンガーのKINGになったのだ。

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 KINGを歌い終わったのち、野外ステージのような背景に変わり、特徴的なピアノのイントロが聴こえる。YuNi初の全英詞曲であり、ゲームの挿入歌として提供したバラード・「Dawn」である。ゆにチルから「YuNiEnglish」と言われるほど、流暢で繊細なYuNiの英語はやはり聴いていて心地いい。KINGで驚いた私たちの心をゆっくり浄化していくような歌声であった。

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 このパートの最後に歌われたのは、YUC'eプロデュースの穏やかな秋をイメージした1曲、「Beautiful World」。落ち着いた雰囲気の曲を、YuNiは澄み切った声で、しかしあまり荘厳になりすぎないように歌っていた。会場も、白いペンライトの横振りでYuNiの歌声に呼応し、一体感のあるステージを作り上げていた。

 アウトロのコーラスパートでフェイクのアレンジを入れるYuNi。そのアレンジには、コロナ禍のためコーラスパートをゆにチルと一緒に歌えない悔しさと、バーチャルシンガーとしての強い自信の現れを感じた。

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最後のMCパート ~夢を語るYuNi

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 Beautiful Worldを歌い終わり、最後のMCパートに移ったYuNi。次のライブではBeautiful Worldのコーラスをみんなで歌いたいこと、この状況下でライブが出来たことへの感謝などを述べ、最後にこう締めくくった。

「私は今、『幸せですか?』と聞かれたら、間違いなく幸せだと思います。でも、もっと、1年後、2年後、3年後、周りのスタッフさんや、支えてくれる皆様、そして、応援してくれるみんな、もちろん自分も、もっと幸せにしたいと思います。まだ、力不足なところも、やりたくてもやれていないことも、本当に色々あります。みんなに力を貸してほしい、一緒に頑張ってほしいって、お願いすることもあると思います。日々、本当に、支えてくださるスタッフの方々、協力してくださるクリエイターの方々、今回のライブのためにも、色々なプロの方々が頑張ってくれていて、そして、応援してくださる皆さんがいるおかげで、私は、こうして歌うことができています!本当にありがとうございます!」

 そう言って、深々とお辞儀をするYuNi。改めて、YuNiちゃんを支えていこうと心から誓った瞬間であった。

 そして、eternal journeyは果てない厖大な未来へ…


光風声月 ~果てない厖大な未来へ

 ライブのトリを飾るのは、YUC'eによる「透明声彩」のアンサーソングである、「光風声月」。もう、YuNiの歌声に迷いはないように感じた。スタッフや協力者への感謝の思いと、ゆにチルへの感謝の思いを詰め込んだその歌声は、僕たちを「果てない厖大な未来」へと連れていってくれるかのような思いがした。

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 「また、会いましょ〜〜!!」と手を振りながら、光の中に消えていくYuNi。その姿は、ライブ序盤よりも楽しそうで、満足げであった。


終わりに

 以上でライブレポートを終わりにします。YuNiちゃんのバーチャルシンガーとしての実力を改めて思い知ったとともに、演出技術の高さ、スタッフやゆにチル含めた会場全体の一体感の高さを感じ、改めてYuNiはバーチャルシンガーのKINGなんだなと思いました。改めてこれからもYuNiちゃんを推していきたいと思えるような最高のライブでした!

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