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2022年11月に聴いた曲4選

 どうもヤンです。
 11月も良曲が豊富でした!


Mrs. GREEN APPLE「Soranji」

 Mrs. GREEN APPLEの新曲。映画『ラーゲリより愛を込めて』主題歌です(映画観に行かなければ…)。ミセスが描く、荘厳で重厚なバラードですね。

 「ニュー・マイ・ノーマル」で3人体制での活動を再開し、「ダンスホール」の大ヒット、映画『ONE PIECE FILM RED』にてウタ扮するAdoさんへの「私は最強」の提供を経て、「Soranji」へと辿り着いたミセス。曲を書いた大森元貴さんは、「現時点の僕の最終地点」であると自身のTwitterで綴っています。

 一聴してみると、「最高地点」というのも頷けるほどのストリングスを中心とした美麗なサウンド、大森元貴さんの洗練されたハイトーンボイス、そして「貴方に会いたくて」という、力強くも儚さを携える歌い出しに心を奪われます。休止とメンバー離脱、そして大森元貴さんのソロ活動を経て現在の形へと変化したミセスというバンドが携える重さ、それでも迷わず生きていかなければならないという強い信念をそこに感じさせます。終盤にはシンガロングが登場し、改めて音楽という力の偉大さを実感させられるようなグルーヴ感をもたらしています。「Soranji」という曲は、ミセス第二章にて辿り着いた、全人類に届いてほしい「言葉」なのだなと思わされます。


星街すいせい「灼熱にて純情(wii-wii-woo)」

 星街すいせい 2ndアルバム『Specter』より、先行解禁されたロックナンバー。作詞 / 作曲 田淵智也、編曲 堀江晶太という、錚々たるメンバーにて作成された曲です。

 「灼熱にて純情(wii-wii-woo)」は、タイトルの名の通り、アチアチで色気のあるバンドサウンドに乗せてすいちゃんがラップを決めてボーカルを高らかに歌う様がかっこよすぎます。サウンド面では特に田淵サウンドらしいベースラインのえっちさが曲全体を引き立てており、すいちゃんの歌声を的確にサポートしています。また、ラップでは文字が詰め込まれており、リズムが取りにくい難曲ですが、それをものともしないすいちゃんの歌唱力の高さには、やはり惹かれるものがありますね。

 実はこの曲が出るまで、喉の手術のために何ヶ月か休養をとっていたすいちゃん。この曲が初解禁されたのは、彼女の復帰3Dライブでした。

 この曲がレコーディングされたのはおそらく手術前でしょうが、それでも喉の手術というアーティストにとっては致命的な出来事を乗り越え、復帰1発目にして初披露のロックを歌い上げるという彼女の生き様には、まさに「灼熱にて純情」たるアツさがあります。個人勢から単身ホロライブに乗り込み、今や誰もが認めるシンガーとなったすいちゃんの半生には、この曲と同じロックの精神がやっどているのでしょう。


asmi「wish」

 TikTokにて大きな支持率を獲得している女性シンガーソングライター、asmiさんによるクリスマスソング。クリスマスらしいゆったりとしたサウンドに乗せて、asmiさん特有の恋愛観が垣間見れる曲です。

 曲の全体的なテーマとしては「クリスマスイブにて恋人(ないしは意識している相手?)をデートに誘いたいけど、自分も相手も奥手すぎてなかなか踏み出せない」、そんな感じでしょうか。せっかくのクリスマスですもの、恋人がいる方々は恋人と一夜を過ごしたいと思うはずでしょう(僕は彼女がいないんでそんなこと全然考えていないんですが)。しかし、いざクリスマスが近づくとなると、意外と勇気が出ないもの。雪も降っていて神秘的なシチュエーションなのに、自分から誘うのはなんか恥ずかしい。そういった繊細な感情を捉えるのが、非常にうまいなと思ったのです。

 特に技巧的なのが2番Aメロ。歌詞を見てみましょう。

「今どこ?」ってこんな時間に聞いてこないでよ
「もうお風呂入ってる」ふざけるなあたしもあんたも
せっかくのお誘いは水に流れて あたしとバスタブをピンクに染めました

歌ネット

 この歌詞は、恐らくイブの夕方か夜くらいに恋人から電話で「今どこ?」と連絡が来たシチュエーションなのでしょう。そのくらいの時間帯なので、「あたし」はとっくのとうに風呂の中、「もうお風呂入ってる」と返すことしかできませんそして、こんな時間に連絡を寄越す「あんた」にも、こんな時間でも連絡が来るかもしれないと諦めきれずに待ち続けることをしなかった「あたし」にも憤慨し、「ふざけるな」とやるせなさにも似た怒りを感じているのでしょう。そして「せっかくのお誘いは水に流れて」(「お風呂」からの連語的表現)、「あたしとバスタブをピンクに染めました」(恐らく恋人と過ごすことを想定してしていた化粧が流れたのでしょう)とさ。切ない歌詞ですねぇ…

 そしてこの曲の極め付けは、アウトロで流れるトランペットソロ(トランペットだと思うけど違ったらごめんなさい)。トランペットの音色は、古くからクリスマスシーズンになると街中でよく聴こえてきますが、恋人と一夜を共にすることができなかった「あたし」にとっては、きっと虚しいサウンドに聴こえることでしょう。曲全体はクリスマスらしい雰囲気を携えつつも、世間一般のクリスマスソングとは少し離れた意味合いを持つ「wish」、俊逸ですね。


広瀬香美「プレミアムワールド」

 最後に取り上げる曲は、広瀬香美さんのデビュー30周年を記念した新曲「プレミアムワールド」。テーマを「挑戦」と位置づけた、今までのイメージを覆すようなダンサブルな曲です。

 衝撃的なのは、広瀬香美さんが作詞(ラップパート以外)・作曲のどちらも手がけていること。「ロマンスの神様」など、常識に囚われないさまざまな作曲技法で人々を驚かせてきた広瀬香美さんですが、ここにきて現在進行形で流行しているダンスナンバーも書くというのは、驚きました。しかも単なる「よくあるダンスナンバー」として仕上げるのではなく、「破滅的なこのワールドから ワープしようぜ」と音程を予想外のところに持ってきたり、「♪勇気と愛が世界を救う♪ 上手いこと言ったもんだ」と「ロマンスの神様」の歌い出しを持ってきたりと、破天荒な作りをしています。そして自身初となるラップへの「挑戦」も、長年のキャリアを感じさせる綺麗な発音でクリアしており、さすがって感じですね。

 また、この曲はメタバース世界、VRChat世界をイメージして作られたことも話題を呼んでいます。最近の広瀬香美さんと言えばときのそらさんに「そらのとき」を提供したことでも話題を集めていましたが、本人もバーチャルな世界にはかなり興味津々であり、MVも「バーチャルな世界では自分と同じ仮面を使って遊べる」という点を表に出しているような気がします。プロデュース力の高さよ…!


 今月は以上です。来月分もお楽しみに!


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