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はじめてのVRアイドル――"えのぐ"のライブを見に行ったら、衝撃で打ちのめされた話

 どうも、ヤンです!


 先日、enogu 5th Anniversary Live -星は、三度瞬く- に現地参戦してきました。

 きっかけはフォロワーさんに脅迫誘われたことです。その日はたまたま別箱のライブがあったのですが、えのぐライブは2部制だからそのライブに行く前に1部だけ参戦して行かない?と、他の別箱に参戦する同士と合わせて誘われたんです。まあ、私もVTuberのライブに何度か足を運んだことがある身ですけれども、"VRアイドル"というものはVTuberとはまた別種の何かを感じ、もっと見聞を広めたいという想いから行ってみることにしました。

↑ちなみに、誘ってきた例のフォロワーさんが以前書いていたえのぐの記事がこれ。沼に引きずりおってお前絶対許さんからな

 ちなみに、今回のライブに関しては完全初見で行きました。ライブ前に歌を聴いておいてもまあ別に良かったんですけれども、ライブ数日前の私生活が普通に忙しかったのと、あえて前提知識を入れず完全にニュートラルな状態で評価してみようかなという想いから、何も知らない状態で行ってみましたというのは建前で、本当は後回しにしてサボっていただけですごめんなさい

 ライブ会場は豊洲PIT。この会場も、一度行ってみたかった場所なんですよね。私の勝手な私見ながら、よく神椿が利用している印象があります。なんでもスタンディングのライブハウスとしては国内最大級らしく、音楽オタク、VTuberオタクとしては一度は訪れてみたかった会場なんです。誘ってくれたフォロワーさんに感謝。


 ということで、初めてえのぐのライブに参戦した感想を、結論から言うんですが…

打ちのめされました。
それもド派手に。


なんと言っても歌とダンスのパフォーマンスがすごい

 まず驚かされた点はやっぱりこれ。圧倒的に歌とダンスのクオリティが高い

 当日ライブを見始めるまでは、「VRアイドルってなんだ?どういう感じだ?」という想いが少なからずありました。たぶん、脳内では「よくテレビで出てくるような「アイドル」をVTuberバージョンにしたような感じなのかな?」と思っていましたね。いわゆる坂道系とか、ももいろク◯ーバーZとか、そんな感じのよくある日本のアイドルなイメージ。

見始める前の脳内イメージ、完全にこれ。そしていらすとやが素材として優秀すぎる


 それがいざ蓋を開けてみると、めっちゃかっこいい(語彙力喪失)。

 歌はもちろん生歌。しかも、アイドルでよくありがちな(といってもたぶん僕の偏見だと思うんですけれども)、全員で同じメロディを同じ感じの歌い方で歌って斉唱ドーン!って感じではなく、3人それぞれが個性を出し、ソロパートももちろん各曲にあり、時にはハモったり別パート歌ったりという感じで、とにかくすごかったです。3人でバチバチのボーカルバトルでもしているのかと思ったら急に合唱がドカンと大迫力でくるので、見ていて飽きなかったですね。

 初見なので正直歌詞はあまり聞き取れていなかったんですけど、ライブで初披露の曲を何度も聞かされているようなものだからね、まあしょうがない。今度は全曲履修して、歌詞もある程度覚えてからライブに行こうと思います!

 そして歌以上にすごいなと思ったのがダンスパフォーマンス。素人なのでうまく表現できないんですけど、とにかく動く動く。3人ともに1秒たりとも休んでいる瞬間がない。動きがキレッキレ。立ち位置も目まぐるしく変わる。しかも、そのペースのまま平気で3曲とか4曲とか連続で歌ってくるので、たぶん彼女らは体力が無尽蔵にあるのだと思う。圧巻のステージでしたね。

 僕が今まで体験してきたVTuberのライブでは、歌がメインの方々はほとんどでした。もちろん彼女らも歌の合間に踊るっていうことは往々にしているのですが、多くの場合動きに合わせて長髪が揺れるとか、衣装のスカートや謎の装飾群が揺れるですとか、とにかくモデルの面で魅せてくる場合が多かったような気がします(もちろんそういった表現方法もそれはそれで好きなのですが)。しかし、えのぐの場合は、完全にダンスとして勝負してくる感じがマジで好印象。衣装も特段派手なものではなくひなおのへそだしがエッッッなくらい、ダンスパフォーマンスに関してはえのぐの"VRアイドル"としての矜持を感じました。

 3人とも歌もダンスもすごかったんですが、個人的に特にすごいなと思ったのがリーダーの日向奈央さん、通称ひなお。歌ってはがなり声やら地声の高音やらとにかく熱く熱く歌い、踊ってはステージを縦横無尽に駆け回っている姿が印象的でした。そしてツイートで引用した通り、足を高らかに上げるハイキックのパフォーマンスが一番インパクトすごかったです。3人とも足を上げるシーンはあったと思うのですが、ひなおが一番高らかに上げていた印象。アイドルってこんなことまでするのか!?と、かなりのカルチャーギャップを感じました。気づいたらずっと緑のペンライトを振っていましたね。「歌とダンスは誰にも負けない!」というキャッチコピーを掲げているのも頷けます。

 もちろん他の2人もひなおに負けず劣らずの凄腕パフォーマンスを見せていたと思います。センターの鈴木あんずさん、通称あんずはMCの時は割とおっとり目の声なのかなと思いましたけど、歌に関しては安定感バツグン。一切ブレずに歌い続けるくせに、アレンジも上手い天才肌です。破天荒なチームメンバーを土台からしっかり支えていた印象があります。キャプテンの白藤環さん、通称たまきは3人の中では最もキャピキャピした感じの声で、パッと言われてよく想像するようなアイドルっぽい声だなと思うんですが、それなのに舌は回るわテクニックはすごいわ、随所でハモリも披露するわで意外と技巧派なところがあったと思います。あと時折前屈みの体勢になってでも歌を熱く熱く歌い上げているシーンが最高にかっこよかった。

 とにかく歌とダンスが圧倒的で、それに魅了され続けた2時間でしたね。あまりにも強すぎる。

 あとこれ、かわいい。あんだけつよつよの歌とダンスするのに、さらにかわいいのは反則だろ


アイドルとは思えない歌の引き出しの数々

 次に挙げたい点が、アイドルなのに歌のバリエーションも豊富なことですね。

 皆さんに聞きたいんですが、"アイドル"って言えばどんな感じの曲を想像しますか?

 普段からアイドルに馴染みがある人にとってはそりゃあいろんな曲を想像できるでしょうが、アイドルには馴染みがなく、むしろ普通にシンガーばかり見ていた人にとっては、それこそ坂道系が歌うようなキャピキャピの恋愛ソングのイメージがある人も多いと思います。

 しかしながら、えのぐは違います。えのぐは、王道のアイドルソングから、ゴリゴリにラウドなロック、特徴的な聴き応えがある和風テイスト、バチバチに決めてくるラップ、ちょっとボカロっぽいテックなサウンド、さらには切ない気分になれるバラードまで、幅広いジャンルを揃えています。もちろんラブソングもあるのですが、えのぐは女性アイドルの幅を広げるようなオリジナル曲の数々を持っていると思います。

 今回はそんなえのぐのオリジナル曲をいくつか紹介したいと思います。まずは「BRAVER」!夢のために貪欲に突き進む、えのぐの"勇気"を象徴するような曲だと思います。この曲はどちらかというと王道寄りのアイドルソングでしょうかね?しかしながら、前半と後半に分かれる二段構えのサビにより、サウンドを止めることなく前に進んでいくような構成になっているのがめっちゃ好きです。この曲は2021年高校野球都道府県別大会テーマソングとなっていたらしく、けっこう大きなところとのタイアップという実績もあるようです。

 続いては「Defiant Deadman Dance」。「さっきまでの爽やかさはどこへ…???」と思ってしまうほど、治安が悪すぎるダンスロックですね。この曲は、誰でも分かりやすくアガれる点が最高ですね。ボーカルはがなったりラップしたり、ダンスでもキックを何回もしていたりと、とにかく会場が盛り上がる曲です。初心者の僕でも、「この曲ええな!」と思ってノリノリでペンライト振ってました。

 他にも「Armor Break」では、ボカロ曲っぽさが感じられるノリノリなダンスミュージックが楽しめます。かいりきベアさんの曲って言われても信じそう。統一感のあるダンスはえのぐならでは。しかもこの曲では、ひなおによるソロダンスも披露されます。ダンスに自信ニキの圧倒的パフォーマンスには、会場も大盛り上がりでしたね。

 最後に、今回のライブで初披露された新曲「星は三度瞬く」を紹介しましょう。ちょうど先日のライブ映像も公開されたので…!公開早すぎだろこの曲は3人体制になってから初めての新曲とのことですが、アイドルらしく3人による掛け合いが連続するノリが楽しい、THE J-POPって感じでいいですね。「星空は何度でも瞬く」という、タイトルに対するアンチテーゼ的な歌詞も、3人が3人以上の価値を持っていることを表しているようで好きですね。

 とまあこんな感じで、実に個性豊かな曲が20曲以上。これだけあると、毎回のライブが楽しみで仕方がなくなってしまいそうですね…!アルバムを聴くと、季節を意識した楽曲もあるので、そういう点でもセトリの予想とか面白そうです。


ライブハウス丸ごと盛り上げる演出の力

 そして最後に挙げたい点が、会場を盛り上げる演出面の部分。豊洲PITという、都内有数のライブハウスを有効に活用した演出は見事でした。

 レーザー光線の如きライトの演出はもちろん、ステージの両端からはファイヤーが湧き上がったり、どこからともなくシャボン玉が飛んできたり。第二部では銀テが放出される演出もあったようです。VTuberの公演を何度か見てきましたが、これほど画面外の演出にこだわったライブは見たことがなかった気がします。

 画面外の慌ただしい演出とは裏腹に、えのぐの3人が映る画面の背景は黒一色。他のVTuberライブで見たような、美麗な背景映像の前にVTuberを立たせたり、歌詞の文字列がどこからか流れてきたり、画面の周りをライトで装飾してキラキラさせたりといった演出は見られませんでした。それだけ聞くと寂しい演出のように見えますが、画面の中では「そんな演出いらねぇ!」と言わんばかりに、歌って踊って動き回るえのぐの3人がいるのです。聞いた話によると、その圧倒的なパフォーマンスでお客さんを「分からせる」ために、あえて画面に関する演出はしていないらしいです。僕としても、えのぐのダンスパフォーマンスに集中して見ることができたので、この演出、好きだと思います。むしろ、あんだけ動いてさらに背景も動かしたら処理落ちしそう

 画面外の演出という面でもう一つ挙げるとするならば、ゲストであるVALISとの共演も印象的でした。今回はVALISのデビュー曲「残響ヴァンテラー」をカバーし、その後持ち曲として「フラストレーションガール」でコラボ。画面の中ではえのぐの3人が、画面の前ではVALISの6人がパフォーマンスする姿は、まるでダンスバトルそのもの。一眼で二度美味しい状態の完成です。

 ちなみに、今回のライブで唯一知っていた曲が「残響ヴァンテラー」でした。そしてこちらは正真正銘のかいりきベアサウンド。ダンスミュージックとしてのかいりきベアさん、めっちゃ好きです。

 そして生バンドによる音の盛り上がりがすごいすごい。こちらに関しても勝手ながら「アイドルってインスト音源使ってライブしてるんじゃないの?」という偏見があったのですが、全くそんなことはありませんでした。実は機材トラブルもあったのですが、その時もバンドメンバーが合わせてくれてなんとか立て直していましたね。やはり、生の音というのは厚みが違う。

 「会場の盛り上がり」という部分では、コロナ禍以後今回から初めて解禁された声出しも楽しかったです。今回のセトリではどの曲も間奏が「ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!」とノリやすかったので、非常にありがたかったですね。3人の煽りもうまかったし、MC途中から曲が始まって歌い出しをバッチリと合わせてくるみたいな生バンドならではの良さもありました。3人ともライブの経験値が他のVTuberとは桁違いで、コロナ禍でもライブをずっと経験していたからこそ、今回の声出し復活という今までとは違う環境下においてもお客さんを盛り上げる最適解を持ってこれた、という感じがしましたね。


VRアイドル、いいぞ

 今回はじめて"VRアイドル"という現場を見させていただいた身としては、非常に満足のいくライブだったと思います。映画館と同じ原理で後方からでも楽しめる、画面の中でずっとかわいさが変わらない、などのバーチャルとしての良さがありつつも、アイドルとしてオタクを全力で盛り上げる努力と工夫が施されており、なんだかワクワクしっぱなしでした。

 VTuberと比べても、またリアルのアイドルと比べても、VRアイドルはまだまだ成長途上なコンテンツであると思います。しかし、これから先、独自の価値を持つ存在としてもっともっと知られる素質を持っている、そう感じましたね。

 しかも今回は、夏目ハルさんが引退して以降初めての大型ライブだったとのことでした。4人から3人への体制変更ということで、歌割りもダンス編成もハモリも再構築して臨んだ大舞台でしたが、(完全初見の人の目線から見たら、ですけど)圧倒的な経験値の差と本人たちの貪欲な向上心のおかげでその穴の大きさを全く感じさせないようなライブだったなと思います。「世界一のVRアイドルになる」ことを公言しているえのぐですが、その情熱の火は絶えることがないのでしょうね。

 最後にはなりますが、今回のこのライブ、なんとニコニコ生放送でもアーカイブが残されているようです。しかも、10曲分を無料開放し(多すぎでは!?)、コラボパートも無料で見られ(贅沢では!?!?)、6月15日まで視聴できる(期間長すぎでは!?!?!?)そうです!これは見るしかない…!!!


enogu 5th Anniversary Live -星は、三度瞬く- Set List


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