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メディア論76 お笑いの人が、「自己責任」を説く理由。

テレビで安田純平さんの「自己責任論」を一番大声で叫んでいる人は
だれかというと、興味深いことに
「お笑い」の人である。
 

「お笑い」というのは、
いまの社会に対する「アウトロー」であることで成立する。
いまの常識に対する「非常識」であることで成立する。
今の思想に「迷惑」をかけることで、私たちは笑い、戸惑う。
だから、お笑いを、PTAは嫌い、親も嫌うわけだ。
PTAや親に愛されたら、
そこにあるのは「お笑い」ではなく「古い常識」である。


そんなアウトローであるはずの「お笑い」の人たちの多くが、
安田純平さんについては、なぜか「自己責任論」を語る。
人様に迷惑をかけるな、と説く。近所の爺さんのように。PTAのように。


ライブドア事件と堀江貴文さんの時もそうだった。

なぜだろう。
不思議だなあ、と思っていて、
シャワーを浴びているうちに気づいた。

あ、安田純平さんもホリエモンも、
「ライバル」なんだ。


自分たちより、
アウトローで非常識で迷惑で。
つまり、自分たちより
テレビ的に「おいしい」。

「おいしい」人が出てくると、テレビ的には席が1つなくなる。

これはまずい。
出る杭は打て。今のうちに「つまんなく」しとけ。

そう、
安田さんもホリエモンも、お笑いの人にとってみれば、
自分たちを危うくする
恐るべき「新人」だったのだ。

だから「お笑い」の人たちは
「アウトロー」に「常識」を説く。

「非常識」を言っていいのは、俺たちだけだ。トーシローはつまんなくしとけ。


そんなテレビの「お笑い」の構造を見切って、
あらゆる素人の「アウトロー」は「おいしい」
というコンセプトで、番組を作り続けると
サンデージャポンになる。

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