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メディア論80 南伸坊さんとイラストレーション

7月6日、東急文化村でやっていた南伸坊さんの「私のイラストレーション史」の対談イベントは南さんと糸井重里さんのとっても楽しい企画だった。

で、2人の話を聴きながら改めて思い出した。それは、南さんの『さる業界の人々」(タイトル糸井さん)が私にとってのメディアの仕事の最高の教科書だったことを。

会場には『さる業界』=エロ本業界の伝説の編集者、櫻木徹郎さん=Sさんと末井昭さん=Sくんもいらしていた。昨日は、南さん糸井さん櫻木さん末井さんと、お会いする遥か昔、高校時代からのメディアの「先生」たちにいっぺんにお会いできた。そう、『さる業界の人々』は私にとっての「学校」だった。

で、『私のイラストレーション史』だ。この本は、正しく「メディア」の教科書だ。「イラストレーション」というメディアが立ち上がって来る瞬間を、南さんは、子供として、青年として、ファンとして、編集者として、そして表現者として体験している。その中心には和田誠さんが、いた。

文章に添える「挿絵」ではなく、絵そのものが言葉をもち、批評性を持ち、、、、なんてイラストレーションの話を書くと南さんにも糸井さんにも苦笑されちゃうだろう。なにせ、イラストレーションはそういう熟語を「冗談」といういたずらで膝かっくんさせちゃうメディアとして登場したからだ。

だんだん思い出してきた。

和田誠さんから始まり、南伸坊さんが拓いた「イラストレーション」というメディアは、絵と言葉をつないだ。ガロという漫画雑誌からは、そんなイラストレーションと漫画をまたいだ人たちが次々と登場した。渡辺和博さん、みうらじゅんさん、久住昌之さん。同じ時代に、しりあがり寿さん、ナンシー関さん、リリー・フランキーさん、西原理恵子さん・・・。そんな「イラストレーション」というメディアは、たとえばピクシブになったりしている。

そして、ロックンロールがそうであるように、イラストレーションというメディアは、その黎明期をつくった和田誠さんが、ポールマッカートニーやミックジャガーのようにむちゃくちゃ現役だ。テレビの時代、インターネットの時代を飛び越えて。

インターネットの時代というのは、テレビの時代がはじまってたかだか50年ほど無風だったメディア=社会をぐらぐらさせている。でも、50年前は、テレビが映画や演劇やラジオをぐらぐらさせて1億白痴なんていわれたりしていた。イラストレーションというメディアはそんな時代に台頭してきた。

『私のイラストレーション史』は、なんだかいまととってもシンクロしている。


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