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メディア論75 なぜ渋谷のハロウィンに人は集まるのか? 人とボノボとオキシトシンと。

なぜ、
あれだけ評判を落としている
渋谷のハロウィンに
人々は集まるのか。
バカなの、死ぬの。
と、思った方は、
まだまだである。

2018年10月31日夜、渋谷のハロウィンに行ってみた。踊る阿呆に見る阿呆、である。見るだけの阿呆として行ってみた。前日、軽トラックを倒し、逮捕者まで出た渋谷のスクランブル交差点には、人々が押し寿司の米粒のようにびっしりと埋まっていた。案外、大声をあげている人間は少ない。大半の人間は、やや上を向き、目の焦点が合わず、うすぼんやりと笑みを浮かべていた。そう。あえていうならば、トリップ状態に入り、多幸感に満ちていた。

これは一体どういうことか?

進化心理学の俊英、
ドラクロア・フリーマンの
『混雑の経済学』によれば、
体育館に50人のバラバラの男女を入れると、
15分ほどで一箇所に集まり、
わざわざ混雑状態を形成することが
実験で確認されている。


フリーマンの研究によると
日本の1950年代からの未曾有の経済成長と
通勤電車の出勤ラッシュの混雑度の悪化とは
明確な相関関係があるという。
人間は、
あるレベルを超えた混雑状態に入ると
オキシトシンの分泌が増し、
幸福度が増し、性的に開放状態になり、
恐怖心が減退することが証明されたのである。


つまり、
人間は、積極的に「混雑状態」を愛する「本性」を持ち合わせているのだ。
「混雑状態」の方が、「楽しく」て「仕事ができる」。
日本で通勤ラッシュがなくならないのは、
ラッシュがあった方が、
みんな幸せだからである。仕事もできるからである。
だからなくならないのだ。

では、人間の「混雑」を愛する本性は
なぜ、そしてどのように形成されたのか。
進化生物学者、
ブニュエル・ソリリアンは、
「混雑の生物学」で
ボノボの集団行動による観察結果をこう記している。
採集行動を取る際、ボノボは
数匹の小集団で動くが、
ミツバチの巣を見つけて、
大量の蜜をせしめたボノボの小集団がいた時
近くの別の集団はいち早く、
発見した小集団に合流して、
分け前にありつこうとする。
この行動を利用して、
ボノボの小集団が集まっている映像と音声を
ジャングルで流すと、我先へとボノボたちは映像に殺到する。

さらに良く知られるように
ボノボの婚姻は「乱婚」である。
その婚姻は、「混雑」状態を形成し、
カーニバル的熱狂によって、成就する。

ソリリアンは、
人間がボノボと同様、
目的的に集団を形成する傾向があることを記している。

ここまでの説明でお分かりだろうか。
ボノボも人も、
混雑状態を愛する。

なぜならば、そこには食料と異性がいるからである。

しかも都合のいいことに、
ホルモン分泌によって、多幸感が増し、
ハードルが著しく下がる。

つまり、人は「人混み」があれば、そこに飛び込みたがる生き物なのである。
飛び込むことで、餌にありつけ、異性と性交の可能性がまし、
幸福度が上がるからである。

そんな進化生物学的事実を知った上で、
渋谷の夜の街に群れる
ホモ・サピエンスの行動を見ると、
羽で飾り立てた若雄や若雌を見ると、
ここが、
アフリカの雄大なジャングルとサバンナの縁に見えてきて、
バックには、野生の王国のテーマ音楽が流れてくるではないか!

ビバ、ホモ・サピエンス!


というヨタを思いついたので、
一応書いておきます。


無論、全部、ウソです。

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