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フランスからマンガの専門学校について考える1

前回の更新から間が空いてしまいました。
前回触れていたEIMAに、実は講師として来ています。
全8日間の日程。
EIMA…… Ecole Internationale du Manga et de l'Animationはフランス南西部トゥールーズという都市のほぼ真ん中にあります。
トゥールーズは国内4番目か5番目の街。スペインへの巡礼路サンチャゴデコンポステーラのフランス側最後の大きな街です。ここから飛行機で一時間足らずでバルセロナに着きます。クラシック音楽好きの人には、トゥールーズ・キャピタル管弦楽団というハイレベルなオケの本拠地というのが通りがいいかも知れません。

EIMA…という学校は校長であるクレール・ペリエさん以下の女性スタッフによって切り盛りされてます。
そう、みんな女性。ペリエさんが時折連れてくる白くでっかい愛犬も雌。こじんまりした職員室に座ってるとボクだけ男でオッサン。前回来たときに場違い感横溢だったので、今回はひげだけは剃ってきました。
そしたら、今回よく見たら男子生徒のほとんどがひげを伸ばしてました。どうも方向性がまとめにくい……。

フランスにはヨーロッパ圏で最も洗練された漫画バンドデシネがあります。有名な作家はメビウス、エンキビラル、ニコラ・ド・クレシーか? それ以外にも作家は無数にいるし無数に生まれると思います。なんせ九番目の芸術と位置づけられ、国が無償で作家を養成してるンんだから。「ゴルフがダメでテニスがいいんですか?」程度のオッサンが「クールジャパン!」とか叫んで角川書店に税金をバクバク食わせた国とわけが違います(日本の事なんですけどね)。

バンドデシネの作家は手作業に強くこだわります。その影響はEIMAの教育活動にも表れていて、手作業を重視します。ペンの抜きの練習をしている学生を見ると不思議な気分です。
日本の専門学校には全面デジタル移行なんて所も出てきてますから。

ペン先というとGペンを思い浮かべる人が多いと思います。
でも、Gペンは数あるペン先の一つです。多くのペン先の中で汎用性が高く、キャリアが浅くてもコントロールしやすいので、幅を利かせてきました。その分ペン線の匿名性が強い。
デジタルも同じで経験なくても使いやすいです。そしてGペン以上に線の匿名性が強い。

かっての作家は線に刻銘することにこだわりました。新谷かおるさんは日本字ペンという、柔らかい伸びやかな線が出るけど扱いにくいペン先を使い続け、しかもその良さを布教し
続けていました。一旦廃番になった日本字ペンが復活したのは新谷さんのおかげでしょう。
平田弘史さんはペン先をペンチでぶった切って好きな線が出るようにするのが好きだったそうです。豪快。
これらはもう昔話。まもなく終わる平成の、さらに前の話です。

フランスで線にこだわる学生を見ると、日本とフランスの日本漫画の関係はどうなっていくんだろうか?と考えます。マーケットの割合は日本優位であり続けるはずです。気になるのは技術のことで、日本で開発された技術がフランスでしか生き残ってないなんてのは、もしかしたらある事かも……。


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