やなぎ丸

主夫、ときどき講師。 Twitter → https://twitter.com/newriverclass

愛すべきキャラクター

故あって『平家物語』を読み返している。「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり…」で始まるアレだ。

 高校生の頃、ボクは古典が苦手だった。が、古典の授業は好きだった。

 ボクのクラスの古典を受け持った教員は、初回の授業で『今昔物語 巻第三十』を紹介するトンデモない教員で(巻第三十が気になった方はご自身の責任でお調べ下さい。ネットで検索すれば出てきます)、ボクは古典作品の楽しさをあの人から教わった

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ソ連と政経の夏期講習と教材研究の話

物心ついたときには冷戦が終わっていた世代なので、冷戦期にソ連(ロシア)がアメリカと張り合っていたというのがイマイチ理解できなかった。

 聞こえてくるソ連側の話が粛清の嵐と農業政策の大失敗による飢餓ばかり。なんでそんな国がアメリカを怖れさせたのか。

 アメリカという国の存在感というのは、たぶん、高校生くらいになればほとんどの人が感じるだろう。トランプ大統領、NY、星条旗、ハリウッド映画、自由の女

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教育のちからというものがあれば、こんなものだと思う。

目の前の白紙に鉛筆で2つの点を打たれて、その2つの点を最短距離でつなげてごらん、と鉛筆を渡されたとき、ボクは少し考えて、その鉛筆で一直線に2点で結ぶ線を描く凡人である。

 けれども、世の中には、ひょいとその白紙を二つ折りにして、点と点の位置を重ね合わせ「ほらよ」と言ってのけるような人間がいる。

 高校のクラスメイトだったE君はそんなセンスが光る人間だった。

 休み時間には詰将棋の記譜を読んで

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ボクらはなぜ働くのか Tカードとマルクスとタラの西京焼き弁当の話

スーパーのレジで「Tカードをお持ちですか」と言われ、差し出すと、さわやかな若い店員のお兄ちゃんが「失礼します」と言ってカードを受け取った。

 …何が「失礼」なんだろう。

 こういうのが気になるのは、疲れている証拠である。
 

 世の中、大体のものがこういう建前というかフィクションで成り立っているのだから、それにイチイチ目くじらを立てるのは野暮というものだ。

 この手のフィクション、つまり、

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新人の先生へ

対人関係で辞めるのが7割。

 …というのは某大手人材派遣企業かどこかが行った退職理由のアンケートだったような気がする。

 安月給や深夜残業が重なっても、それが例えば大学のサークルのノリなら苦にはならない…ということだろうか。新任の先生方が1学期を終え、着任当初の緊張感が融け残ったのは疲れのみ、という表情をしているのをよく見る季節になったが、彼ら彼女らのうちの何割が後3年持つだろう。

 ボクは

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双子を授かった話 ⑥ 出産「じゃ、ちょっと産んでくる」

管理入院はやることがない。早産防止のために、基本的には安静にしているだけだからだ(胎児の発育促進のために、「効果はないかもしれないんですが」と言われつつマルトース(麦芽糖)の点滴は受けていた)。

 これはとても贅沢なことでもある。

 ボクらは初産だから、妻が管理入院となってもボクが一人暮らしに戻るだけだ。さして困ることはない。既に上の子がいるご家庭なんかは大変だ。残された夫は子どもの世話をしな

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