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ワークの四分儀

「いい本を作る」ということ。
これまでは、それが僕の仕事のすべてで、これまでは、とてもシンプルなはずだった。
でも、少し先まで見てみると、単純に作るという行為だけでは成り立たなくなりそうで、本を売ってみたり、校閲を情報リテラシーとして再定義する必要があったり、ローカルについて考える必要があったり、会社の仕組みを再度構築しなおす必要があったり、異業種との交流がとても重要だったり、なんだか、この2年でシンプルとは言えなくなってきた。マイッタナー。

まあ、実は、自ら望んで、覚悟を決めて、腹をくくって、リスクを取って、やる、ということなので、別にそこまで参ってもいないのだけれども、現実問題として、自分の業務量が増えてきて、だから僕がボトルネックになってくるにつれ、そろそろ、一度立ち止まって、そのあたりを解決しないと次に進めなくなってくるように思えた。

自分の業務(ワーク)を洗い出していて、自分の集中の癖のようなものが見えてきた。僕は、自分の集中力を分類して、優先順位を高く設定したワークに、とことんリソースを投入するのが好きみたいだ。
分類してみると、ワークは次の4つの象限に分けることができた。

縦軸は、
コミュニケーション(クラウド)





スタンドアローン(ディスコミュニケーション)

横軸は、
ル         ク
|         リ
テ         エ
ィ  ←------→  イ
|         テ
ン         ィ
          ブ

クラウドというのは、オンラインという状態だけでなく、「誰かとのコミュニケーションを必要とするワーク」のことだ。打ち合わせが必要だったり、チャットが必要だったり、説得のための下ごしらえのネゴシエーションだったりする。反対にスタンドアローンというのは、「自分ひとりで決められるワーク」のこと。

全ての仕事はクリエイティブであると思うのだけれど、今回は語義というか定義として、ルーティーンというのは「チェックボックスをつけて、それを消し込むことで終わるワーク」という意味にした。反対に、クリエイティブワークとは、「毎回カスタマイズが必要で、チェックボックスをつけることができないワーク」ということだ。

具体的には、
「企画を通す」というワークは、コミュニケーション・クリエイティブ(第I象限)
「メールを返す」というワークは、コミュニケーション・ルーティーン(第II象限)
「PCの環境を整える」というワークは、スタンドアローン・ルーティーン(第III象限)
「企画を立てる」というワークは、スタンドアローン・クリエイティブ(第IV象限)
こんな感じかもしれない。

 これは、たとえばの話。
 お役所や、大きな企業には、コミュニケーション・ルーティーンの「企画を通す」という場面もあるから。
 あくまでも、たとえばだよ。

ライター・編集なら、
「取材をする」(コミュニケーション・クリエイティブ)
「進行管理をする」(コミュニケーション・ルーティーン)
「ホテルや飛行機の手配をする」(スタンドアローン・ルーティーン)
「記事起こし」(スタンドアローン・クリエイティブ)
ってなるだろうし、

経営者なら、
「短期経営戦略」コミュニケーション・クリエイティブ
「執行」コミュニケーション・ルーティーン
「稟議承認」スタンドアローン・ルーティーン(ハンコ押すだけの状態ならこの象限)
「中期経営判断」スタンドアローン・クリエイティブ
っていうことだろうな。

好き←─────→嫌い
という軸を足して、3次元のユークリッド空間にすることもできるけれども、プロフェッショナルの技として、その感情には蓋をしよう。今は。
八分儀にするならもっと違う軸のほうが有意義だし。緊急性とか。

4つの象限にワークを分類すると、集中力の配分が分かりやすくなる。象限を跨ぐときに集中力が途切れるからだ。そこにミスが起こりやすくなるし、そもそも仕事の達成目標が変わる。
そして、プレイヤーに指示を出すときのマネージャーとしても、業務を進めるプレイヤーとしても、この4つの象限を把握していると仕事が進めやすい。人によっては、象限を跨ぐときにストレスを感じるタイプがいるような気がするからだ。

僕は割とそこのストレス耐性が高いのだけれど、コミュニケーションとスタンドアローンの軸を行き来するとき、ルーティーンとクリエイティブの軸を行き来するときに、ストレスを感じる人はいる。一定数いる。
自分がプレイヤーの時に、あるいはマネージャーの時に、この四分儀を理解しているといいのかもしれない。

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