ヤンクロフス機 a.k.a.UDE

物を書いて生きてます。好きなことを好きなように書くのがここです。私は誰の言うことも聞き…

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物を書いて生きてます。好きなことを好きなように書くのがここです。私は誰の言うことも聞きません!

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『大五郎4ℓ』

月の初めにジンの瓶を5本とワインのボトルを3本、マンションのゴミ捨て場に持って行った。我ながら「終わっている」と思った。実際、僕の生活は終わりかけていた。 少し前に、キッチンの高さが合わないと言って、出て行ったきり、彼女は帰って来なくなった。それが原因かはわからないが、部屋を掃除した。ゴミを捨て、キッチンを油落としで磨いた。ずいぶん汚い使われ方をしていたんだな、とその時に気づいた。全く知らなかった彼女の一面を見てしまった気がした。もう、どうでもいい話だが。 そしたら、なぜかそ

    • 大五郎24ℓ 星の砂の女

       小野瀬ゆきと二度目の面会のため、彼女が指定した居酒屋に行った。  彼女はまだ来ていなかったが、先に入るとメッセージを送り、僕は店の中に入った。  こういう場合、遅れてきた女性を待たずに入るのは良くないことなのか? と少し思った。  そういう状況になることが数年はなかったので、何が正しいのか、まったくわからなくなっていた。相手を喜ばせるために、嘘もやせ我慢もする。男と女は本音と建前をいつも隠しあう。それが必要なことだとは、いまの僕には思えない。  メッセージは既読がついていた

      • 記憶喪失

        何度も何度も記憶を失うまで酒飲んで眠っている。 今週はほとんど毎晩のように記憶を失っている。 良くないことだとは理解しているが、飲むことによって得られるまやかしに浸りたいのだ。 『我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』 ポール・ゴーギャンの代表作の題であるが、絵の素晴らしさよりもこの題の素晴らしさにいつも感嘆する。 そして、わたしに酒を飲ませるものの正体もこの言葉に隠れている。 我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか 我々はどこから来

        • 『超訳・桃太郎』

           どうしても我慢できないことがある。  俺は鬼退治に向かっている。理由は鬼たちの横暴が許せなかったからだ。当然だ。だが、そのためには仲間がいる。俺ひとりでは難しい。  祖母はなんでも吉備団子で解決できると考えているようで、俺に吉備団子を持って行けと渡してくれた。祖母は吉備団子と学校に持って行く雑巾だけは必ず俺に寄越してくれる。ところでどうして学校はあんなに雑巾を持ってこさせるのだろうか?  しかし祖母の言うことは信じることにしておく。なぜなら彼女がいなければ、俺はあのまま川に

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        • 「食べる」のしんどい
          19本
        • 大五郎4ℓ
          6本
        • 日々ののたれ書き
          17本
        • ぞなもしカレー日誌
          13本
        • ぞなもし創作ノート
          3本
        • ぞなもしアイデア覚書
          1本

        記事

          海老の尻尾を食べるのはわたしだけだった

          パパンが死んだ。パパンは父だ。 カミュの小説にそんな一節があったな、と思って、そんなことを口に出した。後で調べたら、正しくは「ママンが死んだ」だった。 ちょっと違う。 そんな言葉を口にしたのは、リアルにパパンが死んだからだ。 パパンは父だ。 それほど仲がいいわけではなかった。悪いわけでもない。 もう何年も離れて暮らしていた。コロナがあり、顔を合わす頻度も少なくなった。 それゆえになんとも言えない複雑な気持ちになる。 以前からうっすらとした存在が、するりと消えてなくなったとでも

          海老の尻尾を食べるのはわたしだけだった

          「食べる」のしんどい#18 ハムエッグとハムエッグ丼

           朝ごはんといえばハムエッグだろう。違うという人もいるかもしれないが、わたしはそうだ。  で、ハムエッグを作った。卵焼き用のフライパンを温めて、卵を落とす。それとハム。インフレ、インフレだといわれているので、卵一個とハム一枚だ。ハム二枚にはしない。欲しがらないのだ、勝つまでは。誰に勝つとかは考えていない。そもそも物価が上昇し続けるのが資本主義なので、永遠にわたしが勝つことはない。  冷蔵庫の野菜を小鍋に放り込む。トマト、ブロッコリー、しめじ。水を足して煮る。あとで味噌を入れ

          「食べる」のしんどい#18 ハムエッグとハムエッグ丼

          Netflixでなぜか配信されている良作映画10選

          はじめに Netflixを契約しているんですが、なんか配信されている映画がビミョーというかどれも似たような映画だなーと思うことがあります。  特に最近のNetflix制作のアクション映画はどれも酷いですね。そもそもよく出ているイメージのあるライアン・ゴズリングとライアン・レイノルズは違いが判らないです。どっちがどっち? せめてハゲとかマッチョとかキャラをはっきりさせてほしいですね。ジェイソン・ステイサムはハゲでマッチョなので最強です。ニコラス・ケイジはハゲだったのにそうじゃ

          Netflixでなぜか配信されている良作映画10選

          永井宏の『雲ができるまで』を読んで、読書の自由を思う。

           コミックスのようなサイズ。表紙カバーはなくまっ白な紙のクロスの表紙。タイトルやロゴ、著者、出版社の名前が淡い空色で刻印されている。永井宏。『雲ができるまで』。信陽堂という聞いたこともない出版社。だが、本を手に取るとわかる。とても丁寧に作られた本だ。  永井宏は美術作家という肩書きを持ち、八〇年代には雑誌「BRUTUS」の編集にも関わっていた。二〇十一年に亡くなっている。  本書は三度目の復刊となるが、手がけた信陽堂の編集者も永井と仕事をし、その影響を受けた人物である。装

          永井宏の『雲ができるまで』を読んで、読書の自由を思う。

          失われたXX年と『オン・ザ・ロード』

           出発の日は二日酔いだった。たしかにワインを1本呑んだが、二日酔いになるほどではない。はずだった。しかし、バッチリ二日酔いのまま、新幹線に間に合うように家を出る。  最寄りの駅まで歩くのが面倒だったので、タクシーを拾う。私を見て、運転手は「帰省ですか」と尋ねてくる。 「ご両親も帰ってくるのを楽しみにしているでしょうね」  とかそんな話をした。マスクをしていたからわからなかったのかもしれないが、私はまあまあのおっさんだ。帰ってきて喜ぶようなものでもない気がする。    新幹線に

          失われたXX年と『オン・ザ・ロード』

          「食べる」のしんどい#17 トーストうまいやん。食べようよ。

           最近の、意識の高い食事では危険物とされているトースト。たまに食べたくなる。小麦が焼けた香りはとても最高。  そして、これまた天敵とされているバター。これも美味い。  さらに食品添加物の宝庫、加工肉ハム。美味くなるように調整されているのだから、不味いわけなかろう。  ハムエッグとトーストとそのままのトマト、ブラックコーヒー。舌が喜ぶのだから、体に悪いわけがなかろう。スムージーばっかり飲んでないで、こういうのも食べろよ、みんな。どうせあと10年したら、バターが体にいいとか言い出

          「食べる」のしんどい#17 トーストうまいやん。食べようよ。

          「食べる」のしんどい#16 菜の花

           いつの頃からか菜の花の料理を食べるようになった。食べるようになったのは、食べられるようになったのと殆ど同時だと思う。  普通に考えれば、美味いと思える要素はほとんどないのに、よく味噌汁にして食べる。  雑煮なんかに茹でたものを添えると風情が出る。  腹一杯食べたいかといえば、全くそんなことはないが。  たまに食べると季節や土の力を感じる。あと、自分が大人になったとも感じる。  二十歳の頃に酒が美味いと感じて、おっさんになったいまは菜の花が美味いと感じている。体にいいと思って

          「食べる」のしんどい#16 菜の花

          「食べる」のしんどい#15 大阪のうどん

          大阪には大阪のうどんというものがあるのだ。 まだ丸亀製麺や讃岐うどんに、うどんの概念を乗っ取られていなかった頃には、間違いなくあった。 いまだと中々ない。大阪にも少ない。検索したら、ほとんど讃岐うどんやそれらにインスパイヤされたうどんが出てくる。 違うんだよ。俺が求めてるのは、もっと意識が低いやつなんだよ! 麺がふやふやのやつだ。 という感じで、帰省した時は、無理してでもそういううどんを食べたりする。 なんでそんなしんどい思いをして、うどん如きを食べるのか。それもよくわからな

          「食べる」のしんどい#15 大阪のうどん

          「食べる」のしんどい#14 鶏舎のレバニラ炒め 

          年末。クリスマスも終わって、完全に世間はラストスパート状態。 クリスマスでつけた勢いのまま、今年のゴールに雪崩れ込もうという魂胆が見え見えの浮ついた空気の街をわたしは歩く。 帰省やら何やらのために、PCR検査を受けて、国の優遇制度を使うべき時に使えるようにしておこうと思ったからである。 使う予定はいまのところない。 検査所では唾液をいっぱい出して、提出しろと言われて、ブースに通されたのだが、目の前には梅干しとレモンの絵が貼ってあった。 AIが絵を描くとか会話する時代だが、「梅

          「食べる」のしんどい#14 鶏舎のレバニラ炒め 

          本質的にエンタメに興味がないので、もうAIで開発すればいんじゃないかな?

           どうやらそろそろ認めた方が良さそうだと思う。  わたしはエンタメの業界の端っこにいるわけだが、実はエンタメに興味がないのだ。  そして、いまのエンタメコンテンツの悲惨な有様を見て、さらに興味を失っているのが現実だ。  興味を失うのは鬱の始まりらしいが、面白くないな、と思うものに興味を持っていられるほど、わたしはおおらかな人間ではない。  どの映画を見てもAIで開発したような紋切り型のストーリーやキャラクターやショットである。とりわけショットは最悪である。  映画は視覚の芸

          本質的にエンタメに興味がないので、もうAIで開発すればいんじゃないかな?

          『一汁一菜でよいという提案』を受け入れる

           『一汁一菜でよいという提案』を受け入れてみようと思った。  なんだそれは? 誰がそんな提案をしているのだ。と思った方もいらっしゃるだろう。言い出したのはわたしではない。土井善晴さんである。  有名な料理研究家の土井さんの書籍『一汁一菜でよいという提案』の中で提案されている考え方である。どういうことかと言えば、食事はご飯、お味噌汁(野菜多め)、お菜(漬物)という最低限のものさえ揃えれば十分であるという提案だ。要するに、わざわざ一汁三菜揃えたり、豪勢な食事を用意したりすることは

          『一汁一菜でよいという提案』を受け入れる

          怒りの料理 〜カレースパゲティ黎明編〜

          材料 きのこ(しいたけ使用) 2個 玉ねぎ 1/4個 豚バラ 50g程度 ニンニク 半片程度 パスタ 80g カレー粉 10g程度 うま味調味料 6振り程度 ブラックペッパー 適量 ナンプラー 適量 オリーブオイル 適量 作り方 パスタを茹でます。 材料を切る。ニンニクは荒く微塵切り。あとは好きにすればいい。 フライパンにオリーブオイルとニンニクを入れて熱する。 豚こまを炒める。 豚こまにちょっと火が入ったら、玉ねぎ、きのこも炒める。 ブラックペッパーとうま味調味料で味

          怒りの料理 〜カレースパゲティ黎明編〜