美学校講座/TVOD「ひとびとのサブカル体験史」のプレイベントに出演します。

今週の日曜日(11日)に、『ポスト・サブカル焼け跡派』(百万年書房)が話題のTVODのお二方とイベントをおこないます。

このイベントは美学校で開かれるTVODの講座のプレイベントにあたるもので、お試し版のようなかたちで無料配信されるので、ぜひお気軽にご覧くださいませ。

さて、TVODと知り合ったのは2年くらいまえでしょうか。LL教室メンバーの森野さんを介してみんなで酒を呑む機会があり、そこで意気投合しました。そんなこんなで『ポスト・サブカル焼け跡派』も話題になったのちも、お二方とはたまに意見交換をしています。同世代でありつつ少しだけ通ってきた道が異なるので、いつもいろいろと有意義な話をさせてもらっています。

『ポスト・サブカル焼け跡派』についてですが、ずっと感想を書きたいと思っていたものの、半端には書けないなと思っているうちに時間が経ってしまいました(申し訳ないです)。もちろん内容が興味深いのは間違いなし、資料的価値もあります。印象に残っているところでは、パンスさんが指摘していたKREVA的新自由主義とECD的反資本主義の対立などは、ゼロ年代を見るうえで大事だと思いました。あとやはり、コメカさんの熱のこもった大森靖子論も良いし、星野源をめぐる議論も素晴らしかったです。そもそも音楽から社会を見通す作業って、下手にやると批判が多くなっちゃうこともあり、最近ではかつての音楽社会論みたいなものが後退していた印象だったのですが、そこにしっかり踏み込んで、しっかりと成功しているのも素晴らしいですよね。

今回は、矢野が13歳から22歳くらいまでに接したサブカルチャーを年表にしたうえで、その時代に刻印されている時代性や社会性と「個人的な体験」(大江健三郎)との結びつきを見ようという試みかなと思います。今回はプレイベントですが、連続講義を通してはきっと、その人を取り巻く時代的・社会的な条件が見えてくるでしょう。自分がどのような条件に支えられているか、という足場に対する自覚なしに、主体的な「個人」であろうとすることは難しいので、そのような意味では、たいへん重要かつ啓蒙的なプログラムだと思います。

ちなみに自分の「サブカル体験史」を振り返ると、なんか黒歴史的なものも多く、また、学生のときにはろくに社会に対する意識がなかったことが痛感されて、恥ずかしい限りです。しかしそんな自分であっても、いまから考えるとやはり、その身に社会や時代が刻印されていることもまた痛感します。まあ、ブラックミュージックとの距離感が大事だったのかな、という印象はあります。あとは、「東京出身」ということが論点のひとつではないか、ということをすでに指摘してもらっています。ということで、よろしくお願いいたします!

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