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「リナ・サワヤマは今年日本でブレイクする」湯川れい子さんの予言に期待します

国民的ヒーロー大谷翔平選手の活躍に、日本中が沸いたWBC。大会終了後も、ニュース、CMと、顔を見ない日はありません。化粧品のCMでは「野球選手と美容液」という唐突なコラボに驚きましたが、彼の美肌との相乗効果で、なんと売り上げは4倍とか。その人気にあやかろうと大谷CMが量産される中、「最高のコラボ!」と興奮したのが、JALのCMです。

大谷選手の雄姿と共に流れる歌は、ロンドンを拠点に世界で活躍する、シンガーソングライター、リナ・サワヤマの「ハリケーンズ」。
「リナ・サワヤマはポップミュージック界の大谷翔平!」と思っていた私は、WBCの優勝と同じくらい興奮したのでした。

リナ・サワヤマは、1990年新潟県生まれ、ロンドン育ちの32歳。
次世代のレディー・ガガと呼ばれる、大躍進中のポップスターです。

2020年1stアルバム「SAWAYAMA」は、世界中の音楽メディアが選ぶ「Album of the Years」にリストアップ。エルトン・ジョンと共演、レディー・ガガと共作を発表と、大御所アーティストも認める才能と実力。
2022年2ndアルバム「ホールド・ザ・ガール」はイギリスチャート初登場3位。ワールド・ツアー「Hold The Girl Tour」は世界各地で大盛況。

今年9月日本公開のキアヌ・リーヴス主演「ジョン・ウィック4」では、真田広之の娘役としてスクリーンデビュー。エンディング曲も歌います。

華々しい活躍のリナ・サワヤマですが、下積時代を経て、花開いた苦労人。音楽業界にコネが無かった彼女は、レコーディングやプロモーションの資金を自分で調達。アップルストアで働いたり、モデルやネイリストをしつつ、音楽活動を続けた頑張り屋さんなのです。

後ろ盾のない日本人が、下積みを経て海外でスターとして大躍進中。大谷選手同様、我々にとって嬉しく誇らしい存在です。しかし認知度は今ひとつ。
中高年に至っては、知らない人が殆どでしょう。
頑張る姿が一目瞭然のスポーツ選手は、我が子のように応援しますが、「若者文化」特に音楽に関心が薄い。いつの時代も年寄りは、新しいもの、知らないものには抵抗があるもの。

私もそのような中高年のひとりでしたが、思わぬケガがきっかけで、リナ・サワヤマを知ることに。そして娘ほどの年齢差のある彼女のファンになったのです。

大寒波の日、凍結した横断歩道上で転倒、右手首を骨折した私は、手術のため入院。ご高齢の方々との相部屋で、5泊6日を過ごすことに。
病室に置かれている、車椅子や歩行器は「転倒⇒骨折⇒車椅子⇒寝たきり」を連想させ、56歳という自分の年齢に危機感を覚えます。

明日は手術、の深夜。鬱々とした心と痛みで眠れない私は、ラジオの洋楽番組で気を紛らわすことに。ゲストはプレスリー・ビートルズ時代から活躍、御年87歳の音楽評論家・作詞家の湯川れい子さん。

番組特集は「湯川れい子が選ぶ、2023年注目のアーティスト」。
「ロンドンを拠点に世界でブレイク中。今年は日本でブレイクする」とリナ・サワヤマの名前を揚げます。1960-80年代の洋楽を期待していた私は、がっかりしつつ、湯川さん選曲の2曲を聴くことに。

1曲目『コム・デ・ギャルソン』バブル世代には懐かしい、ファッションブランド名と同じタイトルに親近感。クールでスタイリッシュなクラブミュージック。ミレニアムに沸いた2000年前後、都会のオシャレな空間で流れていたサウンドのよう。徹夜しても元気だった若い頃が蘇ります。

2曲目『ホールド・ザ・ガール』1曲目のクールで無機質なイメージとは対照的。儚げなのに真に迫る歌声は、オペラのアリアを歌う歌姫のよう。 
今どきのデジタルサウンドの中に、隠し味のように入るストリングスは、昭和歌謡の名曲、岩崎宏美の「ロマンス」を思わせます。
曲は後半に向かって、盛り上がり、ドラマチックに終了。スケール感ある構成は、マドンナの30年前のヒット曲「ライク・ア・プレーヤー」を連想。

「新しいのに、懐かしさが見え隠れする音楽」に心惹かれました。
中高年の耳と心に響く、湯川さんの選曲センスはさすがです。

番組終了後、ネットでリナ・サワヤマの音楽を聴きまくります。
「懐かしさ」だけではありません。多彩な音楽の才能に驚かされました。
宇多田ヒカルや椎名林檎を連想させる曲もあれば、キュートなガールズポップ、ヘッドバンキングしたくなるメタルソング、カントリーなダンスミュージック、歌とギターだけのアコースティック、と多種多様。

ニューヨークのライブ映像では、激しいダンスをエレガントに踊るリナの姿に観客は熱狂。そして、リナとともに全曲目を大合唱。
「昭和歌謡っぽい」と夢中で聴いた「ホールド・ザ・ガール」をニューヨーカーが、張り裂けんばかりの声で合唱する光景に「音楽に時代・国境は無し」と胸が熱くなります。

すっかり、リナ・サワヤマに魅了された私。
人物と背景を知りたくなり、ネットで検索しまくります。

4歳の時、両親ともにロンドン移住。帰国後に困ることの無いよう、日本人学校で学び、J-POPや歌謡曲に親しみます。「音楽の原点は宇多田ヒカル」「山口百恵さんを尊敬」と語る彼女の腕には、百恵ちゃんのタトゥーが。

両親の離婚を機に、母とロンドンに残ることになったリナは、地元の学校に転校。言葉と人種差別の壁にぶつかるリナを救ったのは、大好きだったポップミュージックでした。DTMでの音楽制作や、友人とバンド活動を楽しむように。言葉の壁も乗り越え、学業では優秀な成績を収めます。

心理学や社会学、政治学に興味があったことから、ケンブリッジ大学へ進学。高い志で入った学び舎で、激しい人種差別やいじめにあい、うつ病に。
LGBTQのB、バイセクシュアルでもある彼女を救ったのは、大学で出逢ったクィアコミュニティ(性的マイノリティや、既存の性のカテゴリに当てはまらない人々)でした。
コミュニティに支えられたこと、大学生活での辛い経験を通して、学問を深く学んだことが、彼女の音楽の血となり、骨となります。
大学を卒業したリナは、自分の思いを表現できる音楽の道へ進み、スターとなったのでした。

多くの人々が楽しめる、ポップでキャッチーな音楽や、ユニークで風刺のあるMVで、自らの体験や思いを表現、社会や人々に発信し続けるリナ。
生きることが辛い人や差別に苦しんでいる人々には「癒しとエール」を、社会に対しては、差別にNOと声を上げ、人々の心の痛みと理解を求めます。

声を上げるのは差別に対してだけではありません。環境破壊や行き過ぎた物質主義に対しても警鐘を鳴らします。社会に対してNOと声を上げることは、反発やリスクも大きいもの。強い信念と勇気のあるリナを尊敬します。

日本人として、クウィアとして、声を上げ続け、世界で活躍するスターとなったリナ。育った環境は違えど、大谷選手と同様、日本の若者に勇気と希望を与えてくれる人物です。
そして、我々中高年にとっては、音楽を通じて「変化が必要なこと、守らなければならないこと」を教えてくれる存在。ボブ・ディランやジョン・レノンの歌に心動かされた私たちなら、彼女の思いを受け止めることができるはずです。

日本の音楽評論家で唯一「マイケル・ジャクソンのスリラーは世界中で大ヒットする」と予言した湯川れい子さん。もちろん的中でした。
湯川さんの予言通り「今年は日本でブレイク」することを期待します。

リナ・サワヤマを知ることで、少しではありますが、社会について考えるようになり、最新ポップミュージックで心が若返った私。

心が若返ると、見た目も若返りたくなるもの。大谷選手の美容液が気になります。メジャー級の美肌になれるかも? 
スターに影響されまくりの私。美容液とリナの音楽で若返り、頑張ります。 

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※リナの歌の理解が深まる、ロンリーハーツクラブさんの記事を入れさせていただきました。

最後まで、読んでいただきありがとうございました。
またお会いできるのを楽しみにしています。やんそんさんでした。


※以下の記事を参考にいたしました。

朝日新聞デジタル「絶望と戦い続けた経験と向き合うことで人生が浄化された」世界が注目するRina Sawayamaのポップスの奥にあるもの


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