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息子くんの落とし物

知的障がいの息子の目標は、支援学校の高等部の時代から、公共交通機関を使って1人で事業所に通うことでした。
先ず私が沿線の主たる事業所を見学に行きます。その上で息子と見学に行き、そして体験実習をお願いする。さらに学校からの実習場所として受け入れをお願いするということを繰り返してきました。

3日間の実習では、1回目は付き添いますが、2回目は私の見守り下で、1人で行かせます。電車などはなんとかなりますが、身長差が大きいので、徒歩での移動は息子の足の速さに追いつくのが大変です。ですので自転車で追いかけたりと、尾行していました。

夏場の実習は追いかける私の方が先にバテていました。幸いにも初期の段階で、本命の事業所を見定めたので、2年間みっちりと通う訓練を積みました。

支援学校を卒業し。その事業所に通うことになりましたが、なんせ初めて公共交通機関を使っての通勤です。なにかとトラブルがありました。

少し慣れた頃、息子が家を出た後、私も駅に向かいましたら、道の真ん中に、息子の図書カードが落ちていました。その先に定期券が落ちていました。慌てて駅に急ぐと、改札の前で、へらへらと立っている息子を見つけました。万事このような感じの人なので、こちらも気を抜くことができません。

その都度、定期券を落とさないようにする方法を考え、改良を重ねてきました。
それでも息子は通算5回、定期券を落としました。まったく油断大敵です。

定期券や財布以外にも
連絡帳がない→出てこなかった。
本屋で現金を落としてみたり→見つかるわけない!
財布を落としてみたり→歩いた道を息子とたどり発見
旅先でキャリーバックを置き去りにしたり→無事に回収
数々のものを落としてくるのです。

だからあらゆるものに、名前を書き、紐で縛り付け、落とさないようにしています。なにより私自身が「天災は忘れた頃にやって来る」の諺を常に忘れないように戒めています。

先程、ショートステイのスタッフから貴重品袋が入ってないと連絡が来ました。
こんなときは、下記の流れで探しますが、今回はカバンの中で発見されたと連絡が入り③の時点で一件落着でした。

①家を探す
②駅までの道を探す。
③駅構内を探す。
④駅員さんに落とし物がないか尋ねる。
⑤ホームを探す。
⑥行き先の駅を探す。
⑦忘れ物センターに連絡する。
⑧家までの道を探す。
⑨事業所に忘れていないかを確認。
⑩警察に遺失物届を出す。

いつまでこんなことをくりかすのかなぁと
情けなくなることが度々あります。
でも私が死んだから、できなくなることだから、
足腰にガタがくるまで、死ぬまでは付き合ってやろうと考えています。
というか、付き合うしかないのです。

「家族」とは
ホントめんどくさい人間関係かもしれません。

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