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ブレインヘルスケアの夜明け

キーエンスを退職し、北米MBAへ。そして、シリコンバレーのVCで修行。
2017年に株式会社Splinkを創業しました。創業からもう6年半が経ちました。

『入社3年以内にキーエンスで日本一になる』
なんとも暑苦しいコミットメントを掲げ、鼻息荒く、ビジネスパーソンとしての第一歩を踏み出しました。

キーエンスでは、入社して徹底的に叩き込まれるテクノロジー教育。技術営業から北米での事業開発やグローバル重点顧客チームでのマネージャー業務、ブラジルやメキシコなどの現地法人の立上げ等幅広い業務に従事しました。在籍中に4桁を超える工場や研究機関を世界10カ国以上で訪れる経験をしました。

10年間、偉大な会社で、貴重な経験をさせてもらいました。

キーエンスを辞めてからは、再びアメリカに戻りました。会社の外に出てMBAという学術的な観点、そして現在の起業家という実業の観点から見ると、キーエンスの内部にいるときには、その”宝物の山”に気付けなかったんだなと感じます。


振り返ると、キーエンスは事業、企画、開発、管理 etc すべてのビジネスプロセスをサイエンスする、”事業家養成学校”のようなものです。
当時、ものづくりを通じて世の中のあり方を変えるという強い意志に魅了され、1990年台の黎明期の残り香を感じ取れる2000年代初頭で魑魅魍魎のビジネスマンに揉まれ、”もっと上に、もっと前に”という想いで毎日仕事をしていました。

20代後半でマネージャーとしての海外経験を積む機会。国内で大成功している仕組みを途上国に展開し、一から会社を立ち上げていく仕事は刺激的以外の何ものでもありませんでした。

そんなある日、母からの一本の国際電話。そこから、僕のブレインヘルスケアへの長い長い道のりがはじまりました。

これから考えをまとめて色々と書いてみたいと思います。今日は「ブレインヘルスケア」への想いを書いてみたいと思います。

ブレインヘルスケアへの想い

ブレインヘルスケアとは、
脳の健康を維持するための活動や状態を指す概念です。
身体的、精神的、社会的に、すべてが満たされた状態であるようにと
脳から気づかう姿勢や志向を指しています。

by Splink

Splinkは、ブレインヘルスケアという概念の普及・浸透をコーポレートミッションとしています。現在の中心的な取り組みの一つである認知症をはじめ、うつや統合失調症、その他の神経・精神疾患の予防や治療、また共生ができる社会に貢献をしていきます。

創業時は「脳から新しいライフスタイルをデザインする」をミッションに、AIソリューションや医療機器プログラムの開発に着手していきました。きっかけは父の脳疾患という私の個人的な体験でした。

身の回りに起こった事から、社会課題を深ぼっていくと、医療技術は日本のように医療が発展している国であっても医師の経験や知識に差があること、そしてその差は、個人によっても、地域によっても格差があることを実感しました。

中でも、私の家族が直面した脳の課題については、個々人にとって深刻なものなだけではなく、社会的にも切迫した問題であることが分かってきました。少子高齢化の急激な加速による労働生産性の低下など、日本社会の課題に直結していることが見えてきたのです。

今は、テクノロジーとビジネスを通じて、ブレインヘルスケアを社会に浸透させ、課題解決を目指すという立場にいますが、当時は怒りにも似た憤りとどうしたらいいかわからないという不安、家族をどうサポートしていくのかという差し迫ったものがありました。

時間の流れと共に、これは我ごとだけではないというところから、キーエンスという”事業家養成所”で徹底的に鍛え上げたテクノロジーとビジネスの観点から、自分がどう貢献できるか。それがSplinkのブレインヘルスケアの起源であり、医療業界の出身ではない僕がこの事業を選び、大きな未来を作り出すために挑戦している背景です。

ブレインヘルスケアを通じて、社会課題の解決にどうつながっていくのか。それを理解するために、認知症をはじめとした脳疾患を取り巻く現在地を一緒に見ていきたいと思います。

起業家として

”ブレインヘルスケア”という言葉を考え出したのは、創業してから一年半強が経過したタイミングでした。当時、建築家とデザイナーの友人と熱海で合宿をしていた時、Splinkの取り組みを徹底的に掘り下げ、研ぎ澄ませていった時、一つの言葉になったのがブレインヘルスケア。

この言葉を聞くと、希望と力が湧いてきます。

少し毛色は違うかもしれませんが、がん医療がもたらした巨大な社会インパクトを想像せざるを得ないからです。メンタルヘルスケア、ウィメンズヘルスケアなどの言葉が一般化される中で、これからはブレインヘルスケア。

数十年前には「がんは一度なったら終わり」と言われていましたが、治療技術や早期発見の技術が社会実装されていった結果、今では予防、診断、治療、がん保険などの社会的リソースが人々の目の前の選択となりました。その結果、がんに対しての生活者の方々の心理的な安全性に大きな確信があったと言えます。

認知症をはじめとした脳疾患も今、まさにその瞬間を迎える時代に来ています。技術イノベーションや政治や法規制の変化など社会の大きな流れが変わる中、起業家として想いを形に、現実にしていきます。

まとめると、
テクノロジーとビジネスのあいだ」からきた門外漢の私が
最高難易度のビジネスの一つである「医療業界」で起業家として挑戦。
ブレインヘルスケアを世界の当たり前にしていきたい。
そういう想いで事業をしているという感じでしょうか。

ブレインヘルスケアはまだ夜明け前。
ここから新たな常識を作っていきます。

まだまだ書きたいことはあるのですが、今日はこんな感じで。


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