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茅場町屈指の老舗焼き鳥店のやきとり丼【やき鳥 宮川 @茅場町】

茅場町。僕が知りうる東京の地名の中でトップクラスにかっこいい名前の町だと思う。特に頭に「茅」という漢字が入っているのがかっこいい。その後ろに「場」と「町」をつなげて「かやばちょう」と読むことがさらにかっこいい。茅場町に住んでます、って言える人がいろんな意味で僕はちょっと羨ましい。

そんなかっこいい名前の町は、日本橋の東にあるということもあっていわゆる超が付くほどのビジネス街。平日はスーツを着たサラリーマンやOLでごった返しており、この町全体が一体いくらのお金を動かしているのだろうと想像もつかないような数字について考えさせられるような町だ。

しかしこの茅場町はただビジネス街というだけではない。カッコいい名前の町で働くカッコいいビジネスマンたちの胃袋を支えてきた、数多の飲食店が立ち並ぶグルメタウンでもある。その証拠に茅場町や日本橋周辺のお店には平日しか営業していないお店がかなり多い。料理の味なんて大して感じずにおしゃべりに夢中になって席を長時間占領するアホ女子会やクソカップルは休日に足を踏み入れようなんてことは叶わない。昼休みにいったん仕事のことを完全に忘れて一人でまっすぐ料理に向き合うサラリーマンや、社内ではビジネスライクな固い関係でもお店で共に美味しい料理に舌鼓を打って笑い合うプロジェクトメンバーといった、忙しい日々の息抜きをするためにやって来る客をお店は歓迎しているのかもしれない。だから茅場町のお店はビジネスマン達の胃袋も心も満たしているのだろう。それ故か、茅場町というカッコいい名前に不釣り合いなほど太ってしまったサラリーマンもたまに見かける。茅場町で体型を維持するのは少し大変なのかもしれない。



僕がそんなカッコいい名前のビジネスグルメタウンに降り立ったのはとある平日の昼頃。僕は茅場町で働くビジネスマンではない。僕はただただこの町の絶品グルメを求めてやって来たのだ。この時の茅場町はちょうどランチタイム。昼休みであろうビジネスマン達はみんなお店を探しているように見える。僕も彼らに遅れをとらないようにお店に入らねば。

そう思って足を急がせ、やって来たのは「やき鳥 宮川」というお店。このお店は1949年に食肉卸業として開業し、その後1969年に焼き鳥屋さんとしてオープンした茅場町で古くから愛されている焼き鳥屋さんだ。グルメ好きなら一度は名前を聞いたことのあるような有名店であり、ランチタイムは行列の絶えない人気店になっているようだ。僕もこのお店は以前から知っていて、ずっとGoogleマップにピン留めしていたが、なかなか来るチャンスがなかった。なぜなら、このお店もまた平日しか営業していないからだ。平日しか営業していない上に行列店。勤務地が茅場町周辺以外のサラリーマンにとってはなかなか訪問ハードルの高いお店だ。

僕がお店に着いたのは13時ごろ。茅場町駅を出て走ってやって来た。お店には遠くからでも分かるほどの行列ができている。少しでも先に並びたい僕は最後尾の場所までダッシュした。駅から走って来て本当に良かった。なぜなら僕が並び始めた1分後くらいにはもうすでに10人くらい後ろに並んでいたからだ。

僕の前には5~6人ほど並んでいたが、意外にも5分くらいしか待たずに入店することができた。お店に入ると思っていたより席が多くてその事実に納得した。お店の壁にはかなり年季が入っているようで、お店に歴史があることを感じた。僕は空いていたテーブル席に案内され、腰かけた。そういえば入口の前にメニューが置いてあったけど、何を頼むか決めていなかった。お店の雰囲気的にすぐに注文しなければいけなそうな感じがしたので、僕はテーブルに置いてあるメニューの中で一番目についたやきとり丼を注文した。ご飯の大盛りが無料だとのことなので、お言葉に甘えて大盛りにしてもらった。注文した後に、やっぱからあげ定食にすればよかったかな~なんて思ったけどもう手遅れだった。店員のおばあさんがスープとお茶を運んできたけど、結構慌てていたようで僕の席にスープを置くときに普通にテーブルにこぼしてた。僕はその雑多な感じもきっと歴史なのだろうと思って何も言わなかった。

焼き鳥丼が僕のもとに到着したのは注文してから10分くらい経った頃だった。老舗らしい昔ながらの丼の中にご飯が敷き詰められ、その上に串から外された焼き鳥が三種類綺麗に並んでいる。この焼き鳥はレバ・ねぎま・砂肝のようだ。僕の大好物ばかりじゃないか。さっそくいただこう。

やきとり丼

食べてみると、どれも肉質が良い。僕は特にレバが美味しいと思った。とろけみのある柔らかさがあり、レバ好きの本能を刺激してくる食感がある。砂肝とねぎまも柔らかい。肉質の良さと焼き加減の良さは十分に感じられる焼き鳥だ。焼き鳥にはタレがしっかりとかけられており、一見ご飯が進みそうな見た目ではあったが実は見た目ほど味つけが濃くなかった。ベースの鶏肉の下味も結構控えめで、ご飯が進む!といえるほどの味のパンチは正直感じられなかった。丼ではなく、焼き鳥として食べるには良いかもしれないがご飯の上に乗せて食べるには少し物足りない味かなと思ってしまった。

ちなみにスープはなぜか2つ来た。注文してすぐ1つ、焼き鳥丼が運ばれてきた時にもう1つ。一体どういうことだったのだろう。理由はまったく分からなかったけどとりあえず2つとも飲んだ。

周りを見るとからあげ定食を頼んでいる人を多く見かけたので、ひょっとしたらこのお店のランチの名物はからあげ定食だったのかもしれない。みんなが食べてるからあげ定食美味しそうだったな。やきとり丼も悪くはなかったので、次にこのお店に来ることがあれば絶対にからあげを注文することにしよう。

会計は950円。1000円を切るのはありがたい。
今度平日に茅場町に来る時があったら、次はどこに行こうか。この辺りは平日限定のお店ばかりだ。
いつか会社にとらわれず、自由に飲食店を巡れるような未来を手に入れられたらいいな。
そんな日は、果たして来るのだろうか。


今回行ったお店


やき鳥 宮川
●住所:東京都中央区日本橋茅場町3丁目5−1
●アクセス:茅場町駅2番出口から徒歩2分
●営業時間:11:00〜13:20頃 /
                    17:00~22:00(21:15 L.O.)
●定休日: 土日祝
●支払い方法: 現金のみ
●駐車場:なし


頼んだメニュー

●やきとり丼 大盛り¥950

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