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あの子の分まで

こんにちは、こんばんは。中一からやり直したい。

唐突にフィルムを現像すれば、数年前付き合っていた彼女が出てきた。
あの子はたしか6歳年上で、ショートヘアーがよく似合う子だった。

長野県の八ヶ岳連峰、とある湖近くの原生林とともに。
その頃の彼女への想いといえば、ひたすらに僕を好きになってもらう事だった。どちらかといえば僕の猛アタックで付き合うことになったから、彼女からしたら可愛い年下くんくらいにしか思っていなかった。だから本気で好きにさせたくて、僕はずっと無理をしていた。
要は追いかけられるより、追いかけちゃう方の。
紆余曲折あったけど、追いかけちゃうと、追いかけられる方は辛い。それは野球やサッカーの試合といったスポーツの類でも。

無理が祟って、あの子との恋愛は綺麗に崩れていった。爆破解体されるマンションのように、跡形もなくなった。美しくありたかったけれど、儚かった。

この恋愛を通して今の僕はだいぶ変わったと思う。あの子となんで付き合ってたっけ?
無理していたことがわからなくなった。わかっていたことがわからなくなった。だからちゃんと、わかる恋愛をしようと思った。


5年も経つと、音楽のシーンは当然のように変わる。この音楽と出会えても、もうバンドは活動していなかったりする。


夕刻

あの子の分まで。やり直したい、一から。

中一からやり直したい。

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