太陽男

【パラオの神話・伝説】太陽探し

パラオの神話・伝説シリーズ/神話素材番号:001/引用:Kramer Vol.4 story168/男達が太陽を探しに行くお話


遠い昔のある日、パラオのペリリュー島のガラケウクル(Ngarakeukl)という村にいた四人の長老たちが、海岸に座り、沈んで行く太陽を見ていた。

彼らは、太陽は沈んだ後どこへ行くのか、追いかけて確かめることにした。次の日の朝早く彼らはカヌーを出し、西へ向とかった。夕方になり、彼らは太陽の非常に近くまで行くことができた。

その時、太陽はマングローブの赤い実をいくつかもぎ取り、それらを海へと投げ込んだ。するとすぐにサメがそれを狙って噛み付こうとしたので、太陽はその隙に海底へと沈んでいった。

それを見た四人の長老たちも同じことをした。赤い実を投げてサメの注意を逸らすと、そのまま潜っていき、ついに彼らはある家の屋根の上にたどり着いたのだった。

その家の屋根には太陽が引っかかっていた。彼らはそのまま屋根を滑り降りて地面に降り立った。すると家の中にはたくさんのバナナと果物が詰められていたのだった。彼らはそれを食べ始めた。

しかし、彼らがいたその家は、神の一人UGELKEKLAU(ウエル・ケクラオ)の家で、しかもそれは便所でもあったのである。UGELKEKLAU(ウエル・ケクラオ)は突然空腹を感じたので、使いを一人その家に送り、「私は腹に痛みを感じている。誰かがそこで私の食べ物を食べているに違いない。見てくるように。」と言った。

使いは四人の長老をそこで見つけた。そしてUGELKEKLAU(ウエル・ケクラオ)にこう伝えた。「父よ、四人の男がそこにいて食物を食べています。」。

UGELKEKLAU(ウエル・ケクラオ)は彼らをここへ連れてくるように使いに命じた。そうして四人はUGELKEKLAU(ウエル・ケクラオ)の元に連れてこられた。


彼らには食事が与えられたが、しかしそれは小さな魚と、少しのタロイモだけであった。四人は不平をこぼし、これでは決して満たされないと言った。しかし、UGELKEKLAU(ウエル・ケクラオ)は、彼らに「食べ続けるように、お前たちはそのうち十分に満たされるだろう。」と言った。

彼らは不思議に思い食べ進めて見たが、確かにUGELKEKLAU(ウエル・ケクラオの言う通り、魚の塊を一つ食べ終わるとそこにはやはり魚の塊が先ほどと同じように置かれており、それは決して尽きることがないのであった。彼らはそこに座り、満腹以上に食べ続けたが、食べ物はさらにやってくるのであった。

UGELKEKLAU(ウエル・ケクラオ)は彼らが困っているのを見ると、「もし今取るなら、それは終わるだろう(if you take now, it will be finished!)」と言い、すると食べ物はそこで終わった。四人は彼らの木の皿を洗って、そのままUGELKEKLAU(ウエル・ケクラオ)のもとにとどまった。


そうして四人は今は天にいて(いつの間にか海底から天へと移動している)、UGELKEKLAU(ウエル・ケクラオ)のもとにとどまっていたが、彼はいつも外へいく時は四人に、そこの火のそばにある大きな貝は絶対に開けるなと言っていた。

ある日、UGELKEKLAU(ウエル・ケクラオ)が外出したときに四人はとうとう我慢できなくてその貝を開けてしまった。突然、通り風のように、彼らの目の前に故郷のガラケウクル(Ngarakeukl)の光景が現れ、人々が岸辺で遊んでいるのが見えた。彼らは故郷が恋しくなり泣き出した。

しばらくしてUGELKEKLAU(ウエル・ケクラオ)が戻ってきて、彼らが泣いているのを見つけた。彼らに理由を尋ねたが彼らは涙が止まらず答えられなかった。そこで彼は四人が泣いている理由を察した。「もう泣くな、明日お前たちは帰れる。」


次の日の朝、UGELKEKLAU(ウエル・ケクラオ)は、使いのものに四つの節がある竹を持ってくるように命じた。

最初にUGELKEKLAU(ウエル・ケクラオ)は一つの石を取り、それを投げ落とした。その石は今でもその場所にそのまま残っている。

それから男たちを竹のそれぞれの節の中に入れて、最初の男に快適かどうか尋ねた。最初の男は答えた「背中がチクチクします」。UGELKEKLAU(ウエル・ケクラオ)は、「お前が地上に戻ったら、お前の名はガドレケロイ(Gadrekeroi)となるであろう。」と言った。二人目のものに同じように尋ねると、「何かが体の脇にあってチクチクします。」とそのものは答えた。そして彼はガドルペルー(Gadlpelu)となった。三人目のものは内臓が痛いと訴えた。ガデラグ(Gedelag)と名付けられた。そして最後のものは「私は痛みの中にいる。」と訴えた。するとウエルメケディウ(Ugelmekediu)となった。

四人が全て竹の節の中に収まったのち、UGELKEKLAU(ウエル・ケクラオ)はKesuk(ケスク=variegated croton)の葉を取り竹の端に詰めた後その竹を地に放り、竹はガラケウクル(Ngarakeukl)と言う場所にあったグルルクル(Ngururukl)という岩に刺さり亀裂が入った。


その後、竹は流れて砂浜に流れ着いた。子供達がそれを見つけ、中から人の声がするのを聞いた。子供達は走って行って親たちに伝えるとたくさんの人々が集まり、皆で話した結果、竹を割ってみようとした。すると中から声が聞こえ、こう言った。「切らないでくれ、ただ栓を取ってくれ。」

そこで人々はそのようにすると、中から長い間行方不明になっていた四人の男たちが出てきたのであった。


そうして、今に至るまで、彼ら四人がガラケウクル(Ngarakeukl)の最初の長老となったのである。 彼らはKesuk(ケスク=variegated croton)をバイの隣に植え、それはやがて大きくなり大変美しい木になった。竹は、住民たちはそれを海に捨てたためそれは流れてガラカベサン(Ngarekobasang)にたどり着いた。そのためガラカベサン(Ngarekobasang)には今でもたくさんの竹があるのである。また、ガラケウクル(Ngarakeukl)の人々はそこへ言って好きなだけ竹を取ってもいい権利をいまだに有しているのである。

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