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蔵出し:「Squeaky Wheel Gets Oil!」from 野菜さらだの『アメリカは、住んでみなくちゃわからない!』(第38回

※この蔵出しシリーズは、1996年~2002年までアメリカに留学していた野菜さらだが後半の1999年~約三年間、週2回発行していたメールマガジンの記事をそのままそっくりお送りするものです。今回は、毎日更新していきますので、お楽しみいただければ幸いです!

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  野菜さらだの
   『アメリカは、住んでみなくちゃわからない!』(愛称アメすん)
        (1999/10/8発行) 第38号 (火・金曜発行+日曜版)
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◆本日のテーマ「Squeaky Wheel Gets Oil!」

 このフレーズを直訳すると「キーキー鳴る車輪はオイルがもらえる」転じて、騒げば何かが転がりこんでくる、という意味です。どういうことを指すのか、それが今日のテーマです。

 こちらでは大学院生が教官のアシスタントのような仕事をするのは半ば当たり前でそうすると授業料もかなり免除になる上、少ないながらお給料ももらえるシステムになっています。もちろん、私もこの職を受けまくり、そして落ちまくりました。初めて落ちたときにアドバイザーの先生から「どうして落ちたかその理由を尋ねてみなさい」と言われたのです。「えーそんなこと、していいんですか?!」と半信半疑で私を採用しなかった相手方に電子メールを打ったところ、丁寧に理由を説明してくれる返事が返ってきました。

 日本で就職試験に落ちたとき、相手の会社にその理由を尋ねたことなど全くなく(大体、暗黙の了解でそれはご法度という慣習ではないでしょうか?)、この経験は日米の習慣の違いを思い知らされる一つのエピソードでした。

 留学生の場合、何かうまくいかないことがあると「英語が下手だから」とややもすると英語力のせいにしがちですが、私が不採用だった理由は、仕事の内容に対する具体的なイメージを持っていなかったから、というのが主たる理由でした。このように具体的な「不採用」の理由を聞けたことは、次に別の就職試験を受けるときに非常に役に立ちました。

 また、こんなこともありました。ある奨学金に応募したのですが、やはり落ちてしまい、いつもと同じように担当の部署へ理由を聞きに行ったら(このときは直接面談しました)、「うーん、あなたの書類をみると、ちょっと選ばれなかった理由がはっきりしないわね。もう一度会議にかけて検討しましょう。結果は後日連絡しますね。」と言われ、数日後、なんと奨学金はもらえるという通知を受け取ったのです。あのとき、直談判に行かなかったら、という話を最初に「いつも落ちたら理由を尋ねよ」と教えてくれた先生にしたところ、先生が教えてくれたのがこの”Squeakiy Wheel Gets Oil!”というフレーズでした。ここでは、黙っていて得をすることはまずないと考え、どんどん理由を尋ねたり、自己主張することが多くのチャンスをつかむのに重要のようです。

 その際、大事なのはまくしたてて文句を言うのではなく、あくまでも「明るく前向きな姿勢」("Be Nice"の精神、これについてはまた改めて)でいくこと、これがコツです。                 (つづく)

◆おまけ:この”Squeaking~”という諺に当たる日本のことわざはないかと
考えたのですが、思い出されるのは「果報は寝て待て」「出る杭は打たれる」といったこの諺とは対局のものばかり。どなたか知っていらっしゃいますか?

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◆お断り:この『アメすん』は、かつてアメリカのオレゴンに住んでいた野菜さらだが個人的に体験した、おもしろい話を友だちや家族に話すようなつもりで書いたものです。アメリカの他の場所とは違う、というエピソードも中にはあるかと思いますが、まあ、気楽に読んで楽しんでください。
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#創作大賞2023

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