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あなたと私の世界は違う色

昔の話です。1990年代、タグを打ってウェブ制作を始めた当初、ユニバーサルデザインについて、一応自分では配慮してるつもりでいたんだよねぇ。

「世の中には、色の見え方が違う人が居るんだよ。青と緑の文字は見えにくいんだよ。だから、その系統の色は使わないよ。」

たった、これだけ。そう、分かったつもりで全然わかっていなかった。ということで。

▼今朝の那覇。薄曇り。こんな景色です。

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▼あるタイプの人には、こう見える。

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▼そしてまた別の人には、こんな感じに見える。

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視覚の多様性

色を感じ取る錐体の一部が先天的に違う人、病気やけが、ストレスなど後天的な問題で色を見る感覚が変化した人は、日本国内でおよそ350万人。世界では2億人と言われる。

色覚異常の割合は、日本人男性の5%。すなわち20人に1人。女性は0.2%、アフリカ系男性は2~4%。白人男性が6~8%。なかでも仏・北欧系は10%と言われている。

色とは、目の前にある物質そのものではなくて、太陽が発する電磁波の可視光と言われる範囲の波長のこと。電波、紫外線、エックス線、ガンマ線なんかと全く一緒。そのなかの380ナノメートルから780ナノメートルが可視光として水晶体を通して網膜に入り、信号情報として脳に伝えられ、視覚処理され最終的に脳の後頭部で明確にイメージされる。

一言でいうと、光の波長の情報を脳が眼に見えるよう置き換えたもの。

しかし、老いて水晶体が黄変してくると、紺と黒を見分けにくくなるし、白と黄色の判別が困難になる。明るさに対する感度も変化する。

最近、脳が誤作動・勘違いするという研究があったよね。誰かの本に「腸は賢いけど脳はバカ」なんてのもあったっけ。

脳のイメージに過ぎないとしたら、私の脳が感じた赤は、あなたの知る赤と違うかもしれない。人はみな、同じ世界を見ているわけではない? 

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同じ花を見た時に、上の色を感じる人、下の方の色を感じる人もいるはず。(写真=色彩検定教科書より)

どちらも「きれいなピンクだね」となる。

自分(の視ている世界)は正しいと思っていても、実は違うかもしれない。しかも太陽が映しだす世界は、場所によっても色を変えてしまうし、朝日、夕暮れ、照明などによっても、また変わる。

鳥類の色覚能力は人よりずっと優れている。彼らは、人に見えない色、つまりは波長を見ている。おどろくほど鮮やかな色でメスを引き付けようとするのだが、かつては人も、鳥たちと同じ色覚を持っていたらしい。どうも、進化の過程でその能力を失ったようだ。

いずれにしろ、自分と違う世界に生きている人がいるってことを理解するだけで、世の中はずいぶん暮らしやすくなる。ユニバーサルデザインが当たり前の社会になると良い、と切に思うのだけど、ね。

要は、色に正解は無い。そして人も同じ。人種や宗教、価値観、性別、環境。自分とは違う人たちがいて、一緒に世界を作っているってことさ。