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Isabelle Antena - Hoping for Love

ボーイフロムイパネマのベッドルームテクノイメージあるアンテナだが、ソロ名義1987年の本作は自身によるプロデュースでラウンジテイストやポップスとジャズテイストを取り込んだ感度の高い音楽に仕上がっている。クレプスキュール感は維持しつつより一層時代や時間感覚を取り除いた不思議な印象をまとった作品だ。

冒頭のLe Poisson Des Mers Du Sudは、南の海の魚という意味のタイトルだがその質感はどこかマルグリットデュラスの小説の世界のような静謐さがある。ボーイフロムイパネマの時とはまったく異なるアプローチでボッサを奏でているが静謐な質感は変わらない。

I Will Jamは、ビッグバンドを思わせるホーンアレンジとスウィングが心地よい1曲だが、テクニカルなスキャットや複雑な和声を織り込んだコーラス等、細部のボーカルアレンジガルバらしい。中盤にわずかにはいるオルガンのソロから続くボーカルの盛り上げ方が素晴らしい。

Laying On the Sofaは、エレクトロブルーアイドソウル期のスタイルカウンシルを思わせるリズムアプローチが素晴らしい。ここでもやはりボーカル、コーラスのアレンジが心地よく、ひっかかりのあるコード進行をリードしていく雰囲気の作り方や、ギターがカッティングで作り出す静かなグルーブがとても心地よい。

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