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The Cat’s Miaow - The Long Goodbye (Bliss Out Vol. 14)

1990年代にオーストラリアで活躍したギターポップバンドが1999年に発表した5曲入りEPは、バンドの初期の頃に見られインディーポップ然としたアレンジによる短い曲を大量に詰め込んだ作品群からは少し距離を置いた作品だ。このアルバムを”cinematic ambient pop style”と評しているレビューもあった。元々淡さやアンビエント感を持ち合わせたバンドではあったがここの収録された5曲はいずれも既発の楽曲のニューバージョンという形で発表されている事から、新しいフェーズの提示のようにも思える。

Phoebeは、電子音やギターのフィードバックと思われるサウンドによるアンビエントドローンをボーカルが牽引する。挿入されているSEの雰囲気からシネマティックな要素も見え隠れするが、ボーカルが楽曲の輪郭を際立たせているためにサウンドのコアになっているアンビエントスケープが前面に出てこないところが面白い。

Fadedは、オルガンの長音の響きとボーカルのエコーが共鳴して全体でドローン的な雰囲気を醸し出している。コードの変化はポップマナーで、コクトーツインズが持つ4AD的な雰囲気もある。

If Things Had Been Differentは、フィルターを使った変化を織り込んだシンセベースによるミニマルシーケンスがサイケデリック感を作り出している。ボーカルのメロディーはより断片的になり、コードの移り変わりは曖昧になっている。後半はほぼインストで、美しい浮遊感を残しつつフォーマットは完全にギターポップから逸脱している。この辺りの変遷は非常に興味深い。

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