記録026

また風邪を引いている。
1年に2度も風邪をひくなんてことはこれまでになくて、いくらいろんなところで「若い」といわれていても(そして事実そうでも)、加齢ととも体力も免疫力も落ちているのだなと痛感する。
今週の4日間はとても目まぐるしくて、ちゃんと寝ることもままならなかった。こういう感じ、久々だなあと思っていた矢先のことだった。

学部生のころの私にとって、家というものはほんとうにほぼ寝るだけの場所だった。4年生の後期まで全休の日はなかったし、160くらい単位を取っていて、サークルも3つやっていて、バイトで年間100万くらい稼いでいて、学校もバイトもほかの予定もない日なんて年に数回、実家にも2年に1回くらいしか帰らなかった。学校が終われば夜行バスで東京へ行き、1日歩き回ってまた夜行バス、帰って着替えて1日バイトしてまた夜行バス…というような生活は当たり前で、そうしている自分になんの違和感も不安もなかった。
だから、わたしはずっと、「わたしの生活にとって、芸術は日常的事物である(=非日常的体験ではありえない)」と思ってきた。

けれど、きょう1日ぼんやりと家にいて、「わたしは休めている」と思った時、わたしはようやく、「当時のわたしはそもそも『生活』などしていなかったのだ」、ということに気がついた。わたしのなかには連続性をもった「日常」が存在していなかった。それが今、概ね同じ時間に起き、同じ時間だけ働き、同じ時間眠ることを続けざるを得ない状況にあってはじめて、「自分自身を破綻させない」ための「生活」ができているのだ、ということが、いまようやく理解された。
20歳でようやく「人間」になってから、ずいぶん長い時間をかけたけれど、いまそれ気づくことができて、本当によかった。

風邪を引いているときは自分に制限を設けないことにしたので、よく分からない味のするアイスも食べるしおやつも食べるし、1日じゅう『くるみ割り人形』をみてもいいんだ。

ありがとうございました。いただいたサポートは、次の記事を書くための資金として運用させていただきます。