記録027

先週から引いている風邪が長引いている。元来身体は丈夫だが、風邪は長く引くほうだった。
薬を飲み忘れて寝ると、夢の中で夢を見る、夢の中で起きたり現実で起きたりを繰り返してやたら疲れる。

落ち込むことがあった夜は、いつも幸福な夢を見る。間違えたことがなかったかのように、みんなと仲良く笑い合う。起きた時にほんとうに惨めで堪らなくて、心がやたらと乱れる。言ってしまったことは取り消せやしないし、信頼貯金がゼロになったことを記帳しなくちゃいけないのは本当に情けない。昔からたまに、選択肢を間違えたのを夜、布団の中でひとり反省して泣いていた。けれど今回は泣かなかった。疲れるから布団に入ってからあれこれと反省するのもやめた。わたしは大人になった。

きょうはがんの再発検査だ。三ヶ月に一度、この日が近づくたびに気が滅入る。大丈夫、大丈夫だ、とは思っているのに、いざその日になると「どうしよう」という気が起きてくる。どうしよう、といったって、どうすることのできるものでもないのに。右の甲状腺に見つかるだけならまだしも、もしリンパにでも転移が見つかれば、わたしの人生はほぼ終わりが見えたことになる。
けれど、それがどうだっていうんだろう。いつも、「どうしよう」のあとにくるのはそういう思いだ。
みんなやがて死ぬ。必ずだ。生物とはそういうものだ。死ぬのは怖いが、死ぬのはおかしなことではない。当たり前のことだ。当たり前のことなのにこんなにも怖いと思うのも、また当たり前のことだ。
実は、お金が無いから実家に帰るのは止めにしようかとも思っていた。けれど、「お金がないくらいでなんで実家に帰るのを止めなきゃならないんだ?」と自分の「強き部分」が顔を見せる。そりゃそうだ。お金がないくらいで、大学に行くこと、美を見ること、学ぶこと、医者にかかること、生きることをやめるものか!

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