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ごはんについて書くための習作62

午前中、裸足で仕事をしていた。気温が高い。打ち合わせを2つ終え、午後は作業だけ。高気温×午後Mtg無し=ビールチャンス。化学反応を起こすのだ(『ブルーロック』のモノローグで話が進むのがよくて見続けている)。子供は春休み。幼稚園の友達と小田原城で遊ぶと言って、10時過ぎに母親と弁当を持って出ていった。

自宅から城の方へ向かって城を少し過ぎたところにある蕎麦屋へ向かう。外に出ても気温が高い。城近くの小学校から正装をした大人と子供が出てくるのが見える。目の前を通り過ぎると「卒業式」と筆文字で書かれた紅白の立て看板があり、卒業式が終わったところだと分かった。「卒業式」の文字を見て、ふと、蕎麦屋が定休日なのでは、と思う。

定休日だった。蕎麦屋のおばさんが駐車場の草むしりをしている横を、歩く速度を落とさず通り過ぎ、少し先でUターン。仕方ないので、駅から城へいく道にある蕎麦屋に向かう。最近誰かに「桜、咲いている?」と聞かれたが誰だったか、まだ桜は殆ど咲いていないですよ。再び「卒業式」の看板前を通り過ぎる。

お堀の前に新しい市の施設ができて、併設されているカフェが目に入る。広場に丸いテーブルが4つ、それぞれに椅子が4つ。1つのテーブルに女性3人組が座っているのが見える。もう食べ終わっている。気温が高い。ここでビールとすることにした。
食事はピザとホットサンドが注文後に調理されるメニューで、その他にお弁当が4種類あった。堀の向こうの城では子供らが弁当を食べているので、それにならおうかと思ったが、弁当と酒と中年男性が3月22日の太陽に照らされているのも、あまりいい風景でないと判断。ホットサンドと生ビールを注文する。ビールと「1」と書かれたフードコートで渡されるような呼び鈴をトレイに乗せて外に出た。

女性3人組に背を向けるようにテーブルに座ろうとする。後ろから「生ビールあるじゃーん」「飲みたかった」という半分こちらに向けられているような会話が聞こえた。次の予定があるのか注文はしないようだ。バドワイザーが好きとか、暑い日はハイネケンがいいとか、そんなことを言いながら去っていくのが声の距離で分かった。「1」が外にいても鳴るのか不安になる。

ビールを2/3ほど飲んだところで「1」が鳴った。ホットサンドは板状の木に乗せられていて、テーブルにトレイと並んで板が2枚になった。メニューでは分からなかったが、ホットサンドにはピクルス(丸々一本)と、ジャガイモの油多めで炒めたもの、スープが付いてきた。ホットサンドの乗る板からスープをどかし、代わりにビールを置いた。完全に正解を引き当てた。お堀の前の道を卒業式終わりの家族が何組も通り過ぎる。日差しが強い。桜はまだだったけど晴れて良かったね、という気持ち。少しぬるくなってきたビールを飲んだ。

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