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ごはんについて書くための習作54

内側にラー油がついてしまっていたし、この後、外出の予定もないので、帰宅して外したマスクを捨てた。捨てられたマスクは、耳にかける部分をゴムのように使って小さくまとめられている。私の昼ご飯は坦々麺だった。

午前中の打ち合わせを終え、ママ友と子供たちとでプールに行くというので、子供と妻を近くの市民プールまで車で送って行った。15°に設定したままの車の冷房が良く効く。効き過ぎるくらいだ、温度を上げ、風量も少なくする。外が涼しくなった。
車を家に戻し、部屋に戻る。ポストに不在通知。家を出る時に見えた郵便局員がクレジットカードを届けに来ていた。QRコードで郵便局留めにする。明日の散歩の糧にした。

隣駅のパン屋まで散歩したい気分だったが、14時からの打ち合わせがあるので全く間に合わないと、駅の方へ向かう。最近、ウエストポーチをちゃんと腰に巻くようにしている。たすき掛けのようにして使っていたのは何故だろう。高校生か大学生の頃にメッセンジャーバッグばかり使っていたせいかもしれない。たすき掛けにしていることが、8月に入った頃から急に恥ずかしくなった。

打ち合わせがなければ、蕎麦屋でビール、もしくはピザとビールというのがよかったと思いながら、町中華へ向かう。店へ入ろうとしたところで数人が出てきた。時間も13時過ぎ。座れないことは無いなと、開いたままの自動ドアを歩いている勢いのままに入店する。何度もきているので「お好きな席に」といったことも言われず、小さなテーブル席の椅子を引き、腰に巻いていたウエストポーチを椅子の肩にかける。

注文は坦々麺とした。通路を挟んで左隣のテーブルに女性2名が座ったのが視野にぼんやりと入った。

「お店入る時に「失礼します〜」って言いそうになるよね、職業柄。」なんの職業だろう(大体の大人がどこかに入る時にはそう言うのでは)と、立花隆とそのゼミ生による『二十歳のころ』の立花隆が大江健三郎にインタビューしている章を読みながら気にする。二人(隣の女性2名)によってレバニラ炒めと麻婆豆腐が注文される。坦々麺はまだ来ない。

店内BGMは特にこだわりもなく流行りの音楽が流れている。女性ボーカルの音楽に変わったところで、それに合わせて鼻歌が隣から聞こえてきて驚く。音の位置からするにレバニラだ。少し前に昔は祭りだなんだで歌が空間に溢れていたが今は静かであることを押し付け過ぎている、というような話を読んだところだったので、いいぞいいぞと思う。
この歌は誰の歌だろうと、こっそりと本の間(立花隆と大江健三郎の会話の間)に携帯を挟むようにしてShazamで調べる。あいみょんの『3636』という曲だった。「これがあいみょんか」とスクリーンショットを撮ろうとしたところで、レバニラがトイレにと真隣に立ち上がった。こっそりと撮られたスクリーンショットが左下に収束していくのを見られたかもしれない。

ここから抜け出すための坦々麺はまだ来ない。

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