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須藤元気議員の「NTT法廃止議論に関する質問主意書」への答弁書を解説します。

どうも、八洲子です!
今回は、須藤元気議員の「NTT法廃止議論に関する質問主意書」という質問主意書を見つけたので、その答弁書と合わせて内容を解説したいと思います。

早速ですが、↓が須藤元気議員の質問主意書です。

NTT法廃止議論に関する質問主意書:参議院

では、この質問と答弁を一つずつみていきましょう!


①NTT法は、NTT東西を縛る法律

【質問】
一 「NTT法は固定電話のための法律」という議論が上がっているが、第三条に、「会社及び地域会社は、それぞれその事業を営むに当たつては、常に経営が適正かつ効率的に行われるように配意し、国民生活に不可欠な電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供の確保に寄与する」という文言はあるが、これは固定電話のためとは限定されておらず、スマホなども含めた「電話のサービス」を提供する責務だと解釈できるがいかがか。政府見解を示されたい。

【答弁】
日本電信電話株式会社等に関する法律(昭和五十九年法律第八十五号。以下「法」という。)第三条に規定する「電話の役務」には、固定電話及び公衆電話の役務が含まれ、スマートフォンを含む携帯電話の役務は含まれないと解している。

日本電信電話株式会社(NTT東日本、NTT西日本)を縛る法律ですが、「電話の役務」にNTTドコモなどのモバイル通信は含まれていません。
「電話の役務」は固定電話と公衆電話となります。
それだけ時代に合わない法律ということですね。

日本電信電話株式会社等に関する法律 | e-Gov法令検索

日本電信電話株式会社等に関する法律 第一条

そのため、今回のNTT法改正案では「かつての日本電信電話公社の業務や義務を引き継いだもの」に対しての法律であるいう明確な指定がされています。
「NTT」といっても、今は法施行当時よりも多種多様なサービスが展開されていますから、どこを縛っているのかを明確にすることは大切ですね。

日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案より

②NTT東西はメタル回線を廃止していない

【質問】
二 NTT法第三条で定められた固定電話普及の責務がNTTに課されているため、あたかもNTT法を改正しなければ固定電話がやめられないかのような議論がなされている。ところが、二〇二四年一月三十一日時点でNTT東西は固定電話で利用されてきたメタル回線を廃止したので、NTT法が固定電話の責務をNTTに押し付けているという議論は間違っていないか、政府見解を示されたい。

【答弁】
東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社(以下「NTT東西」という。)は、現在も、メタル回線を用いて固定電話の役務を提供しているものと承知しており、御指摘の「NTT東西は固定電話で利用されてきたメタル回線を廃止した」ことを前提としたお尋ねについてお答えすることは困難である。

NTT東西は、メタル回線を終了するわけではなく、音声通信を提供するための設備を、電話に特化したPSTN交換機から、インターネット等のデータ通信を実現しているIP網に切り替える設備切替を行いました。

よくあるご質問|固定電話(加入電話・INSネット)のIP網移行|NTT西日本
https://www.ntt-west.co.jp/denwa/2024ikou/faq.html
固定電話(加入電話・INSネット)IP網移行の概要|NTT西日本
https://www.ntt-west.co.jp/denwa/2024ikou/outline.html


③「研究成果の開示が義務付けられている」への見解

【質問】
三 NTT法改正では「研究成果の開示義務」が議論されている。第三条に、「今後の社会経済の進展に果たすべき電気通信の役割の重要性にかんがみ、電気通信技術に関する研究の推進及びその成果の普及を通じて我が国の電気通信の創意ある向上発展に寄与し、もつて公共の福祉の増進に資するよう努めなければならない。」との文言はあるが、これは「研究成果の開示」ではなく、「研究成果の普及」であり、意味としては研究成果を製品やサービスとして普及させるための条文だと解釈できる。仮に、この文言が「研究成果の開示」と解釈するものであれば、公開された発明は特許を申請できないはずである。ところが、実際は、NTTは既に約一・九万件以上の特許を取得しているので「研究成果の開示が義務付けられている」わけではないことがうかがえる。NTT法では「研究成果の開示が義務付けられている」という解釈について、政府見解を示されたい。

【答弁】
お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、法第三条に規定する「電気通信技術に関する研究」の「成果の普及」については、「日本電信電話株式会社等の研究成果の普及についての日本電信電話株式会社等に関する法律第三条の適用に関する考え方」(令和五年十二月二十二日総務省策定)において、「研究成果の普及は、国際競争力の強化や経済安全保障の確保等にも留意した上で、最も効果的と認められる方法(普及の時期や相手方を含む。・・・)により行うよう努めることが適当である」と示しており、研究成果の普及に当たってその方法を限定しているものではない。

日本電信電話株式会社等の研究成果の普及についての
日本電信電話株式会社等に関する法律第3条の適用に関する考え方
https://www.soumu.go.jp/main_content/000919315.pdf

「特許を取得している」をもって研究成果の開示義務がないとする解釈は誤り。

④パートナリングを断られる現状

【質問】
四 十二月二十二日に開催された総務省情報通信審議会電気通信事業政策部会通信政策特別委員会において、委員から「私から(現・NTT)3ということは、直接的な不利益はないのではないか。」との発言があった。総務省が想定する「研究成果の普及義務から生じるNTTに対する不利益」とは何か。事例を示されたい。

【答弁】
お尋ねについては、例えば、日本電信電話株式会社が令和五年十月十九日に公表した「NTT法のあり方についての当社の考え」において、「NTTの部分の開示が必要となると、技術全体の問題に及ぶためパートナリングを断られるケースがあり、国際展開の足枷となっている」とされており、そのような事例があれば、同社が不利益を被るおそれがあると考える。

質問にある「十二月二十二日に開催された総務省情報通信審議会電気通信事業政策部会通信政策特別委員会」は以下から確認できます。

総務省|情報通信審議会|通信政策特別委員会

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/tsusin_seisaku/index.html

12月13日に、日本電信電話株式会社(NTT)、KDDI株式会社、ソフトバンク株式会社、楽天モバイル株式会社の各社長が参加する委員会(第10回)があり、そこでのやり取りを12月22日の委員会(第11回)で言及し、その内容を質問主意書に引用しています。

情報通信審議会 電気通信事業政策部会 通信政策特別委員会(第11回)議事録(2023年12月22日開催)

その12月22日同日に出されたのが、③で紹介した日本電信電話株式会社等の研究成果の普及についての日本電信電話株式会社等に関する法律第3条の適用に関する考え方」です。

この質問④への答弁に引用されているのが、10月19日にNTTから出されたNTT法のあり方についてニュースリーリースです。

NTT法のあり方についての当社の考え | ニュースリリース | NTT

NTT法のあり方についての当社の考え | ニュースリリース | NTT

事例を示せと言われても、契約に至らなかった件の事例となると、相手方があるものですから示すことは難しいでしょう。


⑤NTTが外資に乗っ取られる仮定したトンデモ質問

【質問】
五 本法廃止の議論の発端が、「防衛費増を賄うため」である。ただし、政府が保有するNTT株売却によって、防衛インフラでもある通信インフラを失ってしまうリスクがある。仮に、NTTが外資に乗っ取られたとして、我が国が通信インフラを再構築しなければならないとしたら、いかほどの年月日と予算を必要とするのか。政府見解を示されたい。

【答弁】
お尋ねの「NTTが外資に乗っ取られたとして、我が国が通信インフラを再構築しなければならない」の具体的に意味するところが明らかではなく、また、仮定に基づくお尋ねであるため、お答えすることは困難であるが、我が国の情報通信基盤を再度整備するような事態が生じないように必要な措置を講ずることが重要であると考えている。

外資に乗っ取られ、通信インフラを再構築する状況とはいったいどういったものなのか。
陰謀論前提の質問に答える事はできませんね。

また自民党の提言において、電気通信事業法や外為法などの関連法を改正し、NTT以外の通信事業者も含めた外資規制の強化についての言及がある事をみても、外資が規制されないなどということにはなり得ないでしょう。

NTT法の在り方を巡って提言をまとめる 政調審議会 | お知らせ | ニュース | 自由民主党

この自民党の提言については、以前noteで解説していますので、よければご確認ください↓


⑥NTTは「固定電話廃止」など発表していない

【質問】
六 NTTの島田社長はNTT法の「固定電話のあまねく普及義務」という時代遅れの法律に縛られていると主張している。ところが、本法が廃止される以前に既にNTTは「固定電話の廃止」を発表し、二〇二四年一月から廃止を段階的に行なうとしている。NTTの行動からして、NTT法が固定電話の普及義務があるというのに矛盾しているため、そもそも議論の争点に誤りがあるのではないか。

【答弁】
NTT東西は、令和六年一月から、固定電話網をIP網に段階的に移行しつつ、引き続き固定電話の役務を提供しているものと承知しており、御指摘の「二〇二四年一月から廃止を段階的に行なう」ことを前提としたお尋ねについてお答えすることは困難である。

須藤元気議員は、NTTが発表してもいない「固定電話の廃止」をNTTが発表したかのような前提で質問をしています。
質問②でも紹介したことと同じく、

✕固定電話を廃止
◯固定電話の通信網をIP網に切り替え


です。
読み違え、勘違いもいいところですね。

実は、こういう読み違え、勘違いを前提にして話を進めてしまう人を他にも一人知っているんですよねー。
深田萌絵さんという方なんですが。

そういえば、先の熊本県知事選の際に深田萌絵さんは「政策アナリスト」を名乗り始めましたね。

政策アナリスト深田萌絵

いったい誰の政策に関わっているんでしょうねー

あ、さらにそういえば、LGBT理解増進法に関しての質問主意書でも同じような読み間違えでおかしな質問をしていましたね。
その時も深田萌絵さんと仲良くされていました。
女性用トイレの運用に関する質問主意書:参議院


あれ、さらにさらにそういえば、今年の1月に須藤元気議員は深田萌絵さんのビジネスパートナーであるジェイソン・ホー氏の米国でのロビィ活動に新たに名前を連ねたようですね。

須藤元気議員とロビィスト登録

ここからは、マニアックな情報となります。

https://efile.fara.gov/docs/7109-Exhibit-AB-20240123-6.pdf


https://efile.fara.gov/docs/7109-Exhibit-AB-20240123-6.pdf


https://efile.fara.gov/docs/7109-Exhibit-AB-20240123-6.pdf

深田萌絵(浅田麻衣子)さんと随分親しくされているようで(笑)
まさか、須藤元気議員のブレーンだったりして?
あ、これはただの私の妄想です!

ちなみに、活動内容は、

ファーウェイおよびその他の中国共産党関連・支配企業の活動、およびそのような活動が経済および国家安全保障にもたらすリスクについて、米国の適切な政府関係者およびその他の人々に情報を提供することを支援することを提案する。

だそうですw

ホーさんは、このロビィスト登録でIRSからの罰金約5億円をなんとかしたいみたいですけどね。
ファーウェイと戦ってる!とか言ってたら、IRSが信じてくれるんですかね。無理そうですけどね。

詳しく知りたい奇特な方のために、資料をおいておきますね。

外国代理人登録法(FARA) - yascosanのブログ


【3】 IRS裁判 2017 | マイケル・コー(仮) 本人非公式ノンポリ⭐︎ブログ

【4】IRS裁判 2022 | マイケル・コー(仮) 本人非公式ノンポリ⭐︎ブログ


須藤さーん、陰謀論を前提とした質問主意書を出す前に、きちんと法律や関連情報くらいは正確に読み込みましょうね。
そういうスキルのある人が周りにいないのでしょうか。


須藤元気議員がどのような質問主意書を出しているのか興味がわいて検索したところ、驚愕しました。

213回国会における須藤元気議員の質問主意書一覧

10 女性用トイレの運用に関する質問主意書
11 パンデミック条約及び国際保健規則改正案に関する質問主意書
41 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約の実務に関する質問主意書
43 NTT法廃止議論に関する質問主意書
44 固定電話加入権販売時の説明に関する質問主意書
45 女性用トイレの運用に関する再質問主意書
46 TSMC誘致に関する質問主意書
61 銀行口座の名義に関する質問主意書
64 半導体政策の妥当性に関する質問主意書
65 パンデミック条約の訳に関する質問主意書
71 日本が実施すべき半導体支援策に関する質問主意書
72 NTT法廃止議論に関する再質問主意書
76 TSMC誘致に関する再質問主意書
81 パンデミック条約の訳に関する再質問主意書
83 いわゆるパンデミック条約及び国際保健規則改正関連の情報開示に対する関係省庁の姿勢に関する質問主意書
84 半導体政策の妥当性に関する再質問主意書
96 収支報告書不記載金額分の納税義務に関する質問主意書
102 日本が実施すべき半導体支援策に関する再質問主意書
105 JASM第二工場の住所に関する質問主意書
106 TSMC及びJASMとの契約に関する質問主意書
107 半導体助成金に関する質問主意書

ほぼほぼ、深田萌絵さんが関わっていると思われるものですね。
これは大変興味深いことを見つけてしまいました。
(※2024-04-22 増えていたので102~107を追記しました)

特に、61 銀行口座の名義に関する質問主意書なんてわかりやすいです。


さらに、41 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約の実務に関する質問主意書は、米国IRSからの約5億円の罰金へ対抗する為の内容のようです。

ジェイソン・ホーさんは、このIRSからの税務調査に対抗するために
IRSに対する訴訟(2017)敗訴
IRSに対する訴訟(2022)訴訟取り下げ
外国代理人登録法(FARA)に基づくエージェント登録(ロビィスト登録)(2022〜)
・須藤元気議員の質問主意書(2024〜)
など様々な活動をしているようですね。


ではまた!


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