埼玉スタジアムの未来を誰が決めるか

来る2019年8月25日に、埼玉県知事選挙が行われます。
これは現職の上田清司知事の任期満了と知事職引退に伴う選挙です。
なので立候補者の5名はいずれも新人。その中のある候補者が街頭演説で発言したことがツイッター上で拡散されて
主にサッカーファンから非難を浴びる事態になっています。

「埼玉スタジアム2〇〇2(にまるまるに)はサッカーをやるだけの場所になってしまっている。(中略)サッカー以外の使い方が叶わない。大変勿体無い状態のまま今を迎えている」

この発言に気分を良くしなかった埼玉スタジアムをホームとする浦和レッズのサポーターをはじめ多くのサッカーファンが発言の候補者をネット上で非難する事態になっています。現状、埼玉スタジアムは2002年の日韓ワールドカップ開催を目前に控えた2001年10月の開場以来、Jリーグの試合はもちろん、サッカー日本代表の実質的なホームスタジアムとして日本サッカーの総本山的なスタジアムとして時を重ねてきました。それだけの実績を積み重ねておきながら、埼玉スタジアムを「サッカーだけの場所になってしまっているのは勿体無い」と言われていい気分をしないのは想像するに難しいことではないです。

ただ、ではこの候補者だけが埼玉スタジアムをサッカー以外でも使えるようにしたいと考えているのかというと、そうでもないのです。

つまり、サッカー以外への利用拡大を視野に入れて動いているのは
県全体での方針だったのです。

さらにこのスタジアムは埼玉県が所有し、埼玉県公園緑地協会が指定管理者として管理しています。指定管理者制度とは、公の施設の管理・運営を、株式会社をはじめとした営利企業・財団法人・NPO法人・市民グループなど法人その他の団体に包括的に代行させることができる制度です。
この制度の大きなメリットは

①主に利用時間の面で柔軟な施設利用が可能になる。
②地方自治体は住民からの税金で賄っていた管理運営経費を削減できる。

こういったことから指定管理者制度を活用して近年はプロスポーツチームが本拠地として使用している競技施設の指定管理者となるケースが増えているのです。例を挙げると・・

広島東洋カープ(プロ野球/MAZDA zoom-zoom スタジアム広島)
千葉ロッテマリーンズ(プロ野球/ZOZOマリンスタジアム)
ガンバ大阪(Jリーグ/パナソニックスタジアム吹田)
鹿島アントラーズ(Jリーグ/カシマサッカースタジアム)

これらのチームは単なる施設の利用者というわけでなく、地方自治体から委託されて施設を管理している民間団体でもあるということです。

では、埼玉スタジアムはどうかというと、所有しているのは埼玉県で、施設の運営管理は埼玉県公園緑地協会ということですから、ここに浦和レッズの名前はありません。つまりただの単なる使用者ということになります。

昨年1試合平均3万5502人とJ1で断トツトップの平均観客動員を記録し文字通り埼玉スタジアムの「稼ぎ頭」である浦和レッズですが、スタジアムという面では「ただの単なる使用者」であり、スタジアムを所有する埼玉県に意見を言えるような立場にはないというのが現状なのです。県の方針としてサッカーだけでなく他のイベントも誘致できるようにしたいという意向なら、現状ではそれに抗って意見することは出来ません。そのためには少なくとも

浦和レッズが埼玉スタジアムの指定管理者になる

という、ここをクリアするのが先じゃないかと自分は思うのです。

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