濱田康行

【所属機関】公益財団法人はまなす財団 理事長 【所属学会】日本中小企業学会/日本金融学…

濱田康行

【所属機関】公益財団法人はまなす財団 理事長 【所属学会】日本中小企業学会/日本金融学会/日本証券経済学会 【研究課題】現代資本主義経済の歴史的位置/協同組合の現代的意義/協同組織金融機関の存在意義/協同組合と資本主義

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#私の仕事

1.講演・講義・評論・モデレーター(パネルディスカッション等)・出版企画 【テーマ①】「金融とは」「貨幣とは(金から紙へ、そして電子へ)」「証券・有価証券」「資本主義そのもの」「資本主義のあと」「リーマンショックの再来」「金融機関の将来」 【テーマ②】「協同組合」「協同組合の経営」「協同組合と資本主義」 【テーマ③】「私立大学の経営」「大学論」 【テーマ④】「地方創生」 2.書評(主に経済学、経営学の書籍)

    • ダウ平均株価3万ドルの方程式

      はじめに  2020年11月下旬、株式の世界に大きな驚きがあった。ニューヨーク証券取引所のダウ・ジョーンズ平均株価が史上初めて3万ドルを超えた。ほぼ同時に世界各国の株価も上昇し、日本の日経平均株価は2万6000円台をつけた。こちらは、史上最高値ではないが、実に29年と半年ぶりの高値であった。  人々を驚かせたのは、この高値がコロナ禍という経済活動に大打撃を与える災害の最中で記録されたことだ。株価は相場現象であるから需供によっていかなる値も示す。だから不況下の株高という現象もし

      • コロナ騒動下の株価分析⑥【2020年3月~7月】

         株式を購入している主体が誰かという統計がある。日本銀行は2010年頃から一貫して持ち高を増やし、ETFを経由した保有残高は2020/7に33.49兆円、2020年末には41.36兆円となる見 込みだ。  図-8で示したとおり、3月の急落局面で日本株を買ったのは、①日銀②個人投資家(2012/11のアベノミクス以降一貫して売り越し主体で累計37.5兆円を売却している)。③信託銀行(年金だが株価が下落した為、決められた資産配分比率を株式が下回ったため買い増し)。 一方で売却をし

        • コロナ騒動下の株価分析⑤【2020年3月~7月】

           表-3は日経平均採用225社総計の利益を示している。経常利益のピークを見ると2018年度、当期利益は2017年度がピークである。2019年度(20年3月期)は、期央に消費税引き上げ、期末にコロナ不況の結果を3ヶ月ほど含むため▲31.5%である。景気動向指数に見られるように「2018/10以降、既に下降していたところに、コロナ不況に遭遇した」という表現は正しいであろう。やや違和感を感じるのは2019年度31.5%減益、2020年度期初予想が3.0%減益という事だ。2021/3

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        #私の仕事

          コロナ騒動下の株価分析④【2020年3月~7月】

           実物経済の下降は2018年の後半から始まっている。(図-4)7月下旬、内閣府も2012年12月から始まった景気回復局面が2018年10月に終わった事を認定した。  経済産業省が発表している鉱工業生産(2015年を100とする)は2018年10月をピークに下降が始まり2020年5月の値は72.9(前月比▲6.4)となった。品目別データを見ると、ウェイトの高い普通乗用車が36.6(前月比▲15.7、なんと2015年比較で1/3強)で全体の足を引っ張った。通信用ケーブル光ファイバ

          コロナ騒動下の株価分析④【2020年3月~7月】

          コロナ騒動下の株価分析③【2020年3月~7月】

           激変の3月を経てなぜ株は上昇したのか。市場関係者の答えは拍子抜けするほどあっさりしている。図-3はFRBの資産規模と株価。アメリカのこの10年を見ると株価と強い相関があるのは米国中央銀行FRBの資産規模である。株価と資産規模の方向はほぼ一致している。直近も3兆$のアメリカの巨額の財政支出とそれに伴うFRBの資産膨張(財務省が発行した国債やMBSを購入→資産となる)と今後の拡大見通しは、株価の動向と大いに一致している。 図-3 FRBの資産規模とS&P500指数  世界各

          コロナ騒動下の株価分析③【2020年3月~7月】

          コロナ騒動下の株価分析②【2020年3月~7月】

          図1 2019/12/31~2020/7/31までのNYダウと日経平均株価、ナスダック指数の値動き 2019年末を1として指数化 期間中の株価を概観してみると次のような特徴がある。 ①3/11のWHOのパンデミック宣言を合図に 世界の株価は急落した。ニューヨーク市場では一日で平均株価が2,000ドル以上も下げる日があったし、東京でも歴史に残る大幅下落があった。その後、日本市場は3/19(木)、(翌金曜日は春分の日で休日)米国市場は3/23(月)をボトムにして、戻りに転じ

          コロナ騒動下の株価分析②【2020年3月~7月】

          コロナ騒動下の株価分析①【2020年3月~7月】

           本稿では期間を短く設定したうえで、その間の株価(日本とアメリカ)を分析している。株価の変動そのものは経済学の対象ではない。しかしコロナ感染が世界に拡大し、その影響で大型不況の到来が予想され始めた2020年3月から同年7月下旬までの期間、株価は極めて特異な動きを示した。前日比の平均株価の騰落幅がニューヨーク市場では2,000$以上、東京市場でも1,000円を超える日が、たびたびあった。そして乱高下を繰り返しながら3月につけた最安値から7末にかけてニューヨークダウは45.1%、

          コロナ騒動下の株価分析①【2020年3月~7月】

          コロナと株価~序文~

           政治・経済、という言葉がある。日本人が、これに、馴染んでいるのは高等学校の社会の科目にこれがあったからだろう。セイケイ、なんて呼んでた気がする。今考えてみると、随分と大括りなのだけど、相手は、世界史とか日本史だから、仕方なかったのだろう。教科書は随分薄くて、それで受験科目にした記憶もある。教科書では、政治編と経済編に分れていた。だから、両者は別物扱いでもあったのだが、一冊の本に収まっているという一体感は、強い印象を残した。大学に入ってみると、経済学部の科目に、政治経済学があ

          コロナと株価~序文~

          私論小括

           不況の型。リーマン・ショックの時のような金融恐慌ではないし、資本主義の歴史上しばしば見られた過剰生産恐慌でもない。外被層は資本主義経済の保護層であり、その再生の海でもある大領域を襲ったので、社会恐慌と呼ぶべきものである。凍傷は人々の消費という末端から資本主義的生産の中心部に及ぼうとしている。  範囲。外被層に属する人々・小経営・小組織。営利・非営利を問わず。地方ではこうした組織が主要なものであるため、被害は目立ったものになる。東京には大企業・大組織がある。長期化すれば、そこ

          私論小括

          私論⑤~V字回復はない~

           まだ将来を議論するのは早いようですが、見通せることだけ記述しておきます。V字回復を期待する声は多い。コロナ禍は経済から内生したものではなく外生です。それなら、それがおさまれば、経済は再点火して再生する。果たして、消したストーブを再点火するように元の通りに燃えるでしょうか。長い間の休みが、人々に休養効果をもたらし、“さぁ、やるぞ!”となるでしょうか。  回復の条件がいくつかは揃っているのはホントです。まず資金。低金利は続く。といいうより、金利は上げられないのです。もし、そんな

          私論⑤~V字回復はない~

          私論④~政策批判~

           国民にマスク2枚を配る。当初のものはどうも不良品だった。ガーゼを重ねて製作されたそれは、どうも大人の顔には小さくみえる。それでも数百億円かけてやる。郵送料、目に見えない宣伝費、すべて込みにしたら、とても高いマスクですね。  10万円といえば庶民には大金。これが全国民に配られる。その費用は13兆円!今回のコロナ対策費は先に発表されたものが100兆円超。さらに24兆円もの国債を出す。ほとんどは赤字国債。  10万円を配っても、消費は増えません。人々を温泉に行かせたいなら、レスト

          私論④~政策批判~

          私論③~慣性不況~

           消費行動には慣性が働きます。松原隆一郎氏が言うように、経済学は消費を正面から対象にしてこなかったのはホントです。(『消費資本主義のゆくえ』、ちくま新書、2000年)セー法則を都合よく是認して、つくったものは売れる、として済ませた。だから今回のように消費が強制的に止まってしまうと、ただうろたえるだけで、どうしてよいかわからない。安易なポピュリズムに与党ともども野党まで飲み込まれてしまうのです。  私達は、生活の中で様々な慣性を持ち、それに従っています。特に理由はないけれど、あ

          私論③~慣性不況~

          私論②~不要不急の呪い~

           コロナ禍に関する様々な言動と行動を見ていて、妙な対立があることに気づきます。これは命に関わる問題だから、すべてに優先する。こう言われると、もう返答さえできません。世界史の情景の中では、命はさほどに大事に扱われなかった。現在でも。それは、その国、その時に倫理が不足していたか、ややもすると崩壊していて、逆に、憎しみ、怒り、非合理性が支配的だったからです。私達は、数々の不幸を経験して、生命を大事にするという優先命題を自ら立て尊重します。  これに対して、反論ではないので“対して”

          私論②~不要不急の呪い~

          私論①~アフターコロナ~

           社会も経済も人の動きを止められたのですから、いわば急速冷凍されたようなもの。しかし、冷凍食品と違って、経済は完全に元には戻りません。その経済を土台として社会は成り立っているのですから、コロナ後の社会は、つまり世の中という意味での世界は変容するのです。  では、どのように変容するのか。それを、知恵を出し合い、想像力を働かせて考える。もし、人々にとってよくない状況になりそうなら、可能な限り、そうなるのを止める、あるいは緩和する方策も考える。医学は、その身を危険にさらしてまで貢献

          私論①~アフターコロナ~

          野村徳七翁の伝記・小説

           野村証券の創業者の伝記が出版された。激動・波乱の証券業界で唯一無傷で生き残ったのは野村証券。その創業者・生みの親、野村徳七翁については、さぞかし多くの文献・資料があるものと思いきや、案外と少ない。だから、野村翁の実像はよくわからなかった。本書への期待は高いはず。  野村徳七は二人いる。初代と二代目。証券会社の創始者は二代目だ。全財産を賭けた仕手戦を三度もやる。そして全勝・負けなしで、それこそ巨萬の富を得、短期間で関西財界の檜舞台に躍り出る。大阪のみならず、東京でも貴族院議員

          野村徳七翁の伝記・小説