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記録よりも記憶を あなたに贈るオールドレンズのすすめ

オールドレンズ、好きですか?
古き良き機材がうむ世界観、撮りたくないですか?

こんにちは、氏家( @yasu42 )です。
ご存じの方も多いと思いますが、私は以前からオールドレンズを愛用しています。

色々言われることもありますが、やはりオールドレンズにはオールドレンズならではの魅力があります。
興味がある方も多いでしょう。

同時に「なんかよくわからないし……」という理由で手を出していない方もいると思います。

そこで今回のnoteでは、「古いものと新しいものの融合」をテーマに、オールドレンズをおすすめしていきます。
古いレンズ特有の魅力と、最新技術の便利さを組み合わせてみませんか?
きっと楽しいですよ。


1: オールドレンズの魅力とは?

そもそもオールドレンズの魅力とは何なのか?
私見では3つあります。

・現行レンズにはない描写
・モノとしての造りの良さ
・お手頃価格

それぞれ解説していきましょう。

●現行レンズにはない描写

やはりここが魅力かと思います。

現代のレンズも個性豊かですが、基本方針は「はっきりくっきり写る、高解像で高コントラストで、歪みや色にじみがない」でしょう。
シグマのレンズ群など典型ですね。

例えば今話題のNikon Plena 135mm、驚くべき描写です。

きわめて明晰、夜でもコントラストが落ちず、収差(ゆがみやにじみ)がほとんどない。
このため開放からボケが並外れて美しく、しかも画像のクリアさが保たれている。現代ならではのスーパーレンズといっていいでしょう。
スペシャルコンテンツの作例だけでもその凄さがわかります。

それに対してオールドレンズではどうか?
同じく望遠のLeitz Hektor 125mm/f2.5を見てみましょう。
1954年から1963年にかけて製造された、ライツ製の望遠レンズですね。

見た目からしてゴツい

で、このレンズでの作例がこちら(開放、未加工)

Leica SL2-S+Leitz Hektor 125mm/f2.5

まさに収差の嵐です。

Plenaのクリアさとは正反対。
背景はざわつき、輪郭はぼやけ、ピントの外れた部分はぐずぐずに崩れてゆく。
空と街を撮ってもご覧のとおり。

Leica SL2-S+Leitz Hektor 125mm/f2.5

これぞオールドレンズ感がありますね。

もちろん色収差も盛大に出ます。
RAWで見るとパープルフリンジだらけでびっくりするほど。
現行レンズのような絵作りとは対極にあると言えるでしょう。

だが、それが良いという人もいるはずです。
少なくとも私は「佳い」と感じます。

なぜか?

おそらく、「記憶の中のような情景」を描いてくれるからでしょう。
そもそも人間の記憶とはぼやけ、変容し、揺らぐもの。
クリアで、明晰で、間違えようもないほどはっきりしたものではありません。

ノスタルジアと直結するのも理由のないことでない。
記録ではなく記憶を描く写りこそ、古いレンズの真骨頂ではないでしょうか。

●モノとしての造りの良さ

これも大きな魅力です。

時代やメーカーによっても違うのですが、ある種のレンズは「実用品というより嗜好品」としての側面を持ちます。

例えばこちら、Summicron-R 35mm/f2の初期型。

本体の精巧さもさることながら、見るべきはレンズフード。
なんと、二分割出来るようになっていて、フード内にフィルターを仕込むことが出来ます。
おまけに外側には歯車がついており、フィルターを回転させることまで可能という凝り方。
いくらなんでも手間暇かけすぎです。

実際、古いレンズには「採算度外視」なものが少なくありません。
これはおそらく、ある時代までのカメラやレンズが超高級品であり、嗜好品だったからです。

大量生産するのではなく、少数生産で富裕層やマニア向けに売っていたため、手間暇かけるのが正義だったわけですね。
結果として「やりすぎでは?」な手の込んだプロダクトがうまれているわけです。
こればかりは大量生産前提の時代では難しい。

余談ながら、ライカの人気が根強いのはこの点もありそうです。
中小企業の手工業的なプロダクトというのは魅力的ですからね。

●お手頃感

以前に比べれば高騰傾向ですが、未だにお手頃レンズもあります。
特に近年、純正レンズはどんどん値上がりしている。
お手頃価格のレンズを探したくなるのは道理でしょう。

一例として、MINOLTAのROKKOR 28mm/f2.8。
1970年代の標準的な広角レンズです。
その写りはというと

GFX 50SII+MINOLTA MD ROKKOR 28mm/f2.8

見ての通りしっかりとしています。
もちろん甘さはありますが、ぱっと見では気にならないでしょう。
しかもGFXのセンサーまでカバーしてくれるという優秀さ。

これで実売は1万円を切ります。

何もかもが高騰している昨今、こういうお手頃レンズからはじめられるというのもオールドレンズのいいところですね。

なお、オールドレンズをどうやってカメラにつけるかは過去noteで解説しているので、そちらをどうぞ。。

2: 現代カメラとの組み合わせのメリット

元々オールドレンズ自体は一部で強く支持されている文化でした。
とはいえ、今のように熱烈なファンがいたわけではない。
「知る人ぞ知る」趣味だったんですね。

これは「一眼レフだと他社のレンズをつけるのは難しい」からです。
現実的にはEOSシリーズやαシリーズにM42マウントをつけるくらいでした。
フィルム時代ですとPENシリーズのマウントアダプターが充実していましたが、さすがにマニアックすぎます。

要するに、マニア向けの趣味だったんですよ。
しかし、ミラーレスカメラの登場で状況は一変しました。

フォーサーズの初期から広まっていましたが、わけても名機・α7IIの登場により「本来の焦点距離でオールドレンズを使う」が広く受け入れられた印象があります。

2023年現在、オールドレンズ遊びはすっかり定着したのではないでしょうか。

・強力な手ブレ補正
・超高感度で暗いレンズも使いやすい
・AI含め画像編集が進化した
・マニュアルフォーカス補助が進歩した

などがあり、どんどん使いやすくなっているからですね。

特にマニュアルフォーカス(以下MF)の進歩はすごい。
ピント拡大、フォーカスエイド、ピーキングetcetc、多くのツールがMFを助けてくれます。
話題のNikon Zfなど、MFで被写体認識をしてくれるそうです。
すごすぎる。

MFレンズをAF化するアダプターも増えてきました。
登場したばかりの頃は正直使い物になりませんでしたが、今では十分実用域に達しているようです。

つまり、オールドレンズを楽しむハードルがどんどん下がっているんですね。
古いレンズはこわくないです。
挑戦してみるのはいいタイミングですよ。

3:オールドレンズの活かし方

では、オールドレンズはどうやって使えばいいのか?
どういう撮影シーンでこそ輝くのか?

結論、オールドレンズを活かしやすいのは「環境光、それも間接光が多い場所」です。

間接光というとわかりにくいですが、要するに

・窓からの光
・天井から差し込む光
・木漏れ日

などですね。
直接被写体に当たっているのではなく、何かを隔てているイメージです。

実例を見てみましょう。

Leica SL2-S+Baltar 75mm/f2.3
GFX 50SII+Baltar 75mm/f2.3

両方とも窓からの光りを使った撮影ですね。
じっとりした雰囲気や、よどんだような陰影が出ているのがわかると思います。
こういう表現はオールドレンズの真骨頂なんですね。

反面、光をいれると画面が真っ白になってしまうこともしばしば。

Sony α7RM3+Angenieux G10

「自然光を活かしつつ、直接当てないようにする」がオールドレンズの活用にはベストに近いかな、と個人的には考えます。

参考にしてみてくださいね。

4:オールドレンズの選び方

「オールドレンズ使ってみたい! でもどこで買えばいいかな?」という人も多いかもしれません。
安心安全のヨドバシカメラで売っているわけではないですからね。

私のおすすめは

・信頼出来るお店で買う
・友人知人から譲ってもらう

この2つです。

オールドレンズはその名の通り「古い」レンズ。
つまり、ちゃんと手入れがされていない場合、単に状態が悪いだけのものを使うハメになるわけです。
ガラスが汚れていてカビだらけのものを「エモい」と有り難がるのはなんか違いますよね。

なので、ぜひとも信頼出来る筋から買ってください。
メルカリやヤフオクはまったくおすすめしません。分の悪いギャンブルです。

以前に「オールドレンズの賢い買い方」をnote にしているので、そちらもご覧くださいね。

では、今日はこのあたりで。

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