コミケでのコスプレ系撮影解説本がとても良かったという話
こんにちは、氏家(@yasu42 )です。
真夏の祭典ことコミックマーケットも終わり、世はお盆休み。皆様いかがお過ごしでしょうか。
コミックマーケットといえば自費出版本、すなわち同人誌の一大拠点。そして本note的には写真テーマの同人誌はやはり外せません。
写真テーマ、と一口に言っても内容は様々、カメラそのものに焦点をあてたものから個人撮影の写真集まで多種多様です。
人物撮影というくくりならばコスプレのそれが多いですが、近年はポートレートや創作に踏み込んだものも多く、コスプレやポートレートといったジャンル分けそのものがあまり意味を成さなくなってきていますね。
特に最近は解説本ーーつまりはノウハウ、ハウツーを主題としたものの増加が印象的です。花盛り、と言ってもいい。
ノウハウ系は書いた人の力量がダイレクトに反映されるため玉石混淆にならざるを得ないのですが、「これは買い!」というものも少なくありません。事実、8/9〜8/12に開催されたコミックマーケット86でも少なからず見受けられました。
今回はそんな中から、とりわけお勧めの三冊を取り上げて紹介させていただきます。
1:「コスプレのスはストロボのス!」
同人誌やSNSのみならず、撮影講座や雑誌などのメディアに活躍の場を広げているidaさんの手になる一冊。
idaさんといえば押しも押されもせぬ第一人者、今やコスプレ界の名実共にトップランナーといえます。
内容的にはタイトルの通り、コスプレ撮影におけるストロボの扱いを徹底解説しています。
オフストロボの使い方や、アンブレラ・ソフトボックスなどの使い分けといった基本項目、ストロボの配置でどれほど絵が変わってくるかという実践項目、レンズフレアやカラーシフトなどの細かいTipsまで網羅されており、これ一冊でストロボ撮影の輪郭をある程度掴むことが出来るでしょう。
かなり技術的なノウハウに特化しており、「ストロボを使った撮影をしたことがない」「どうも上手くいかない」という方から熟練者まで読んで損はないと思います。
個人的なお勧めは「硬い光、柔らかい光」についてざっくりと図解してくれているページ。「硬い光」「柔らかい光」という区分は重要なのですが、どうも直感的には把握しにくいものです。ここの図解を頭に入れておくだけでだいぶ違うのではないでしょうか。
2:「ke-taro photo retouch」
けーたろさんといえばコスプレ界隈では知らぬ者のない名。idaさんと並びその筋ではトップランナーでしょう。
タイトルの通り、レタッチメインの一冊。三脚の使い方から合成エフェクトの仕方まで、撮影→レタッチ→完成の流れについて順序よく教えてくれます。
文章・写真ともに密度が高く、読み応えあり。ただ読み流すのではなく、パソコンやタブレットの片側に置いておき、レタッチ前後や最中に読み返すと得るところが多そうです。優秀な指南書でしょう。
しかし本書の魅力はそれだけではありません。
レタッチというと技術的側面ばかりが取り上げられがちですが、「コンセプトのある写真を撮ろう」「何を表現したいのか考えよう」という点を取り上げてくれている。このあたりが流石です。
結局はそこで、レタッチも撮影技術もあくまで手段なのです。
根本は「何を、どう表現したいのか?」であり、ここを忘れるとただ技術を誇るだけになってしまいます。目的と手段が転倒している写真のいかに多いことか。
「なぜ、どのような意図でこのレタッチをしているのか?」を考えながら読み進めることで得るものは格段に多くなると思います。
3:「羊肉るとんのフォトレシピ」
著者は雑誌をはじめ活躍の場を広げている羊肉るとんさん。コスプレ、というよりもポートレート寄りの作品が多い方です。
自然光を得意としており、その方面に特化した内容になっていますね。
「自分なりの撮影スタイル」「まずはモデルさんを探そう」という点からはじめているのが好印象。
ポートレートにせよコスプレにせよ人物を主題とした撮影をする場合、モデルさんがいなければ話になりません。しかし、「どうやって探せばいいの?」という第一歩が難しいのもまた事実。
その点、撮影イベント、撮影会、交友関係など複数の方法論を紹介してくれているのはとても役に立ちます。とっかかりが難しい分野だけに、このような内容は貴重でしょう。
撮影中のコミュニケーション、肌のレタッチ、SNSや即売会での写真の出し方など、これ一冊で一通りのことは出来るようになるのではないでしょうか。
また、「モデルさんをとにかく褒めよう」の項目は必読です。
るとんさん自体がコスプレイヤー経験があるため、「撮られる側」の視点にたった内容をわかりやすく書いてくれています。ただ褒めればいい、というわけではなく、モデルさんとどうコミュニケーションをとるか、という観点で大事なことでしょうね。撮る側専門だと想像しにくい内容でもあるため、ここは繰り返し読んでおくことをお勧めします。
簡単ながら以上3冊ご紹介させていただきました。
いずれ劣らずお勧め出来る内容です。是非。
4:まとめ
技術書、指南書は世に溢れています。良書も数多くありましょう。
まずは市販されているそちらを買えば、というご意見もわかります。
しかし、特化した分野という意味では同人誌はやはり優れています。とっつきやすさも無視出来ないポイント。
特にネットが発達した現在、自費出版の可能性はさらに広がっているように思われます。その意味でも解説系同人誌に触れてみるのは良いのではないでしょうか。
なお、同人誌という性質上、いずれも通常の書店には置いてありません。通販については各サークル様のところにリンクを貼ってありますので、そちらをご確認ください。
では、本日はこのあたりで。
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