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銀河の灯り

地平線に沈む青い夕焼け
地層に隠れる氷の湖
ここに緑が芽吹くことはない
赤の惑星

吹き荒れる嵐に舞い上がった粒が
薄い大気をかき分けて飄々と落ちていく
向けた視線のその先にはどこか懐かしい
青の惑星

そこには
見渡す限りの海というものが広がっているらしい
木々が生い茂る山々が連なっているらしい

ここのどこよりも
賑やかで、流動的で、虹色で、暖かい

だけど、

ここのどこよりも
忙しくて、不透明で、嘘と争いに満ちている

私は国境と聞いて何を想うのだろう
自然破壊と聞いて何を感じるのだろう
戦争と聞いて何を想像するのだろう

憎しみの連鎖に
呆れるため息
叫ぶ人
嘆く声

銃声が鳴り響いて
命が奪われる
そんな出来事は一瞬にして起こる

何も生まれない
何も残らない
何も 何も

青い星を汚す目的がどこにあるのだろう
命を殺めていい理由が一体どこにあるというのだろう


薄い大気の粒を肌に感じながら
今日も地球を眺める私

美しき惑星よ
どうか平和であれ
儚き命たちよ
どうか幸せであれ

これは火星に宿る生命の話
まだ誰も知らない銀河の灯り

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