旅のお供:Earというほど

お仕事柄、旅が多いです。お仕事の旅は普通出張といいますが、出張と呼ぶほどは堅苦しくないので「旅」と呼びましょう。別に旅慣れているとは思いませんし旅について何か強く主張したいと思ってもいないのですが、何となく旅グッズっぽい話を書いてみたくなったので書いてみます。旅をしない人にはどうでもいい話ですし、カッコイイ出張グッズ10選!とかでもありませんので、ふーんという感じで読み飛ばして頂ければと思います。

というわけで今回はEarな話。旅行中のヘッドホンについて。ヘッドホンは好みの割合がとても多いので決定版というわけにはいきませんが、僕はこんなのを使ってますよ、ということを書きたいと思います。音楽や、録音しておいたラジオの番組があれば、退屈な移動も楽しくなります。旅の途中で目にしたものがBGMとともに映画のワンシーンみたいに記憶に残ることもあります。旅行中のヘッドホンって、僕にはとても大事な存在なんです。

旅だろうが普段使いだろうが、ヘッドホンに違いなんてないだろう、と思っておられる方もいらっしゃると思います。もちろん正解ですが、旅のお供にするには少しだけ条件が必要です。

旅のお供として一番大事な条件は、連続稼働時間です。軽くて音質がよくてノイズキャンセリングが強くて48時間充電せずに稼働するヘッドホンが一つあれば、今回のコラムは終了です。でも多分、そんなヘッドホンはありません(よね?)。なので旅のお供としては、複数のヘッドホンを使い分けるのが現実的です。大きく分けて、機内用と機外(?)用に分かれます。

機外用は好きなものを使えばいいのですが、旅のお供としては急速充電機能が必須です。税関やトイレの個室、食事、バス待ち、観光地のガイドの声を盗み聞くなど、ヘッドホンを外さなくてはいけない、ヘッドホンをしたくない、外部の音を聞いておきたいといった状況は意外に頻繁に訪れます。急速充電機能があると、その隙に充電しておけます。僕はBeatsXを使ってます。

機内用の稼働時間はどれくらい必要でしょう。これは機内で飛行時間と、どれくらい寝るつもりなのかに依存します。僕の場合、8時間以上の場合は必ず寝ます。普段から寝不足なこともありますが、映画を4本以上観るのもちょっと飽きてきますし、欧米便の場合は寝ることで時差調整をします。リピート再生にしないと、スリープ機能を持っているヘッドホンであれば寝てる間は稼働しませんので、連続稼働時間が8時間あると実用的ということになります。稼働しながら充電してくれると、この悩みは無くなるのですがね。

機内で寝る場合、どのような姿勢で寝るかにも関係してきますが、ヘッドホンの形状を、耳たぶを覆わないイヤホン型にするか、耳たぶを覆うヘッドホン型にするのか、は僕にとっては非常に重要です。少し詳しく話しましょう。

皆さんは国際線の機内でどうやって寝ていますか?エコノミークラスなのかビジネスクラスなのか、にもよりますね。エコノミークラスであればネックピローを使うのが普通かな。よくバックパッカーさんが空港内なのにネックピローを着けてたりぶら下げてたりして歩いているのを見かけます。でも僕にはイマイチ。なぜなら僕は、櫻井翔ばりの「なで肩」なんです。色んなネックピローを試しましたし、何なら2つ使ってみたこともあります。でも、どうもイマイチ。安定しない。

そんな僕に福音が訪れました。オーストリッチピローです。

オーストリッチピローを着けて窓際の席に座り、内壁に寄りかかるとあら不思議。ジャストフィット。こめかみの辺りに柔らかい枕が来ますので、横向きで寝てるのと同じ感覚になります。ネックピローで感じた不安定感も解消。熟睡。ものすごく快適な睡眠空間になります(当社比130%増し)。ほんの少しでも身体を傾けられるというのは、狭いエコノミークラスではありがたい。ですから僕は必ず窓際、できればA席を確保します。え?見栄えが?大丈夫。機内であなたのことを気にする人なんていません。だってみんな寝るか食べるか映画を観てるか、ですから。せいぜいトイレに立った人がギョッとするかもしれませんが、その頃には機内は暗いので目立ちません。もしかしたら隣の美男や美女と会話のきっかけができて仲良くなれるかもしれませんよ。僕は一切そんな経験ありませんがね。

さて問題は、ヘッドホンとの干渉です。この写真でも、外して寝ていますよね。でもノイズキャンセリングしながら、音楽を聴きながら寝たい。であれば、イヤホン型一択になるわけです。ビジネスクラスの場合は、フルフラットになるかならないかによって異なります。フルフラットの場合は横向きに寝たいことがあると思いますが、やはりヘッドホン型だとしんどい。イヤホン型でも耳に圧迫感はありますが、機内用枕を工夫することで乗り越えられます。昔はBOSEやソニーのヘッドホン型を使っていたのですが、やはりイヤホン型の方が快適です。ただ枕でノイズキャンセリングを覆うと、まれにハウリングのような現象を起こしますのでご注意を。QC30はほとんど起こりません僕の場合。あとヘッドホン型は、持ち歩きがかさばりますね。

そうそう、機内でぐっすり就寝するためのアイテムの一つにアイマスクがあります。100均で買うのも手ですが、ビジネスクラスに乗る人が周りにいたらアメニティとして無料で配られているアイマスクをもらうとよいと思います。航空会社によって、堅さや肌触り、機能に差があります。スターアライアンス系だと、全日空がイチオシです。お店で売ってたら買いますきっと。適度に柔らかく肌触りがよく、頭の大きさに合わせて調整できるようになっています。ターキッシュエアラインは、サイズ合わせこそできませんが気持ちよい付け具合ですね。中国国際航空はちょっと堅いかな。

話をイヤホンに戻しましょう。問題はまだあります。イヤーピースです。標準のイヤーピースはノイズキャンセリング機能を最高に発揮するようにできているんでしょうが、僕にはちょっと堅いことが多いんですよね。旅の途中で耳が痛くなってしまう。なので僕は、イヤーピースを柔らか耳栓型のものに変えて使っています。Complyが好きですね。

というわけで機内用のヘッドホンが決まりました。連続稼働時間8時間以上でノイズキャンセリングが強力なイヤホン型。BOSEのQuietControl 30です。それまでのモデルがQuiet「Comfort」だったのにQC30だけ「Control」になっているのもBOSEの気合いの表れなのかもしれません。僕はこれにComplyのTx-400を付けて使っています。QC30にはちょうどよいComplyのイヤーピースが無いようで、手元にあったTx-400をピンセットで少し広げて楕円にして付けていますね。ちょっと工夫が必要ですが、付けてしまえば問題ありません。

QC30はワイヤレスです。今どきワイヤードのヘッドホンを取り回してる人も珍しいと思いますし、そもそも僕のiPhoneにはステレオミニジャックがありません。ここで一つ問題が発生します。そう、機内の映画を観たり音楽を聴く場合です。今のところ、乗客が持ち込んだワイヤレスのヘッドホンに対応してくれる航空会社はありません。ワイヤードなら単純に機内のステレオミニジャック、もしくは変換プラグを介してつなげばよかったんですが、ワイヤレスだとつながりません。さぁどうしましょう。答えは簡単です。ワイヤレスの送信機をつなげてやればいいのです。僕はJPRiDEのJPT1を使っています。連続稼働時間も12時間ほどありますし、小さくて軽いし。2つつながるし。でも小さいから、機内に忘れてこないようにね。

ところで、機内で映画って観ます?日系航空会社ならいいんですが、海外の航空会社だと言語の問題やIFE(In-Flight Entertainment)の使い勝手の問題で食指が伸びないことがあります。だったら自分のスマホやタブレットを観る方がいいや、的な。でもどこに置きます?特に食事の時。エコノミークラスの場合、狭いテーブルいっぱいに食事のトレーが置かれます。タブレットを置くスペースはありません。スマホを左手に持って食事をしてもいいですが、品が無いし、いいかげん左腕が疲れてきます。あー目の前のスクリーンにスマホの画面を映せればいいのになぁ、と思ったことはありませんか。僕はあります。でも動画を映してくれるIFEは今のところありません。困った。

そんな時に見つけたのが、STICK iTです。再利用可能な粘着ジェルで、スマホを目の前のスクリーンに貼り付けてくれます。まだ1度しか使ってませんが、スマホであれば固定できます。ただ長い時間が経つと落ちてきますので、途中でギュッと固定してあげる必要がありました。もう少し試さないと、ちゃんと使えるかどうかは分かりません。でも割といい感じ。

昔は、ホテルで音楽を聴くためのポータブルスピーカーを持っていったりもしたのですが、スマホのスピーカーの質が上がり防水になったので、今は不要になりました。リゾートでのんびり過ごすのなら音質のよいスピーカーを持っていくかもしれませんが、出張だと部屋でのんびりという感じではありませんから。部屋で長い時間過ごす時は必ず、原稿だのでカンヅメになる時ですしね。

もう一つ、面白いものを紹介しましょう。旅では、音楽を聴いていたいけど外部の音を聞くことも必要になる、という状況がしばしば発生します。例えば空港で飛行機を待っている時は、搭乗開始のアナウンスを聞き逃さないようにしたいところです。また海外でバスに乗るのはハードルが高く、音声で案内されることも多いですね。電車のアナウンスを聞き逃すと降りる駅を通過してしまいますし、そもそも逆向きに乗ってしまうこともあります。海外の電車のアナウンスは総じて不親切ですが、無いよりはマシです。そんな時にヘッドホンを付けていると不利です。さあどうしましょう?

そんな時に便利なのが、骨伝導型のヘッドホンです。耳の穴を塞がずに音を伝えてくれるため、外部の音が全て聞こえます。魔法みたいですね。旅以外でも、ランニングなど屋外でのスポーツにもよいでしょう。でもトレードオフもあります。普通のヘッドホンほどは音質がよくありません。また音量を大きくすると、相対的に外部からの音とのバランスが崩れ、聞こえているはずの外部の音が骨伝導側の音(?)にかき消されます。考えてみれば当たり前なんですが、買う前にはなかなか気付きませんね。それでも、実用上メリットの方が大きい気がします。僕はAftershokzのTrekz AIRを使っています。音質が思ったほど悪くないのは、微妙に高音を鼓膜に流している(=音を出している)かららしいですが、かなり静かな部屋に行かないと音漏れしないと思います。快適ですよ。軽いし。AftershokzはAeropexという新型を出してますね。もっと軽いみたい。

旅というのは厄介なもので、機内のように外部の音を遮断したい時もあれば、駅のように外部の音をちゃんと聞いておきたいこともあります。QC30はBOSEがスマホのアプリで遮断度を変更する機能を提供してます(厳密に言うと、ノイズキャンセリングのための外部から拾った音をそのままイヤホンに流す機能です)。何か一つ決定版があればいいんですが、当分は複数持ち歩くことになるのでしょう。ガジェット好きには、逆に決定版が無い方が色々選べる楽しさがあっていいのかも。僕もBeatsXの次はSHUREのBluetoothにしようかな、などと考えてる時は楽しいですしね。イヤホンやワイヤレス送信機は小さいので、忘れたり落としたりしないように注意してください。特に完全ワイヤレスイヤホンは機内で落として失くしてしまいそうです。僕も以前、ワイヤレス送信機を国際線のシートの隙間に落としてしまって取れなくなったことがありました。その話はまたいつか。今回の旅のお供が、皆さんの旅をよりハッピーにすることを祈っています。ではでは。

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