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23.北欧の雪と氷を感じるプログレ・メタル = Opeth

Opeth(オーペス)は1990年にスウェーデンで結成されたプログレッシブ・メタルバンドです。バンド名はウィルバー・スミスの小説「the Sunbird」に出てくる”月の都「Opet」”から。初期はデスメタル色が強いバンドでしたが抒情性を高め、静と動のメリハリを増やしていき結果として北欧の雪や氷、そしてだんだんと暖炉のぬくもりさえも感じさせる表情豊かで重厚なプログレッシブ・メタルを生み出しました。この曲は2019年のアルバム『In Cauda Venenum』に入っているナンバーで、アルバムタイトルの意味はラテン語で「尾には毒がある」。「物事は最後まで気を抜くな」という諺です。その名の通り、まさに最後まで気を抜けない展開のアルバムです。

Opethは来日公演も何度も行っており、2019年12月にも来日予定です。中心人物はボーカル/ギターのミカエル・オーカーフェルト (Mikael Åkerfeldt)で、彼だけが唯一のバンド結成時からの在籍メンバー。メガデスのデイブ・ムステインのように「彼がいればバンドが成り立つ」という核になる存在です。

同じような北欧らしい抒情的なメロディとメタルのダイナミックを持ったバンドをいくつか紹介しましょう。

Wintersun(ウィンターサン)は一世代若く、2003年結成のスウェーデンのバンドです。北欧神話などを歌詞に取り上げる「ヴァイキング・メタル」のスタイルで、アルバムを経るごとに静と動の緩急が強くなり、プログレ的な音像になってきました。北欧プログレはドリームシアターなどの超絶技巧を前面に出すというより、もっと歌メロ重視というか、ピンクフロイド(ギルモア期)のような、映像が浮かぶような音作りと耳に残るメロディーにアグレッションを加味したような音像が特長です。神話や大自然といった大きな物語を描くのにそうした音像がマッチするのでしょう。

Soen(ソーエン)は2012年に結成されたスウェーデンのバンドで、元OpethのドラマーMartin Lopez(マーティン・ロペス)も在籍しています。他のメンバーもベテランプレイヤーで、いわゆるスーパーグループです。2019年までに4枚のアルバムをリリースしておりこちらは4枚目『Lotus』から。アルバムを経るごとにメロディの煽情性が増し、普遍的な魅力を高めています。

今日最後は以前も取り上げたGhostです。トビアス・フォージも、もともとはデスメタルからスタートし、抒情性を高めていき現在のスタイルにたどり着きました。たどる道筋はだいぶ違ったものの、出発点と目指す到達点にはOpethとGhostには通じるものを感じます。こちらは2019年の新曲から。グラミー賞を受賞した2018年のアルバム『Prequelle』以降初の新曲で、新章の幕開けとなる曲です。

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