マッチさん
私は自慢じゃないけど、字がきたない。というか、綺麗に書く気がない。
小学生時代はそれなりに丁寧に書いていた。流行りの習字を習っていたからだ。ついでに算盤も(三級)。当時、団塊ジュニアの体感8割は、習字、算盤、公文のいずれかを習うことがグローバルスタンダード。
綺麗にかけるとオレンジの墨で先生にハナマルをもらえる。さらにはご褒美にお菓子ももらえる。小学生男子の心は、わしづかみにされたものです。だから結構嫌いじゃなかった。
ところが、日本にパソコンが伝来してから、雲行きがおかしくなった。わざわざ丁寧に書かなくても、パソコンが綺麗にしてくれる。字を綺麗に書く暇があったら、他のことやりたい。なんなら、筆記体で高速で書きたい(そんなのないけど)。俺が読めればそれでいい。
その結果、字を書くスピードはチョッ早となった。当社比1.5倍速。裏腹に、達筆とは真逆な、贔屓目にみても美しくない文字の使い手となった。
そんな私は新入社員としてうめだ阪急百貨店のデパ地下でヨックモックのシガールを販売していた(元販売士2級)。多動な自分には向かない仕事で、すぐにウロウロしたくなる。待ってるのが苦手なのだ。
そして、時々進物が来るとのし紙に名前を書く必要があった。チャンスや。ここで決める!
上手に書けるシゴデキなコボリさんとうおばさまがいないとき(或いはいててもこっそり)、勇んで書くようにしていた。
なぜなら、多動な私めは、原則退屈していたので、刺激が欲しかったのだ。「こちらでよろしいですねー」(ヒラリ)とマリック並みの手つきでお客様を幻惑させ、それをお渡しするスリルを味わっていた。※阪急百貨店の名誉のために記しておくと、私宛の、のし紙のクレームはいただいておりません(俺調べ)。
さて。。。あれから25年。そんな青春を経て、すっかり筆記体が身についた令和のこの頃なのです。大好きなサイゼリヤに行く機会があった。
結構混んでるのよサイゼリヤ(サイゼリアではありません、サイゼリヤです)。
名前を書いてしばし待つ。結構待たされるのよサイゼリヤ(サイゼリアではありま...以下略)。
段々と人が呼ばれていく。そろそろかな。ミラノ風ドリア行っとくか。ターメリックライスがうまいんよ。それともサイコロ型のポテトか。ふわぁ。楽しみなことです。ワインもあるよなサイゼリヤ。
「マッチ様」
なんだって?誰か呼ばれたよ。嘘でしょマッチ様。日本人ですか?俺の前には人はいず、後ろにはどーみても日本人しかいない。
「マッチ様...」
ちょまてよ。あれワシやんこれ。どゆこと!?
あ、「オ」が「チ」に見えたってことですか。俺流筆記体の「オ」は、→↓↗︎というコンボを使うのです。
仕方ないので、店員さんに、「あ、私です(なんの罰ゲーム。。。)」と白状しました。彼女もなんとも言えない顔で、マッチ様(私)を店内に案内してくれました。
筆記体は誤読される恐れがあるので、要注意です(マツキ様にも注意ww)。
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