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直感力を鍛えるために行動指針を定義する

先日、最所さん(@qzqrnl)さんが勧めていた「老舗の流儀」には、老舗についてだけではなく、組織論やマーケティングなど数多くの学びを得ることができたのですが、なかでも「直感」について、僕の中でひとつの答えがでました。

本の内容としては「老舗」をテーマとして、虎屋社長の黒川氏とエルメス本社の元副社長の齋藤氏が対談されたものをまとめた一冊です。

その中でたった1ページだけでしたが、2人が「直感」についてこんなやりとりをしていました。

齋藤氏 直感とは、その人の経験、考え方、論理、常識などを一瞬のうちに総動員した結果だと思うのです。世界を動かすような歴史上の判断も、直感でくだされてきたのではないですからね。もちろん、その背景には、とてつもないスケールの経験や見識が、後ろ盾として存在するわけですが。
黒川氏 そうかもしれません。直感的な判断をくだす時、それが正しいかどうかは、正直言ってわかっているわけではないのです。たとえば、新商品を出すにあたって、本当に売れるという確信が100%あるわけではない。ただ、齋藤さんがおっしゃったように、過去から積み重ねてきた経験や見識を後ろ盾に、「えいっ」とくだした判断には、それなりに意味があると思うのです。

最近、直感に関する書籍も増えてきていて、今年であれば「直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN」あたりが有名だと思います。

そもそも「直感と論理」を並列に語ることってできるのか?と思っていた人間で、今では「直感で判断するな」と教育されているんですが、この2人の対談を読んで、直感も論理思考なんだなと確信しました。

よく「直感=閃き」と言われていますが、その「閃き」は必ずといっていいほど後ろ盾があり、記憶と経験いう根拠に基づいた脳の論理思考なんだなと。

論理思考なのであれば、論理的に考える訓練によって、ここぞという場面での決断を直感に任せていいのではないかと思いました。

ただ、そこには圧倒的な経験が必要であり、自分というものを持っていなければいけない。一流と呼ばれる人たちは、情報に流されずに自分を信じていていますからね。

2人はその後、こうも語っています。

黒川氏 社長として判断をくだすことは、日々の仕事の中で山のようにあります。だからこそ勘を働かせ、変えることはどんどん変えていくようにしてきました。
齋藤氏 その時にどうやったら勘が磨けるかなんて、ノウハウ化できるものではないのです。日本人はノウハウが好きだから、「こうやったらいい」みたいな本を山のように見かけますが、判断すべきことの条件や環境は、すべて異なるわけですから、そういったことをひとくくりにしてノウハウ化するのは、実は無理です。

結局、成功体験のノウハウ本というものはあまり意味がなくて、人生においてもっとも大事なことは経験であって、経験を積むには行動するしかないんですよね。

当たり前のことですが、やっぱり圧倒的行動力が人間を作るんだなと。

そして、その考えや行動の根底にはどっしりとした「変えてはいけないもの」が必要であって、黒川氏は「最善を尽くして作ったもので、お客様に喜んでいただく」ということを変えてはいけないこととして、根底に置いているそうです。

この直感に対する対談の中で、行動指針を定義することがいかに大事か?ということを、サラッと語っていて、ちょっと衝撃を受けました。

意外と行動指針を定義している人って少ないと思うんです。私もそうですが.......。

他にも、「モノ」とはそもそも、文化的な背景を携えて生まれてくるものなので、物事の背景にある歴史的な事象や文化的な事柄に触れることで、本質の見え方は大きく変わってくると語っていて、コンテクストの重要さについても書かれていました。

私自身、本を読まない日がないくらいの読書好きですが、手持ちにある本は読み返すことがあるだろう30冊だけを手元に置いているんですが、学ぶことが多すぎて、永久保存版と言っても過言ではない一冊でした。


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