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第1節 アルビ新潟vsサガン鳥栖 感想

2ヶ月のオフを経て開幕したJリーグ。第1節にしてボルテージは最高潮でした。まず試合の展開を箇条書きにして振り返ります。

試合展開振り返り

長いボールを苦手とする弱点が露呈

①立ち上がりは個の良さが出たサガン鳥栖。福田の勘が抜群の冴えを見せて先制

②新潟は新成サガン鳥栖がどう言うチームかを計り損ねて緒戦は手が出ず。その間にヒアン、長沼を中心に、また新加入の丸橋からもいいボールが出て新潟のゴールを脅かすも、好機の時間に決定力を欠き追加点ならず。

③何とか前半のうちに追いつきたい新潟はロングボールを多用し始める。得点にギアを上げた新潟に鳥栖の対応が丁寧でない。マイボールに出来ずひたすらボールを浮かす鳥栖の裏を突いて新潟が前半アディショナルタイムに逆転。

④後半は前半にうまく行った放り込むサッカーを徹底されて鳥栖は手も足も出ず。

放り込むパワープレイ気味の単純なサッカーをやられると防戦一方になるのは去年から変わらず。戦術面は難ありです。まだきちんと組織されていない。それはこれからの課題でもあり、しかし去年からの課題でもあったはずなので、次の試合もここが修正出来てないようなら、修正力のないチームということになり、J1に居られなくなってしまいます

感想

試合を決めた要因

後にDAZNで見返しましたが、やはり2失点目より1失点目が残念です。マイボールになったのにまるでクリアのような無謀なヒールパス、ヘディングでボールをルーズに。そりゃスペース出来るし体制も崩れる。あと数秒って時は相手もゴールに蹴るでしょう。いわゆるブザービーターとも言える思い切りの良さからスーパーゴールは生まれました。これは全然仕方なくないスーパーゴールだと個人的には思います。その前のプレイが悪いから生まれた隙であって、丁寧にボールを保持していればあの失点はなかった。失点は大体その時のプレイ自体よりも、そのひとつ前のシーンに原因があると言いますが、1失点目はそのお手本のようなものでした。非常に残念です。流れもこれで完全に失ってしまいました。ホームなのに。

敗戦から何を得るか

この試合で何が起きていたかは、エルゴラッソのサガン鳥栖番記者、杉山さんのnoteで深く理解することが出来ます。有料ですが、今季のサガン鳥栖を細部まで楽しみたい人にはぜひおすすめです。

https://note.com/osugi_note/n/nf0f775fd98d5?from=membership-note

これによると、ヒアンの前半の活躍は想定外のものだったようです。そうだとすると、川井監督には結構インスピレーションがあったと思います。用意してたスタイルよりヒアンの「個」に任せた試合前半の方が良いサッカーが出来ていたわけですから。監督の中に戦術のパズルを組み立てる前の固定観念があるような気がします。その外にあるものの中に、チームを光らせる鍵があったような気がします。

保持型は最適解か

サガン鳥栖のサッカーはボールの保持率を高く維持する「保持型」と言われています。ポゼッションサッカーとも言う。このサッカーで2021年はJ1を席巻しました。しかし、2023年はこの保持型に対する攻略が進み、鳥栖を始め保持型のチームは苦戦を強いられました。この年のトレンドはハイプレスカウンターサッカーです。その意味でも保持型でこのまま行くには進んだ攻略を上回る策が必要になります。しかし鳥栖としてはそれ以前に考えることがあります。そもそも保持型でJ1を席巻した21年とは監督もメンバーも違います。21年に保持型で他チームを圧倒したのは樋口、仙頭というサッカーIQの高い選手がいて、長年かけて保持型用に育成された松岡がいて、フィールダーのように活躍できるGKのパギ選手がいて完成したものでした。しかしこの完成系は松岡が抜けたあたりから綻びが出て、主軸の樋口・仙頭が抜けた今は、もうこだわるスタイルでは無くなっていたと思います。それを22年に、川井監督が来て、岩崎の左SHとしての適性を見つけて補い、活かした。ここまでは正しかったと思いますが、23年に保持型が攻略されてからは、そのスタイルにこだわる理由は消失したと自分は考えます。

否、消失したというのは言い過ぎかもしれません。カウンターサッカーはそれが実行できる選手がいて初めて採用できることですから、ゼロベースで考えた時に、今の選手層ならやはり保持型が適正ということはあるでしょう。しかし、明輝が残した遺産は飯野、そしてソッコが去った今、もう殆ど原型は留めてないわけですから、それなら今のメンバーで競争に勝った選手を元に、今一度スタイルを再考してはどうかと思います。得点し、そして失点しない方針を試合前に選手全員が強く信じれる必要があると思いますし、その結論に至る理由や方針を監督は選手に説明する必要があると思います。

メンバー再考も視野に

いま鳥栖は岐路に立たされていると思います。昨季から逆転負けが多すぎます。あくまで保持型で行くなら、もはや「余白」ではなく細部を詰めた方がいいと思います。誰が軸になってどう崩すのか、そもそも保持型とはどういうスタイルを指すのか。ただ今年は新加入が多く、しかし怪我人も多く、今はむしろ誰が軸かを固定させたくない時期と思います。 その意味でも私は路線変更を推します。

メンバーについても再度ゼロベースで考えてみてほしいと思っています。本当に河原のワンアンカーが良いのかどうか。河原の運動量は相変わらず驚嘆に値しますが、彼起点のロストもかなり多い。チャレンジの回数が多すぎますし、控えないといけないタイミングでリスクのあるパスを選択しているシーンも散見されます。逆に福田は今季絶対使わないといけない選手と思います。前提にするなら今はむしろ河原より福田と私は考えます。新潟戦で得点したから言うのではなく、沖縄に行きトレマを見てもそう思いました。敢えて言うなら保持型で軸にするなら福田だと思います。彼ならボールを失わず、後ろから前に繋げられる。サッカーIQはチーム内随一と思います。堅実で失わないという意味では、菊地選手のボランチやトップ下起用も選択肢に入れるべきです。菊地は中盤で繋げることが出来る。若い選手もかなり実力を付けてきていると思います。私のイチ押しは渡邉と堺屋です。彼らも運動量多く、丁寧なサッカーをする。それだけに昨日のトレマは川井監督に見ていて欲しかったと思いました。

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