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49歳・上杉謙信も倒れた脳卒中 高血圧治療が当時あれば…

みなさん、初めまして。私にとって記念すべき1回目は「脳卒中と高血圧」について、お話しします。「卒中」は中国から渡ってきた言葉で、卒然として邪風に中(当)たる=突然悪い風にあたって倒れるという意味です。昔から中風、中気、卒中といわれてきました。歴史上の人物で有名な上杉謙信も死因は脳卒中とされ、厠(かわや)(便所)で倒れて昏睡(こんすい)状態となり、そのまま亡くなったそうです。

 このように、脳卒中はある日突然襲ってくる恐ろしい病気です。現在の医療技術をもってしても重篤な後遺症を残し、寝たきりや介護を要するようになることも少なくありません。

 脳卒中はがん、心臓病、肺炎に次いで、死因の第4位になっています。脳卒中にはいくつかの種類があり、脳の血管が閉塞(へいそく)する「脳梗塞(こうそく)」と、脳の血管が破れて出血する「脳出血」や「くも膜下出血」があります。わが国ではかつて脳出血が7割を占めていましたが、1970年代から脳梗塞が脳出血よりも多くなり、現在では脳卒中の約3分の2が脳梗塞です。

 高血圧は、脳出血はもちろん、脳卒中の最も重要な危険因子です。高血圧治療で、脳卒中の発症率は有意(統計上、偶然とは思えない可能性がある状態)に減少し、脳卒中の予防には血圧管理が非常に重要です。

 では、適切な血圧値=単位はmmHg(水銀柱ミリメートル)=とはどれぐらいでしょうか。高血圧治療のガイドラインでは通常の血圧は収縮期140未満、拡張期90未満、後期高齢者では収縮期150未満、拡張期90未満が目標とされています。


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