皆さまごきげんよう。今回は日頃の感謝を込めてリクエストにお応えするシリーズ。藤田和之についてですわ。

　さて藤田といえば、とにかく外に打って出る攻めの現役キャリアを積み続け、アントニオ猪木のテーマ曲『炎のファイター オーケストラバージョン』を使い続けている闘魂の伝承者。格闘ロマンの道を突き進んだ結果、プロレス界内では強キャラポジションに君臨していますわね。

　どの程度のポジションかというと、全日本プロレスでは諏訪魔、ノアでは潮崎や中嶋を相手にするポジション。往年の高山善廣の帝王ポジションのような位置だといえると思いますわ。

　思い返せば全盛期のヒョードルを追い詰めた唯一の男でありますし、一時期は日本人レスラーの中で最強といってもいい程だったと思いますので適任ではありますわね。ただ、レスラーとしては強さが正義というのは分かりますけども、プロとしての姿勢にわたくしは少々疑問がありますの。それといいますのは、相手を光らせる発言というものがとことん出来ないのですわ。それは性格もあるでしょうが、若手時代にプロレスではなく総合格闘技に転出してしまったことが大いに関係していると思いますのよ。

　どういうことかと申しますと、抗争相手を無責任にけなす言動ばかりで、ファンを不快にさせるだけになってしまいがちなのですわ。総合格闘技の煽り映像になってしまっていますの。これはプロレスとの相性はよくないと思うのですわ。その最たるもの、よくないところが大いに見えてしまったのが全日本の諏訪魔を相手にした一連の流れだと思いますわ。わたくしは新日系のレスラーを愛していますが、さすがにあれはいただけないと思わずにはいられなかったのですわ。

　知らない方の為にご説明しますと、今から10年前、何か面妖なオーナーに買われてしまった全日本プロレスから武藤たちが大量離脱。ノアの時に川田が残留したように、諏訪魔が残留して踏ん張る中、藤田が全日本に襲来するという流れになりますわ。諏訪魔もまた強キャラに君臨するレスラーですので、新日系vs全日系の強キャラ対決としてわたくしも俄然興味が湧きましたのよ。しかし藤田は全日を指して「潰れる団体なんだろ」的な発言を投げかけましたの。あれでとにかくわたくしは藤田を支持出来なくなったのですわ。

　前述したように、藤田はプロレスでの下積みが欠けていて、総合の方面で代替した部分があると思いますのよ。レスラーとしてではなくてプロとして。団体のエースとの対戦を盛り上げるのではなく、エースを煽ってマウントを取ろうとする変なしゃべりをしてしまうので、団体のファンが素直に楽しめないところがありますの。ある程度の煽りはあってもいいとわたくしも思いますわ。でも、団体のエースvs流浪のフリーが激突する場合、ターゲット層は団体のファンなのですわ。そして何よりプロレスは、総合格闘技ではなくプロレスなのですわ。ですから藤田の立ち位置ですと、ファンがエースと団体に信頼感を抱ける流れを作りながらヒートを買わねばなりませんわ。すなわち、エースや団体に得をさせる立ち回りで嫌われ役をやらないといけませんの。ですがとにかくこれが出来ていませんわ。わたくしの個人的な感想を一言で申し上げますと、藤田は損をさせるヒールという評価になってしまうのですわ。これは絶対によくありませんの。

　試合はスコット・ノートンを雛型にしたパワーファイターで、パワーボム1発で試合が終わるタイプ。オリジナリティはかんじませんが、そこはわたくしはよしとしたいと思いますの。藤田が過ごした新日時代に最強外国人レスラーの座にいたのがスコット・ノートンで、そのファイトを模倣しているのは新日好きとしては胸熱でしかありませんので。むしろ誰にも文句をいわせたくないまであって、藤田に愛しさすらかんじていますもの。ですからレスラーとしての藤田の自我自体はいいのですが、超パワーで圧倒というよりは、強さを鼻にかけての強キャラポジションファイトになってしまってはいないかと苦言を呈したくなるところがありますわ。課題はやはりプロとしての部分になってしまうのですわ。相手を凌駕する最強レスラーしぐさをしたがるのではなく、向かい合って並び立つ最強レスラーしぐさを目指すべきだと思いますの。似て非なる強キャラポジションにシフトチェンジしなければ、今以上のポジションや人気は得られないとわたくしは思いますわ。逆にこれが出来れば、ファンにリスペクトされる強キャラになれると思いますし、そうなればプロレスラーとして生きる真の道がひらけると思いますの。あちら側を見てきたレスラーとしての正解をわたくしは観たいのですわ。

　というわけで今回は、わたくしのnote史上最も辛辣な回というか唯一辛辣な回となりましたが、これも煮えたぎる愛ゆえの圧だとご理解いただけると嬉しいですわ。藤田和之が愛されるレスラーになることを願って。

　押忍ですわ～！！！