森保評④ポジションごと


クロアチアにPKの末に敗れました。

今大会初めて先制点を奪いましたが、欧州サッカーフリークならよく知っているペリシッチに同点を奪われました。決して吉田を中心としたDF陣が粘った印象もありましたがクロアチアに主導権を握られて、それを日本の方にもってこれなかったからこういった結果になったと思います。遠藤選手も敗因をPKまでに勝ち切れなかったと言ってましたがそうだと思います。そもそも森保さんの苦手な交代カードのタイミングと有効性についてもコスタリカ相手に同点すら奪えていない時点で怪しかった、危うかったのです。
以下素人ながら大会の各ポジションの印象です。

①GKの権田は大会前からハイボール対応は不安視されたが大会通じてサイズのある選手とのマッチアップをクリアし、強豪のドイツやスペインの攻撃陣の強力なシュートも冷静に対応し及第点でした。監督が優先していないのは理解していますが欲をいえばボール配球がアバウトだった印象。本人も代表合宿参加の時は初日から気合を入れていかないと海外組のパスの速度感についていくのに苦労すると語っています。たらればではありますが欧州でレギュラー、または最低でも在籍する選手が優先されるべきでした。カタール大会前では中村航輔も復調していたが間に合わなかったです。それも考慮すると4年間主に2番手を務めたシュミットはベルギーで活躍(19-20シーズンから)しておりその問題解消ができた可能性はあります。もっと予選使われなかったのが森保体制の定番の疑問の一つです。
 川島が吉田の負担を軽減するベテラン、モチベーターを担っていたとしても、ベンチが濃厚となる3番手に呼ぶ必要は本当にあったのでしょうか?谷や大迫敬などに空気を経験させるではダメでしょうか?仮にシュミットがレギュラーで権田がベテランとしてフォロー、若い選手が声掛け、モチベーター要員では雰囲気はつくれなかったでしょうか?監督やコーチ陣の考え方ですし、結果論と言われるとどうしようもないのですが貴重な登録枠ですから、今一度考える必要性はあったと思いました。




②CBは吉田と冨安の鉄板コンビで4年挑んでいたものも後者の大会前の負傷で先にケガが癒えた板倉が起用される。ブンデスコンビでしっかりと守備対応はしていたがキャプテン吉田が事実上の監督をしなくてはいけなかったこともあり、やはり攻撃面の配球やライン設定が低くなってしまい2次、3次的な攻撃面に繋がっていませんでした。板倉はフィードでドイツ戦のゴールなどに関与。谷口も川崎でのプレーを活かし、果敢にデュエルしていきスペイン相手でも活躍。アーセナルで世界的な選手となった冨安が万全であれば吉田に依存しなくてもよい状態となっていて筈だろう。それなら大会通して守備面はさらに落ち着き、可変で攻撃にも対応できたのではないだろうか。伊藤は中盤出身らしく三笘などパスを配給していたものも攻撃的な意志のあるパスは少なく、前線の助けになるプレーは少なかった。大会前に呼んだ瀬古や彼以外にも欧州組のCBは複数名いた。吉田の実績と実力、リーダーシップは評価されるべきだが、中間管理職が会社の行く末を決めているような過度な負担だったように見える4年間でした。そう考えるともっと冨安、板倉以外にも使われる、試される選手は沢山いました。谷口は上手く大会でやれたがキャリアがある選手にも関わらず危ない面も多々あり、予選でもっと使って彼自体の質や経験を蓄えさせるか、他の選手を発掘する必要性はありました。海外組だけでなく国内組にもその可能性をもった選手はおり、J出身監督であったからこそもっといろんな声を吸い上げて選考して欲しかったです。


SBは長友と酒井宏樹に依存していたのが最後まで解決できませんでした。長友は4回目の大会でもコンディション良好で守備面はさすがで、運動量の衰えも少なく攻めも見せていましたがクロスの精度は決して良かったとは思えませんでした。だからこそ全盛期の彼ができていた攻め上がりの量でフォローして欲しかったのですが流石に30代後半でそれはなく、交代カードでそれを解消できると監督の期待を受けていた中山が大会直前に負傷したのが悔まれました
 酒井についても彼がケガが増えてきたこともあってか、カタール行きを掴んだ山根や欧州組の室屋を中心に、菅原、小池龍、岩田、橋岡らがプレーしてきました。山根の攻撃面のプレーぶりは悪いものではありませんでしたがW杯で違いを生み出せるほどではなく守備で貢献してもらわないといけないドイツやスペイン相手に起用できず酒井の代役になれませんでした。
 伊東が守備に奔走しなくてはいけなくなってしまいました。候補とされた選手は活躍していましたので両サイドとも2次予選、最終予選の格下、新全試合などで経験が浅い選手を使っていけばもう少し選考や布陣に選択肢があったと思います。そういった傭兵術・センスは森保さんにないのは明らかですし、カタールで26名という登録枠をフル活用できませんでしたで終わらせてはいけないと思います。結果論ではありますが中山の代わりが町野で、しかも使いどころがないのか出番がないというのは解せません。
④DH・CHですが遠藤航が大会直前で脳震盪のアクシデントに喘いで心配されましたがしっかりと出られる状態になって本当によかったです。守田も初戦のドイツ戦は欠場しましたが、スペイン、クロアチア相手には後ろのバランスを整え、前線に関与するという良さは出ていました。田中碧はスペイン戦の勝ち越しゴールが印象的でしたが、初めてのW杯で遠藤や守田の助けになる活躍はそこまでできていなかった気がします。クロアチア戦では途中起用されましたが攻守どちらかで違いを生み出すことができていればPKまでいかなかったかもしれません。本人も語っていましたが30代に差し掛かかる守田、遠藤の存在を彼が文句なしに超えて化け物になってくれると4年後は安心でしょう。冷静で野心のある選手なのでそうなってくれそうな感も何となくします。
 柴崎について
は立ち上げ時点の主力だったのを4年間でこの3人に抜かれてしまったのでそもそもカタールに残ったことが森保氏の温情ではあったものも結果試合に使う事はありませんでしたので失敗だったと言わざる得ません。戦術眼とパスで圧倒的な質を出していく選手でしたが、森保体制では活きるポジションが確立できず。しかも川辺や橋本が欧州でその特徴を活かしていましたし、直前では旗手が好調だったことや今大会での代表の戦い方を考えるとアンタッチャブルな選手ではなく、上記の3名が途中カードでいるとコスタリカやクロアチア相手にも奇襲はかけられた気がします。例えばE-1で悪くなかった若い藤田ジョエルやJで活躍する脇坂を第4のボランチとして選んでいたら。試合に仮に出なかったとしても柴崎より若い選手だったとしたら次世代に繋がっていたと言わざる得ません。結局、森保さんに温情を欠かけられスペインで出色の活躍でもないのに中途半端に毎回呼ばれて、クラブでの立場も代表での立場も半端になってしまったように感じる4年でした。

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