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「本を囲んだ語り部屋」2024/4/28新井和宏さん、高橋博之さん『共感資本社会を生きる』

日曜朝のX(Twitter)スペース「本を囲んだ語り部屋」
4/28は新井和宏さん、高橋博之さんの『共感資本社会を生きる』を取り上げました!!

こちらの本は「お金」と「食」の専門家である二人が、お金、働き方、市場、都市と地方など、多岐にわたるテーマについて語り合ったものです。そして本書が問うのは、お金や資本そのものの本質です。そして関わりの中で自然や他者と共感し合うことが、人生の豊かさや幸福につながるというメッセージからは、今の自分のあり方をいろいろ振り返るいいきっかけになります。

語り部屋では冒頭、「お金」の持つ特性について考えました。本書でもお金には関係性を「分断」する特徴があると書かれています。Financeという言葉の語源にはFinishという「終わらせる」という意味があると聞いたことがあります。価値を交換する媒体としては便利なお金ですが、人と人とのつながりという観点ではつながりを断ってしまうという性質があることを改めて認識し、いかに目に見えない人と人とのつながりに意識を向けていくことが大切かを感じました。

そしてこの本で語られている「共感」という言葉についてもワイワイ語り合いました。共感に近い言葉として同情があります。以前ブレイディみかこさんはシンパシーとエンパシーの違いについて書かれていました。

『シンパシーというのは、自分に近い感覚を持つ相手に対し、感情とともに内側から自然に湧いてくる同情のことです。一方でエンパシーとは、湧き上がる感情に判断力を曇らせることなく、意見や関心の合わない他者であっても、その人の感情や経験などを理解しようと、自発的に習得する「能力」のことなんです』

今回の共感資本主義社会という文脈で考えると、社会を支えている多くの人々について想像し自分との見えないつながりを見ようとする積極的な姿勢が大事なように思いました。

後半では「ふくおか食べる通信」を主宰されているかじさんこと梶原さんにもお話いただきました。「ふくおか食べる通信」では「つくる人の物語」を通じて、都市と地方の恩贈りというつながりを提供されています。かじさんのお話で印象的だったのは「幸せとは選択肢がある」ということでした。お金は自分のためにも使うこともできれば、他者のために使うこともできるという選択肢。そして他者のためにお金を使う時に感じられるその人とのつながり感。このお話を伺って感じたのは、お金は関係性を「分断」する性質を持っていますが、自分が意図をもってお金を使うことでその性質を超えて関係性を「つながる」ことができるという可能性です。改めて共感という人間の持つ力を大事にしながら、つながりの可能性を広げていきたいと思いました。


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