KPI管理の必要性は疑わないけれど、評価面談の必要性を疑う人は多い〜なぜ組織マネジメントnoteをつくるのか〜

あれはライフネット生命の立上げに取り組んでからしばらくが経過した、ある年のこと。
大企業出身の某役員は、社員から提出された人事面談のための評価シートを眺めながら、ため息混じりにつぶやいていました。

「人事評価の面談のためのシートを書いてもらったら、めちゃくちゃなことを書いてきたり、はなから”こんなの意味ないよ”っていう雰囲気がにじみでていたり、こりゃあ大変だわ・・・」

なるほど、こうした場面は、一時期、組織開発のコンサルティング会社に勤務していた時代にも、数多く直面してきた状況。事業に邁進しているメンバー、現場で実績の高い社員ほど、
「人事評価のシートを書くだけ、無駄な作業」
「面談とかしたって、あんまし意味ない」
というふうに、そっけない態度をすることが少なくありませんでした。

一方で、こうした社員は、売上や利益、顧客獲得数など、いわゆるKPIを日々確認し、その推移によって施策を変更したり、この数字に一喜一憂したりして、仕事をグイグイと進めて行きます。

だれも「KPI管理が必要かどうか」なんて疑問は、持つことがありません。

この「KPI管理の必要性については誰も疑問を持たないのに、人事評価・人事面談の必要性については大半の人が懐疑的」という状況、言い換えれば、

「マーケティング・ファイナンス・営業などの理論については、広く理解され、必要性が認められ、活用されまくっている。
一方、マネジメント論に関しては、あまり理解されていないし、必要性があいまいで、活用される場面が遥かに少ない」


これこそが、私が今回のnoteマガジン「マネジメント理論の使い方」を執筆しようと思った課題意識となります。

マネジメント理論は上司になるまで不要、という勿体無い勘違い

マネジメントについて考えるのは、自分が上司になってから。それだけでも、他の分野の知識と違って縁遠くなりそうなのが「マネジメント理論」。ましてや、「自分はいつまでもプレイヤーで居たい。上司とかマネージャーとかになるのは勘弁・・・」と思っている人からすれば、できるだけ距離をとっておきたくなる内容になるのも、頷けます。
ところがこのマネジメント理論、実は自分が「マネジメントされる側」であるときから知っておくと、多くのメリットがあります。

■メリット1:上司が、マネジメントをする際にどんなことに悩んでおり、どんな観点で考えているかを理解できるようになり、仕事が進めやすくなる

■メリット2:自分が社内の同僚や社外のパートナーなどとチームを組む場面、あるいは大勢を集めたセミナーなどを開催する場合に応用し、高い成果を上げやすくなる

■メリット3:初めて部下を持ったときに、スムーズに上司としてのマネジメントを行うための経験や材料を貯めておき、上司として活躍しやすくなる

実際、一部の超大手上場企業などでは、「被管理者研修」というような、マネジメントされる側の一般社員を対象として、「どのように上司はあなたのことをマネジメントするのか?」「その背景にはどんな考え方があるのか?」「どのようにマネジメントされると、上司と上手く連携できるのか?」といった内容の研修を展開する企業もあり、受講する前と後とでは、一般社員の仕事のしやすさが大きく向上する、という事例もあります。

「マネジメント理論」は人が集まって仕事するときのFAQの集大成

私の場合、P&Gで事業を経験した後に、組織開発コンサルティング会社に転職し、そこでマネジメント理論を学びつつ、クライアント企業でこれらを展開するということを経験したのですが、その都度「ああー、こういう困り事、現場であるよね〜」という話ばかり。例えば、

■給料を上げれば上げるほどいいんだろうけれど、その総額は限られているわけだから、どのように給料を決めたらいいものか?
■営業部は開発部がろくな製品を作らないと嘆き、開発部は営業部の売り込み方がショボいと嘆くとき、どのようにこの問題を解決すべきか?
■部下の成長が頭打ちになった(ように見えた)とき、プレッシャーを強めてカツを入れるべきか、優しく話を聞いて励ますべきか?

といった、およそ多くの企業・組織・個人にあてはまる「お困り事」に対して、その課題に対応するいくつものマネジメント理論が存在します。

こうした状況に対して、もしも、

■人には一定水準以下の給与になると、そもそも生活ができない、自分の気持を全うに保てないという「衛生要因」という段階があり、これを満たすレベルまでは給与は必ず上げなければならない。けれど、それ以上の金額については、必ずしも高いほどモチベーションも高くなるわけではない(ハーツバーグの衛生要因理論)
■複数の部門が互いに見える景色でしか議論せず、いつまでもいがみあう場面であれば、社内外の関係者を一同に集め、過去の経緯、現在の課題意識の濃淡の洗い出し、これまでの懺悔とレビュー、未来像の非言語による生成、といった手順を踏むと、ガラッと状況が改善する(ホールシステムアプローチ)
■人の成長は「難しすぎず、簡単すぎずのギリギリの水準に難易度調整し」「自分がやったことの手応え反応がすぐ分かるようにし」「余計なノイズを極力減らしてあげる」といった点を抑えると、とてつもない集中を引き出すことができ、一気に加速する(フロー理論)

といった知識を知っていれば、昨日までとは違う打ち手を試し、その状況を解決することに、一歩も二歩も近づくことができるようになります。

もし自分が部下であったとしても、これらの知識があれば
「なぜ、自分に対して上司はこういう接し方をしてくるのか?」
と、色々な状況が腑に落ちたり、
「自分の上司や組織には、もっとこうしてもらうのがいいのでは?」
といったように、自分から率先して状況改善のための提案を行ったりすることができるようになります。

未来に対する新しい働き方のヒントを知ることができる

最新のマネジメント理論については、その多くが「テクノロジーが進歩し、世界の情勢が変化し、人の働き方が激しく変わりつつあること」に対応しようとする、世界中の様々な企業・チームの試行錯誤による知見の宝庫になっています。

例えば、2017年に大ヒットした組織論「ティール組織」を例に取れば、

■ピラミッド型で上司が判断を行うのには無理がある時代になってきており、メンバー・関係者の集合知で意思決定する必要性が高まっている
■売上拡大や消費拡大を目指し、競合他社に勝つという考え方は、資源が枯渇しつつある地球にあって、衰退していくアプローチ

といった時代背景を捉え、新しい組織の運営方法をいくつも提案しています。これらの知識を抑えておくと、今働いている組織でも、新たにどんなことを試すべきなのか、自分個人としてはどんな点に注意して働き方を変えるべきなのか、上司にどういったことをリクエストすべきなのか、といった視野が広がり、それらを実行に移すきっかけをえることができるようになります。

本マガジンで紹介する内容とその特徴

こうしたことを踏まえ、このマガジンでは、主に以下の3つの内容をご紹介していきます。

1:上司・人事部・経営陣が組織運営をする際に、基礎知識として幅広く使われるような内容。例えば、ビジョナリー・カンパニーで紹介されている「組織のビジョン・ミッション・バリューの意味と、その効用」といった点

2:コンサルティング会社などが多用し、組織内で多く発生する「よくありがちな状況、困った状況」に対して、効果の高い対処方法を教えてくれる内容。例えば、どうも噛み合わないチーム、メンバー同士があまり仲良くないチーム、組成されてまだお互いにぎこちないチームを、短期間でグッと、協働しやすくする「AIインタビュー」という手法

3:個人として、自分自身のモチベーションを高めたり、集中力を高めたり、相手を巻き込んだりといった、すぐに自分だけで成果に結びつくような内容。例えば、極限の集中状態である「フロー状態」を生み出し、高い成果と速い成長をもたらすための方法を示してくれる、チクセントミハイの「フロー理論」

こうした内容をご紹介しながら、以下のような特徴をもたせていきます。

マガジンの特徴1:実際に私が、P&G/コンサル/ライフネット生命/現在の大企業コンサル・ベンチャー支援の中で、高い成果に結びつくという実感や事例を持っている内容のみを扱います。

マガジンの特徴2:具体的に、どのようにその内容を、日々の仕事や、ご自分の課題に使っていったらいいのかという、適用や実験に関するステップを含んだ内容とします。

マガジンの特徴3:内容そのものが、私個人として面白い、興味深いと感じており、読んでくださるときに「面白い」と思える内容に軸足を置いてご紹介します。


かくして、できるだけ毎週月曜日に配信を続けようと考えているこちらのnoteマガジン「マネジメント理論の使い方」ですが、

「マネジメント理論が、マーケティングや営業、KPI管理といったものと同じレベルで当たり前の知識となり、日々、多くの人が楽しみながら実験したり、仕事で活用したりできるようになる」

といったことへの、ささやかなサポートとなればと思います。

毎回の内容に対する質問、コメントなど、大歓迎ですので、ご興味ありましたら、ぜひフォローしていただければ幸いです。

どうぞよろしく、お願いいたします。



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P&G→コンサル→ライフネット生命立上げ→現在は自分たちで創業したICJ社にて、ベンチャー投資・支援と大企業の新規事業コンサルを手がけています。MUFGフィンテックアクセラレーター、NRIアクセラレータなど、大企業と連携したベンチャーの事業加速が得意技。

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