朝霧の海
朝霧の立ち込める防波堤で、見たことの無いおじさんが僕に語りかける。
だけど何故だろう、おじさんの声はここまで届かない。
それでも僕は、おじさんの声に耳を傾ける。
顎に髭を少し生やした、初老に差し掛かりそうなおじさんは、僕に笑いながら語りかける。
時折聞こえる船の警笛が、波のざわめきとともに聞こえる。
僕は声を発すること無く、ただただ、おじさんの声に耳を傾けるだけ。
気が付くと、いつの間にか朝霧は晴れ、太陽が視界を遮る。
眩しいと感じた時、僕は、それが夢だったことを知った。
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