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全国から墓石店の強者が集った2日間

「ボマケン」が岡崎にやって来た。墓マ研。「墓石マーケティング研究会」のことだ。本部は東京。墓石店の有志がマーケティングという視点で情報交換をするグループ。矢田石材店の矢田敏起社長も会員になっている。6月の定例会は矢田石材店がホストとなり、6月21、22日に愛知県岡崎市で開かれました。


「お互いが参謀」で刺激と向上

約20人の男が次々と事務所に入ってくると、冷房の効いた室温は一気に上がった。
墓マ研を主宰する石井靖さん(有限会社ドゥ代表取締役)ら、北海道から西は大分県まで全国各地の石材店の経営者や社員たちが、集合したJR名古屋駅から車に分乗して、21日昼すぎ、矢田石材店の岡崎本社に到着した。
2007年に墓マ研を設立した石井さんは、19歳で墓石店に入社して、26歳で独立。業界の常識にとらわれない手法で成果を上げたそうだ。

墓マ研は、上下関係も利害関係もまったくない同業者同士が「お互いが参謀」というコンセプトでつながり、毎月の勉強会「グルコン」を活動の核にしている。「グループコンサルティング」のことで、会員全員がお互いのアドバイザーとなり、刺激しあってレベルアップすることを目指す。
6月と12月はグルコンの代わりに定例会を開いて、東京で石井さんのセミナーを受講している。最近では会員の会社を訪問研修したり、経営の参考となる異業種の会社を見学したりしている。

岡崎本社の事務所の中(左)や、石材加工をする技術部の工場(右)を案内

コロナ禍の延期を経て実現

そして、今年6月の定例会が矢田石材店での研修となった。
数年前に計画されていたが、新型コロナウイルス感染症のパンデミックで延期されていた。
その間、矢田石材店では、寺院と共同で永代供養付きの建て売りのお墓を運営する「はなえみ墓園」を2020年に始めてから愛知県内21カ所に広がり、2022年11月には寺院で開く葬儀をサポートする「お寺でおみおくり」の事業を開始、今年3月には墓石専門の産廃処理施設「愛知県石材リサイクルセンター」を稼働させた。社員は40人近くにまで増えている。
コロナ禍による定例会延期の間に、見どころが増えたと言ってもいいだろう。

岡崎本社の展示場(左)を見学し、アイスでいっぱいの大型冷凍庫をスマホで撮影(右)

1泊2日の研修の1日目は、まず本社で、2班に分かれて、会社組織の説明、技術部の工場や墓石展示場の見学から始まった。「電話の全ダイヤルを本社で受けられるようにすることで、混乱はないか」「ペーパーレスにするつもりはないか」など各場面で具体的な質問が出て、機能的な掲示板などを写真に収める会員もいた。
暑さ対策でアイスがいっぱい詰め込まれた大型冷凍庫を“見学”して、思い思いのアイスを食べた後、車で愛知県石材リサイクルセンターへ。さらに岡崎保母はなえみ墓園のある胎蔵寺へ行ってご案内の実演を見た後、本社へ戻って「お寺でおみおくり」の倉庫を見学した。一般社団法人日本寺葬協会(長野市)の小林弘和・代表理事も墓マ研会員として訪れており、墓石業者が寺葬をサポートする「おみおくり」のシステムや狙いの説明もあった。

はなえみ墓園でご案内の実演(左)。墓石のリサイクルセンターへも(右)

岡崎城の見どころは3種の石垣

小雨模様となった2日目は、岡崎城から始まった。
NHK大河ドラマ『どうする家康』の放映で入場に行列ができる大河ドラマ館(三河武士のやかた 家康館)や、岡崎城天守閣が人気だが、墓マ研は一味違う。
全国の石材店の集まりと知ったガイドさんの勧めによって、「岡崎城跡石垣めぐり」を最初に組み込んだ。「自然石をほとんど加工せずに積み上げる『野面積み』、割って石材の形や大きさを少し整えた『打ち込み接ぎ(はぎ)』、石材同士が密着するよう加工した『切込み接ぎ』という、3種類の石垣の積み方が1カ所で見られる唯一の城」とのこと。家康誕生の地として知られる岡崎城だが、違う視点で説明を受けた。

ガイドさんの案内で岡崎城跡石垣めぐり(左)。旬の大河ドラマ館も堪能(右)

大河ドラマ館などを見た後、西尾市の墓石展示場へ向かった。
数年前に予定されていた墓マ研定例会の岡崎研修では、「無人」「体験型」で2017年にオープンした西尾展示場が目玉となる予定だった。QRコードを読み込んでのセルフ見学やバーチャルお墓参り、受話器を取るだけで岡崎本社と直接つながる電話などを体験した。
午後は名古屋市の平和公園はなえみ墓園を見学し、すべての日程を終えた。

西尾展示場で本社への直通電話を試し(左)、最後の平和公園まで熱心に質問(右)

客観と成長の場、未来へのステップに

矢田社長は「今回の研修で、各地域で卓越した成果を収める石材店経営者の目に触れることになり、各施設、事業のしくみを他者に見せられるものかどうか、改めて精査する機会をいただけた。研修担当に選抜した社員にとっては、成長の場となったと信じています。数年後、今回のメンバーが弊社を訪れることになった際、『変わり映えしないねえ』ではなく、『全く違う会社だね』といわれるように改善を繰り返し、改革を断行したい」と研修受け入れをステップと考えている。研修用に作ったパンフレットの表紙にはこう書いた。「近い将来、世界一の石材店になると名高い矢田石材店の各施設をご紹介します」

せっかくなので。大河ドラマ館から、徳川家康の遺訓を

「矢田石材店なう」では、近況や情報などを随時お伝えしていきます。


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