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編み目をたぐる日

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水野さんとのマガジン「編む*」と、その裏面
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2019年12月の記事一覧

【夜ノ記述⑦】
僕は自分の探していたものに、夜という名前をつけてやっただけ

【夜ノ記述⑥】
彼との間にあるのは途方もない闇などではなく夜だ。

【夜ノ記述⑤】
僕に言わせれば珈琲なんて代表的な夜だね
焙煎は豆の中に夜を焼き付けているのさ
明日は赤星を釜に放り込むよ

【夜ノ記述④】

「一月の蜜蜂が食べるのは月」
A介がたっぷりの牛乳をあたためている。近くでは池の水が黒々と揺らぎ、底を注意深く隠している。くぉんくぉんと呼吸の音が響いているが、A介にはそれが普通なので気にもとめない。
ふわっと、おそろしく急に沸き上がった牛乳を火からおろす。半透明のコップですくい、彼はそれを口にふくむと、ぷーっと吹き出した。
小さな星雲が生まれて、消えた。

【夜ノ記述③】夜の目覚め。眠りの目覚め。

【夜ノ記述②】
夜気を胸に吸い込んで、身体の内側で夜を感じてみる。
するすると肩から夜が抜けていく。
その時に感じた、彼等の呼吸を撮りました。

【夜ノ記述①】
午前0時ちょうどに、春に逝った友人へ電話をかけた。
回線が繋がって一度コールした。
彼は、途方もない場所に行ってしまった訳ではないらしい。