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8月31日

なんで私は火鍋が食べたいって言ったんだっけ?と思いながら人波をかき分けて新宿駅東口に出た。

駅前のビルの温度計は29度。

今日は8月31日。夏はもう終わる。
先週あたりからすでに秋の匂いがしていた。

大抵何かが終わる前には、すでに次のものはやって来ている。

渋谷に続き新宿って街は本当に最低で、土曜の夜で人は多いし臭いし道は分かりにくい上に吐瀉物だって平気で転がっていて、不快感しかない。

そんな街を急ぎ足でとっとと進み、着いた先は空調が効いてるのか効いてないのかイマイチ分からないビルの二階。そして食べるのは日本語が怪しい店員さんが運んでくる5000円のコース。新宿っぽい。

夏に鍋を友達と囲むのって悪くない。そもそも私は冬にアイスを食べるのが大好きだし、このスタイルは合ってる。


Netflixじゃ思い出は増えない

実は今、勝手に「友達の輪を広げようキャンペーン」をやっていて、積極的に人と会うようにしている。

私はおしゃべりは上手じゃないし、社交的でもアウトドア派でもない。
正直、ずっと家にいてNetflixとYouTubeを交互に見て読書してたまに文章を書けたらそれだけで幸せだし満たされる。

でも家の中に篭りっぱなしだったらドラマなんて起こらない。Netflixじゃ思い出は増えない。私はドラマが欲しい。

だから人が集まるところに出かけたり、誘われたらなるべく行くようにしている。
そこへ行って楽しめても、楽しめなくても別にOK。全部「思い出」で片付けて、残ったものは「経験」フォルダにIN。もし嫌なことがあっても引き摺らない。それも人生、だと割り切る。

「割り切る」っていうとドライなイメージを持たれることが多いけど、これは神経質な自分を守る武器みたいなもの。

でもこの「友達の輪を広げようキャンペーン」は自分のことをもっとよく知るキッカケにもなる。あ、私はやっぱり声が大きい人は苦手だしFAKEなヤツはNG。地獄から何回も這い上がってるタイプは大好き、絶対仲良くなれる、とかね。再確認。

だから今回第四弾?第五弾?ぐらいの「友達の輪を広げようキャンペーン」として感覚と感性が似ていて信用できる友達(A)に、友達(B)を紹介してもらった。


脳みそ、溶けちゃう。

大抵の場合、頭が飛んでる友達(A)には穏やかな友達(B)が必ずついている。今回はこのパターン。笑

こんな書き方だと「イカれてる奴と普通の人」って捉えられるかもしれないけど、それって微妙に違う。
頭が飛んでる(A)と穏やかな(B)が一緒にいるのは、「どちらにも絶対に揺るがない『価値観』がある」ってところで共通しているから。(だと思う)
広い目で見ればどちらもマイノリティ。でも、お互いのことを絶対に否定しない超絶素敵な関係。「普通は違うよ」、なんて絶対に言わない。

私を含めてこの3人、本当に考え方がバラバラでみんな違う方向に尖ってて最高だった。

例えば、恋をした時どうなるか。

私と(A)はほぼ一緒で、「脳みそが溶ける」。

人を好きになると大嫌いな早起きが出来るようになる。寝起きが辛くない。スッと目覚めて脳内は常にむせ返るほどのピンク色のスモークで満たされてる感じ。

仕事中もその人のことを考え、脳汁が耳の穴から漏れてるんじゃないかってほど頭が機能していない。だからってミスを連発する訳ではないけど、とにかくその人で頭がいっぱい。好きになったら手に入れたいし、詩とか書き始めちゃうし、私を生かすも殺すもその人の行動ひとつって行っても過言ではないぐらいハマる。

むしろ、溶け合いたい。


不動の一位?

そんなメルトダウンする脳みそを持つ私たちだけど、(B)は全く異なる人種で。

簡単に言うと(B)には恋愛よりも没頭できる「不動の一位」が既にあるのだ。

その「不動の一位」は常に生活の中心。

これだけ聞くと(B)もその「不動の一位」とやらのことを考えて仕事中に脳汁垂らしてるんじゃないの?と思うかもしれない。

でも私と決定的に違うところは、「フォーカス」と「切り替え」が上手なこと。

例えば19時まで仕事だとしたら、19時01分から「不動の一位」のことを考える。朝から19時までは無心で仕事。仕事以外のことは考えない。

口で言うのは簡単だけど、実際にこれが出来る人って少ない気がする。

変な言い方かもしれないけど、「不動の一位」以外はもしかしたら(B)にとって大したことではないのかもしれない。

全ては「不動の一位」のため。

そこまで心を持って行かれるものに出会っているってすごい。

だから好きな人には「困った時には助けてやる」スタンス。「忠犬ハチ公」には一生ならないし、ロマンティックとは程遠い。でも多分きっと根底に愛はある。(はず)

「不動の一位」があることの弊害として、構ってあげなくてフラれるってのはあるらしいけどそれはしゃーなしだと思った。笑


まだ見ぬ別世界の住人へ

人は絶対にお互い別の世界を持っていた方が長続きする。依存しないことが人との関係を続ける秘訣なんだと思う。

でもやっぱり私は好きな人と溶けてひとつになりたいどころかドロッドロの液体になって混ざり合いたい。だけど液体になってまざり合ったら最後、逃げ道がない。

「逃げ道」っていう言い方は不自然かもしれないけど、自分の居場所が「好きな人」になってしまう。

それはとても幸せなことかも。

でも始まったものは絶対に終わる。

次こそは、なんて毎回毎回思うけどその幻想は簡単に打ち砕かれる。何回も「始まり」を繰り返すうちにとうとう学習してしまった。

その「終わり」が来た時に助けになるのが「不動の一位」なんだろうね。特に私みたいな人の場合は。

(B)より、私みたいな忠犬ハチ公タイプこそ、「不動の一位」で自分自身を守らなきゃいけないのかも。

そうすればきっと、また別世界の素敵な住人に発見されるなり出会うなりして刺激的な日常が始まるのだ。


Get out the way

帰り道、私の頭の中ではLudacrisの「move bitch」流れてた。

それは土曜日の夜の新宿の人の多さのせいかも知れないし、自分自身のスタンスを貫こうと決めたからかも知れない。

グルピーもゴールドディガーもバイバイ。
私が歩く道には必要ない。

色恋沙汰で毎度人を振り回し振り回され、疲労感半端無いしその上で小説なんて読んで感受性高ぶらせてメンタルブレブレになっちゃうけど、そんな自分もわりと好きで。

でも「不動の一位」、欲しい。

「私はこれがあるから大丈夫でいられる」って思えるし、自信が持てる。

自信の根源が他人じゃなくて、自分の中に欲しいのだ。

普段の活動範囲じゃない久しぶりの歌舞伎町は夜だと思えないくらいネオンが明るくて汚くて、うるさくて最低だった。

本当に最低な街だよ、新宿。

多分また来るけど。









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