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沈黙の月曜日

言わなくても伝わること、はない。

「察せなくてごめんね」なんて死んでも言いたくない。

「もっとこういう風にしたかった」「あの時はああいう風にして欲しかった」と言う人がいる。そんなの分かるわけがない。
その人の沈黙を読む。それが出来ない。

私はあなたと好みも育った環境も違うのに。私はあいにくメンタリストではない。

私は家でよく水出しジャスミンティーを作るのだけれど、母は冷蔵庫に入れた私のティーポットの向きがとても気になるらしく文句を言われた。

ティーポットは薄い直方体で丁度冷蔵庫のドアポケットにぴったり収まるサイズ。母も私もティーポットは、ドアポケットの一番奥(冷蔵室側)に入れる。

ここまでは一緒。

母がティーポットを戻す時、注ぎ口は必ず冷蔵室側へ向いている。
私はバラバラ。冷蔵室側に向いている時もあれば、手前に向いている時もある。

別に私は注ぎ口が手前に向いていようが、冷蔵室側に向いていようがどうでもいい。ドアポケットに入れていなかったとしても問題はない。ジャスミンティーが美味しければいいのだ。

しかし母は違う。
私が注ぎ口を手前にしてドアポケットに入れた時に、
「ねえ、なんでこれこっち(手前)向きなの?ママがいつもこっち向き(冷蔵室側)にしてるんだから分かるでしょ」

「え?別にどっちでも良くない?」

「良くないよ」

といった具合。

私は「こっち(冷蔵室側)向きで入れてね」と言われれば、それに従って入れる。(忘れてることもあると思うけど、意識はする)

いつもそうしているから、そうしなければならない。
いつもそうなっているから、言われなくてもそうするべき。

この考えが私にはない。

家族でさえこうなのだ。

他人の沈黙から感じ取るのは難しい。

あなたのやりたいことは私のやりたいこととは限らないし、私のやりたいことがあなたのやりたいことだとも限らない。

そんな「異物」である他人同士が意思疎通し、離れず一緒にいることが美しいことではないの?

一番いいのは、口に出すこと。

「これがしたい」「あれがしたい」「私は必ずこうする」
人にも自分にも言い聞かせる。

あなたの口は何のためにあるの?飾り?

こんなことばかり言っているけど、小説の行間を読むのは好きだし描かれなかった部分を想像するのは大好き。感受性は豊かなんだけど、他人に共感することは本当に少ない。

いつになったら普通に人になれるのかしら?
早く人間になりたい。


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