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「ダイの大冒険」に再会す。 その5:書く人、描き起こす人

再アニメ化により「ダイの大冒険」に再会し感動したイイトシの元オタクが、色々語ってしまった記事でございます。

以前の記事はこちら↓↓↓


【ネタバレあります】
あらすじでフレイザード編まで、ざっくりとは鬼岩城上陸後、基本的にはアニメの進行度以上はいかないようにしています。(2021年9月現在)
この記事だけちょこっと終盤の展開に触れてます。

ダイの大冒険は原作者と漫画、監修が分かれた作品で、原作者は三条陸先生、漫画は稲田浩司先生、監修は堀井雄二氏となっています。

三条先生と稲田先生はコンビを組んで漫画を執筆、堀井雄二氏は物語のベースとなったゲーム・ドラゴンクエストの生みの親ということで監修に入られていました。
最初こそドラゴンクエストの世界観が強かったダイの大冒険ですが、物語が進むうちにベースは残しつつもオリジナリティにとんだ世界観を作り上げていきます。

そのクオリティを保ち続け、7年の連載ののち見事完結したダイの大冒険。
三条先生の書いたシナリオもすごいですが、それを描き起こした稲田先生もすごい。
なんていいましょうか…あの頃はそのすごさがわかってなかったということを大人になって痛感しております…。


書く人 ー原作 三条陸先生ー

ダイの大冒険のシナリオからもうかがわれるように、ストーリーテラーとして一流である三条先生。
連載終了後は仮面ライダーシリーズの脚本もされていたことを最近知りました。

計算してやっていたとわかっていても、伏線のはり方、物語のロジック、登場人物の感情や成長の描写がうまくて「どういうことやねん」という感じで大人になっても感動してしまいました。
言葉の使い方もよくて印象深いセリフも多く、このセリフがあるからダイの大冒険なんだよなあと思うこともしばしば。すごいのは昔はピンと来なかったセリフが大人になってザクッと刺さるんですよ。少年マンガでありながら、どこか大人の世界が見えてくるんですよね…。

あと、ネタの幅広さがすごいと思います。はじまったときの描写は人間とモンスターだけだったのに、城が立ち上がって歩いたり、金属生命体みたいなやつが出てきたり、はては戦場が地上外になったりするんですから。
ダイナミックな展開ながら、ポッと出のキャラを使い捨てにせず、ちゃんと役目を与えてストーリーに絡ませるとか、細やかすぎませんか…。

ただ、ふと「これは帳尻合わせでやったんじゃ…」と思うところもないわけではないです(笑)。でもちゃんと帳尻合うところが何ともねえ。
週刊の少年マンガで、しかも「作家使い捨て感」が強かった過酷・苛烈なあの時代のことを思うと、かなりの高レベル。人気を得るために路線変更なんて当たり前で、その代償として話の辻褄が合わなくなることなんてしょっちゅうありましたから(遠い目)。

そういうこともあって、昔の漫画って時が経って読むと「昔の漫画ですな残念感」が出てくるものなんですが、ダイの大冒険はそこまでなかったから自分で驚きました(昔好きだったベクトルがかかっている可能性はありますが)。

だからこそ「ダイの大冒険」は再アニメ化になり、再び自分も読み返すきっかけになったわけですが、またそれで度肝を抜かれるとは。何とも不思議な気分です…。


描き起こす人 ー漫画 稲田浩司先生ー

ダイの大冒険の漫画を担当された稲田先生。
つい三条先生のストーリーに目が行きがちですが、あの振り幅の広い世界観を描ききった稲田先生に尊敬の念を抱かずにはおれません。

自分が漫画家で脚本家に

「2人の親子が空中戦で城を破壊し地上を壊しまくる戦いをします」
→タイマン格闘系(人外)
「敵の城が立ち上がって海上歩いて地上に砲撃します」
→特撮系(しかもでかい)
「金属生命体が一気に数体出てきて同時にバトります」
→集団戦闘系(表面処理が…)
などといわれたら。
「え? 何いってますのん?」とフリーズします。

漫画家にも得意分野があるはずで、それぞれ特性にあった描き方をしていると思うのですが…バトルごとに系統が違うと大変なんじゃないでしょうか…。
それなのにあのクオリティはすごい。細部までちゃんと描いてあって、本当にプロフェッショナルだと思いました。

連載当時でも、物語の終盤、敵の本拠地が本当の姿を現した時、スケールがデカすぎて「三条さん、稲田さんにとんでもないものを描かせましたね…」と思ったぐらいなので…。

記憶する限りでは、稲田先生のデビュー作はバンドもので、ダイの大冒険とは作風が違ったものだったと思います。しかもダイの大冒険は、ドラゴンクエストという、鳥山明先生がデザインしたものがベースとなっている。その中で作画をしなければいけないわけで、結構大変じゃなかったかと…。

昔も稲田先生の絵は好きだったんですが、今読み返すと、今の今まで、知らず知らずのうちに影響を受けていたことに気付かされ、結果、どストライクでした。(コミックス手放したくせに…)

なので、連載終了後しばらくして病気の為、10年近く休業されていたことを知った時はびっくりしました。休業されていたのはうっすら知っていたのですが、まさかそこまで長期とは…。
その後、復帰されて、現在は「冒険王ビィト」を三条先生とともに執筆されているそうで、戻られたことに何だか感動してしまいました。

何であれ、その世界の第一線に戻るというのは大変だと思うのですよ。
何と申しましょうか、自分も頑張らなあかんなというか、何というか。

ガチの勇気をもらいました。

色々大変だとは思うのですが、本当に体に気をつけていただいて、執筆活動しただければいいなと。
いちファンとして願っております。

この御二方が描かれた「ダイの大冒険」を、再アニメ化がきっかけで新装版が出たために読み返すことになったわけですが、まさかここまでガツンとやられるとは思いませんでした。

ただ、あらためて思ったのが「こういう話と絵がどストライク」だということでしょうか。今までいろんな作品を読んできて、一周回って戻ってきた感じがすごくします。
最近、マンガを読むことはあまりなくなり、読むマンガは短編ものばかりで長編もののマンガは読まなくなってました。
それなのに「ダイの大冒険」に再びはまるという…我ながら「ここに戻ってきたんかーい!」とセルフツッコミ中です(笑)。

また他の長編もののマンガを読んでみようかな、と思ってます。
今のところ、久々に知るマンガの情報、少年マンガのノリに驚きぱなっしで、未だリハビリ状態ではありますが、ボチボチ…。

その6へ続きます。


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