中国・W杯予選の歴史

明日からカタールW杯予選開幕を控え、中国のW杯予選の(敗退の)歴史を纏めてみました

■1957スウェーデン大会予選
(A)0-2●インドネシア
(H)4-3○インドネシア
プレーオフ(N)0-0△インドネシア *引分のため得失点差で敗退

初参加。インドネシアとH&A2戦し1勝1敗、当時は得失点差関係なくプレーオフに。ミャンマーで行われたプレーオフは引分、得失点差で敗退となった。


■1962~1978 *諸事情により不参加
文化大革命、東西冷戦といった政治面の動乱、サッカー界で言えば中華台北(台湾)の参加問題への抗議など諸々ありずっと不参加。この時代は旧ソ連、チェコスロバキア、ハンガリーといった社会主義諸国とはクラブ・代表で対戦していたらしい。

■1981-82スペイン大会予選 プレーオフの末敗退
予備戦(A)1-0○香港
東地区予選(N)1-0○日本 (N)3-0○マカオ
東地区準決勝(A)0-0(PK5-4)○香港
東地区決勝(N)4-2○北朝鮮

24年ぶり参加、当時は参加国少なくアジア&オセアニア合同で実施。
*因みに中華台北はこの大会オセアニア側で予選出場している。中国のAFC加入の条件としてOFCに追いやられた経緯が。

まず東アジアで予選を行い、日本、北朝鮮を破り最終予選へ。因みにW杯予選の日中戦は今のところこの1試合のみなのでよって中国1勝0敗という
(常勝韓国はなぜか西側の組に入れられクウェートに敗退)

最終予選
(H)0-0△ニュージーランド (A)0-1●ニュージーランド
(H)3-0○クウェート (N)4-2○サウジアラビア
(N)2-0○サウジアラビア (A)0-1●クウェート
プレーオフ(N)1-2●ニュージーランド

H&Aとはいえ、同じ相手と連続対戦だったり、サウジ戦だけ中立地(マレーシア開催)など今見ると杜撰なところも。かつ中国が全日程終了した時点で、ニュージーランドは2試合を残していた
で、最終戦ニュージーランドがアウェイでサウジアラビアに5点差で勝たなければ中国が出場権獲得、という状況に。一説によると中国選手団はスペイン行きの準備をしていたと言われるが、案の定ニュージーランドが5-0で勝ってしまい、勝ち点、得失点差並んでプレーオフへ。
(Wiki見ると前半で0-5になってたし、サウジは敗退決定してたし、今の規則だと得点数・直接対決ともに劣っていたためプレーオフなっただけで儲けものな気もするが。)

年明け1982年1月、本大会組合せ抽選後にシンガポールで開催された大一番は後にジェフ市原やドイツで活躍するウィントン・ルーファーらに決められ1-2で敗戦。長いブランク経た復帰戦として健闘だろうが、後を振り返るとここで勝っていれば日韓のような常連組になれたのだろうかとも思う。

https://www.bilibili.com/video/av16345395/


■1986メキシコ大会予選 "5.19事件"
予備戦
(A)0-0△香港  (A)4-0○マカオ (N)8-0○ブルネイ (N)4-0○ブルネイ (H)6-0○マカオ (H)1-2●香港

1984年アジアカップ初参加で準優勝、1985年ムルデカ杯ではルーマニア、そして翌年のW杯優勝メンバー8人いたアルゼンチンに1-0で勝利。ガンバ大阪・パルチザンでプレイした賈秀全らを擁し、前回後一歩で逃したW杯出場は本格的に狙える位置にあった、らしい。
この大会アジア予選は東西別。中国は日韓朝の前にまず近所の格下相手の予備戦をさらりと抜けて、、と思いきやこの予備選でつまずいて敗退

後年節目節目に登場する香港、アウェーで分けたとはいえ、ホームで圧倒しながら数少ないチャンスをやられまさかの敗戦。北京の8万人の観衆の失望は怒りに変わり、選手襲撃、設備破壊、選手のバスをひっくり返すなど暴徒化した。"5.19事件"である。

https://zh.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%94%E4%B8%80%E4%B9%9D%E4%BA%8B%E4%BB%B6


中国に勝った香港は、続く準決勝ラウンドで日本に敗退、その後木村和司氏のFKで有名な日韓戦に至るが、その前に中国の敗退が無ければ日韓戦は実現していたかは定かではない。


■1989イタリア大会予選 "黒色3分鐘"
予備選
(H)2-0○バングラデシュ (A)3-0○タイ (A)2-0○バングラデシュ (H)2-0○イラン (A)2-3●イラン (H)2-0○タイ
また方式変わり東西ごっちゃまぜの予備選。ここで強敵イランと1勝1敗、得失点差で上回り最終予選へ。

最終予選@シンガポール
(N)2-1○サウジアラビア
(N)1-2●UAE
(N)0-1●韓国
(N)1-0○北朝鮮
(N)1-2●カタール

6チームによる集中開催(ドーハの悲劇時と同じ)最終的に4位で出場権逃した(2位まで出場権)内訳が問題。
結果的に2位で滑り込んだUAEとの2戦目は1-0でリードしながら、残り3分で2失点し1-2で逆転負け。
最終カタール戦も、馬林(現遼寧監督)が先制点決め1-0(この時点でW杯出場ライン)からまた残り3分で2失点し1-2で逆転負け。
2戦どちらか勝てば出場権獲得だった。"黒色3分鐘(黒い3分間)"はすっかり慣用句になり、この国の勝負弱さ(近年は実力的にも)の根源かもしれない。
単純に×2試合&×2点だからドーハの悲劇より悲劇っちゃ悲劇といえよう


■1993アメリカ大会予選 2次予選敗退
予備選
(N)5-0○パキスタン (A)3-0○ヨルダン (N)0-1●イエメン (N)0-1●イラク
(H)3-0○パキスタン (H)4-1○ヨルダン (H)1-0○イエメン (H)2-1○イラク
史上初の外国人監督であるKlaus Schlappner(ドイツ)を擁したが、前半戦はヨルダン、後半は中国・成都での2拠点開催された予備選で敗退。前半でイエメン、イラクに敗れたのが響いた。
このイラクが最終予選に勝ちあがり、結果的に”ドーハの悲劇”に至る。


■1997フランス大会予選 最終予選で健闘も敗退
予備選
(A)4-1○トルクメニスタン (A)1-0○タジキスタン (A)3-1○ベトナム
(H)1-0○トルクメニスタン (H)0-0△タジキスタン (H)4-0○ベトナム
初めて全試合本格的H&A開催に(グループによっては中立地もあったが)、予備選は目立った強敵も無く通過。

最終予選
(H)2-4●イラン (A)1-1△カタール (H)1-0○サウジ (A)2-1○クウェート (A)1-4●イラン (H)2-3●カタール (A)1-1サウジ (H)1-0○クウェート

緒戦ホームで2-0からイランに逆転負けと最悪のスタート、そこからサウジ、クウェートに連勝するなど立ち直るも、イランにアウェイ&ホームでカタールに連敗。グループ3位で勝ち点差1でイランに及ばず。
そのイランがジョホールバルで日本とプレーオフを戦った。その影にry
前々回"黒い三分間"に続きカタールにやられ、徐々にカタールにの登場率があがる。首位通過のサウジアラビアとは1勝1分、同国はW杯予選通算3勝1分と意外に分がいい。


■2002日韓大会予選 恵まれて悲願の初出場
予備選
(H)10-1○モルディブ (A)1-0○モルディブ (A)4-0○カンボジア (H)5-1○インドネシア (H)3-1○カンボジア (A)2-0○インドネシア
最終予選
(H)3-0○UAE (A)2-0○オマーン (A)1-1△カタール (H)2-0○ウズベキスタン (A)1-0○UAE (H)1-0○オマーン (H)3-0○オマーン (A)0-1●ウズベキスタン

ボラ・ミルティノビッチの元、悲願の初出場! 開催国の日韓不在&強敵サウジ・イランが別組になった幸運はあったが、今思えばこのグループを2試合残して首位通過できたのは立派。
思い返しても、この機会逃してなくて良かったと思いつつ、

■2002日韓W杯(ボーナスステージ
(N)0-2●コスタリカ (N)0-4●ブラジル (N)0-3●トルコ
コスタリカに勝ってブラジルは無理でもトルコに引分て・・」なんて皮算用をしていたのが懐かしい。
今となっては良い思い出だが、悔やまれるのは孫継海の負傷(緒戦前半で交代し残り欠場)あと1点くらい取りたかったなと

でも当時は出れただけで幸せで「またすぐ2回目来るだろう」と将来を楽観視してましたよ。ええ・・

https://www.excite.co.jp/news/article/Recordchina_20140602035/

因みにこの大会の栄光?の23人で2019年現在現役は杜威(Du Wei 1982年生まれ)1人、正GK江津(Jiang Jing)最終予選最多得点者の祁宏(Qi Hong)は八百長関連で収監されている。


■2004ドイツ大会予選 1点に泣き敗退
(H)1-0○クウェート (A)1-0○香港 (H)○4-0マレーシア (A)1-0マレーシア (A)0-1●クウェート (H)7-0○香港

最終戦、クウェートとのデッドヒート(?)は知る人も多かろうが香港に7-0で勝利したが、クウェートも6-1で勝利。結果得失点差、直接対決で並び、得点数で及ばず敗退、最終予選進出ならず。香港戦で鄭智がPK失敗してなければ、と言われるが結果論。
マレーシア、香港アウェーで1点しかとれず、クウェートとの直接対決で決められなかったのを悔やむべきか。また当時エバートンにいた李鉄が緒戦直前に負傷し2年以上棒に振ったのも悔やまれる

http://www5f.biglobe.ne.jp/~hankotu/agiagames4.htm

・・近年になって中国協会のクウェート現地派遣スタッフがクウェートの得点を1点見逃して、正確なスコアが伝わらなかった、、という情報も。今は昔とはいえカオスな試合だった

■2008南アフリカ大会予選 3次予選最下位で敗退
2次予選
(H)7-0○ミャンマー(A)○4-0ミャンマー
3次予選
(A)1-1△イラク (H)0-0△豪州 (A)0-0カタール
(H)0-1●カタール (H)1-2●イラク (A)1-0○豪州

3次予選は新参の豪州アジア王者イラク&因縁?カタールと同組と、組合せは最悪。しかし前半戦は3分とまあまあ、ホーム昆明での豪州戦終了間際のPK失敗が悔やまれるが。しかし後半戦ホームに帰ってから連敗して終了。何があったのか?

・元々代表監督はペトロビッチ(Vladimir Petrović)前半戦は彼が指揮し健闘
・この年の夏に控えた北京五輪を過度に重視する協会は、五輪代表監督ドゥイコビッチ(Ratomir Dujković)をA代表に入閣させ、2頭体制に。北京五輪世代の積極登用を進める目的もあり、力関係はA代表監督<<五輪代表監督のドゥイコビッチという異常事態。気づけばペトロビッチは実権を失い、また好き嫌い激しいドゥイコビッチは孫継海ら気性の荒い主力と対立
・結果2頭体制になってからの後半戦で崩壊し、ペトロビッチ&ドゥイコビッチともに更迭。後者にいたっては五輪代表監督も更迭、開催国とはいえ大会直前に内輪もめで監督更迭したチームの結果は推して図るべし。唯一ラフプレーだけが印象に残った。

この大会もそうだが、ピッチ内だけでなく協会の朝令暮改による混乱はしばし悪影響を与える、そしてそれは次大会も・・


■2011~12ブラジル大会予選 恵まれた組合せにも関わらず敗退
2次予選
(H)7-2○ラオス (A)6-1○ラオス
3次予選
(H)2-1○シンガポール (A)1-2●ヨルダン (H)0-1●イラク (A)0-1●イラク (A)4-0○シンガポール (H)3-1○ヨルダン

2大会連続最終予選行ってないのになぜか第1シードで、比較的恵まれたグループにも関わらず勝負弱さを遺憾なく発揮し敗退。過去1度も負けたことが無かったヨルダンに負け、イラクとの大一番では2戦とも0-1と3連敗、本大会の3年前にして終了してしまった。
~~
2011当時高洪波率いていた代表は、多くの若手を起用し韓国・フランスに勝利するなど希望を抱かせていた。が、3次予選開幕直前に解任。諸説あるが、2次予選ラオス戦の出来に不安はあった。緒戦はホームで前半終了間際までラオスに0-2で負けていた。その後頑張って結果的に大勝しているが、これが協会の怒りをかったと予想される。

そして協会が連れてきたのはスペイン人のカマーチョ(José Antonio Camacho)スペイン代表やレアルマドリードなど率いた「闘将」(脇汗)

折りしも不動産バブルが始まり、潤沢な資金力(持つスポンサー)を得た協会が大物外人監督に白羽の矢を立てたが、結果的には。。
高洪波が排除したベテランを復帰させる→当時33歳李偉鋒は最初2試合で相手に2アシストと戦犯に
広州恒大所属選手、ベテラン中心に固執し、戦術皆無。W杯予選敗退後も迷走続け、ホームでタイ2軍に1-5で負けてついに解任。贔屓目に見ても何も残らなかった、いや唯一残ったのは高額な違約金か。
380万ユーロと高洪波の20倍以上の高額報酬によるコスパも鑑みて、歴代最悪の代表監督いわれても仕方ない。


■2015~ロシア大会予選 久々の最終予選進出、まあまあ健闘
3次予選
(A)6-0○ブータン 
(H)0-0△香港 
(H)3-0○モルディブ 
(A)0-1●カタール 
(H)12-0○ブータン 
(A)0-0△香港 
(H)4-0○モルディブ 
(H)2-0○カタール

相変わらずなぜか第1シードで、恵まれた組合せに見えたが、
出ました曲者、香港&カタール。カタールにアウェイで敗戦はまだしも、香港に2戦連続0-0で勝ち点2しか得られなかったのは致命的かに見えた。しかし他組の北朝鮮がコけたおかげで(2-3フィリピン)、2位チーム中4位に入り、日韓大会以来4大会ぶりの最終予選進出。

6戦目までの監督はフランス人のアラン・ペラン(Alan Perrin)直前のアジアカップでGL3連勝で決勝T導いたが、第7戦を前に解任。結果もそうだが消極的采配、選手選考が批判されていた。後任は高洪波、暫定監督として残る2戦を指揮し連勝&最終予選進出と最高の結果残した、個人としても直前で解任された前回大会のリベンジとなった。

最終予選
(A)2-3●韓国 
(H)0-0△イラン 
(H)0-1●シリア
(A)0-2●ウズベキスタン 

最終予選は甘くない。韓国・イランはまだしもホームでグループ最弱とみられたシリアに敗戦したのは致命的。1分3敗で高洪波は辞任。

ここで後任はなんとマルチェロ・リッピ(Marcelo Lippi)、イタリア代表やセリエA各チームでの実績は説明不要、広州恒大監督としてもACL制覇した名将がやってきたところ......↓

(H)0-0△カタール 
(H)1-0○韓国 
(A)0-1●イラン 
(A)2-2△シリア
(H)1-0○ウズベキスタン
(A)1-0○カタール

最終的に6チーム中5位で予選敗退だったが、勝ち点11を獲得。シリア戦ロスタイムの失点が無ければプレーオフ進出だった。過去3大会最終予選すら進出できなかった国民に最終節まで希望を残した。

特に韓国を降した一戦は印象的、一生忘れない。

https://www.youtube.com/watch?v=qVoRbXyhWmU

■2019~カタール大会予選

がこれから開幕するわけですが、なぜかまたリッピが留任したり、1980年生まれの鄭智がまだいたり、最大の変化は帰化選手

アーセナル出身でイングランドU23代表歴あり母親が中国人の李可(Li Ke ニコ・イェナリス)そして広州恒大、上海上港で鳴らした艾克森(Ai Kesen エウケソン)への期待は大きい。更にリカルド・グラール(2014ブラジル全国選手権MVPセレソン招集歴あり)アラン(2014/15ヨーロッパリーグ得点王)アロイ―ジオ(2015年中超リーグ得点王)ら中国在住5年を経過する猛者、中国系ルーツもつ元イングランドU21代表のブラウニング(Browning)と更に増えるとみられる。

2002年大会以来への本大会出場への期待は膨らむばかり。


総括として、、、

・70年代まではW杯予選どころでなかった
・80年代の3大会でチャンスをものにしたかった
・勝負弱さ、負の歴史
・日韓と対戦少ない(日本1勝、韓国1勝2敗)というか日韓と当たる以前に敗退してばかり
・なぜかサウジアラビア(3勝1敗)、豪州(1勝1分)には勝ち越し




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