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フィルム・コミッションのDX化

こんにちは泉谷です。師走になりましたね、2023年もあと少しです。
今年の振り返りは次号として、今回は「エールラボえひめ」のキーワードである「DX」について。
私は先月から札幌市(北海道)、仙北市(秋田県)を訪れ、今月は佐原市(千葉県)を訪問予定で、フィルム・コミッション(FC)のDX化の必要性について研修をしています。
 
これまでフィルム・コミッションでは、全国各地の「ロケ候補地」を一つのデータベースに登録して、国内外の映画・映像制作者がいつでもどこからでも閲覧できる「全国ロケーションデータベース(JLDB)」を構築しました。
JLDBで気になるロケ候補地を見つけたら、該当FCへ直接連絡できることなどが支持されて、16万回/月の閲覧回数になっています。
 
そして現在は「オンラインロケハン」に新しい可能性を見出しています。
「オンラインロケハン」とは、これまでFCと制作者がゼロから撮影候補地を探していましたが、オンラインロケハンから始めることで、制作側もFC側の双方にとって時間も手間も労力もお金も抑えられ、生産性と効率性が劇的に向上すると見込んでいるDX化です。
 
この背景には、コロナ禍でロケハンが満足にできなかったこと、そして日本での撮影を希望する海外作品は監督らが来日できず、撮影機会を逃してしまったなど、残念なことが多かったからです。
 
参考までにオンラインロケハンの方法をご紹介します。
1. 撮影希望の作品について、求める世界観などを制作側から聞き出します。
2. 提案するロケ地のイメージを探して、動画や写真で制作側へ渡します。
3. 制作側はオンラインロケハンで見たい場所をFCへ伝えます。
4. オンラインロケハンの当日、制作側はPCなどの前で待機してもらいます。
5. FC側は制作側から要望のあった場所にカメラなどを携えます。
6. オンライン会議と同じ要領で打ち合わせを進め、見たい場所にいるFCへ繋ぎます。
7. 現場にいるFCは、眺めや周辺の様子などをリアルに映像で紹介します。
8. 制作側の要望に合わせてFCが動き、映像を通してイメージを得てもらいます。
9. 異なる時間帯の眺めなどは予め用意していた画像などで紹介します。
 
これらの流れで、初期段階から精度や確度の高い検討ができるようになります。
海外作品にいたっては、オフィスにいながら日本現地の様子をリアルに把握できる他、旅費の節約にもつながり、オンラインロケハンを体験した海外制作者から大好評でした。
 
仙北市での研修では、約800km離れた旭川市、函館市、小樽市のFCがそれぞれのロケ候補地で実際に提案してくれました。
体験すると、これまでのロケハンの1-2回分に相当する内容で導入の価値があると全員が納得しました。
 
DX化は単にこれまでをデジタルに置き換えるだけではなく、抜本的な業務の構造改革などを進めて事業価値をさらに高めることが目的です。
その点、FCにとって、このオンラインロケハンはDX化の一つとして効果的であり、改善点はあるものの、いづれ主流になるだろうと想像しました。
 
「ピンチはチャンス」という言葉がありますが、コロナ禍で制約が多く思うように取り組めなかったことが飛躍的に向上すると思うと、DX化は全ての事業や産業に効果を出せると思いました。
 
エールラボえひめ・ディレクター
泉谷昇

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